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『ヒール53』

『ヒール53』



 しばらく徒歩で移動したら、ミュートエアーから、


「領主の館はあそこです。丘の上に見えるでしょ?」

「でかいな……」


 ミュートエアーが指した方向には丘があり、ぽつんと1件の豪邸が見える。


「ひと目で領主の館てわかるね。誰が見ても」

「そうだ、いいこと考えた。領主を追い出して、私達で住んでしまうのはどう。めちゃくちゃ広くていい!」

「うん、私も欲しい部屋が!」

「ローズも欲しいか?」

「欲しいに決まっている。広いベッドがあるといい!」

「ローズ、いい加減に!」


 俺がローズの頭をポカンと叩いた。


「ごめんトレイル」


 尻尾を下に垂らして。


「ミヤマもだ!」

「すまんトレイル、調子に乗った」


 ミヤマは謝るようにして言ったが、本当に反省しているのかわからないが。


「あなた達竜の守りパーティーは、いつもこんな感じなのかい。余裕があるというか、舐めているというか……」

「はい、いつもこんな感じです。竜の守りの雰囲気です」

「パーティーのチームワークがいいのです」

「チームワークか、トレイルの取り合いにも見えたが」

「気にしないでください」


 雷鳴からしたら、竜の守りは変なパーティーに思えたようだ。

 リーダーも不思議そうに見ているし。

 それがうちらの良いところでもある。

 確かに雷鳴の悪魔にはない雰囲気だった。


「館付近まで来た。やはり護衛兵士がいる。ミュートエアー、どうするか?」

「二手に別れよう。私と雷鳴の悪魔。トレイルの竜の守りに。竜の守りは入り口から突入。私は雷鳴と裏から侵入する。領主は館にいるだろう。捕らえて、全てを白状させよう」

「わかった。俺達は入り口に回る」


 俺たちは入り口から行くと決まったが、護衛兵士はいるから、簡単には入れないだろう。

 難しいのは初めから承知していたので、受け入れる。


「それでは館の中で会おう、トレイル!」

「館で!」


 ミュートエアーと雷鳴は裏手に回って行った。

 護衛兵士は気づいていない。






「ミュートエアー達は裏手に行った」

「館の中で会う。お互いに問題なければ会える」

「うちらは入り口からね。ざっと見て10人は兵士がいる。金で雇われた冒険者と思うわ」

「トレイル、先ずは護衛兵士を倒さないと入り口は開かないわよ。入り口前にいるんだもん」

「そうだな。みんなで護衛兵士を倒そう。しかし彼ら兵士はあくまで雇われた人たちだろうから、決して殺したりする必要はないな」


 殺したりしたら悪いからな。


「そうね、かわいそうです。気絶程度にします」

「みんな武器を持っている。護衛兵士からみたら、盗賊か殺し屋かと見られるでしょうね」

「盗賊は嫌かな。私は殺し屋の方がいい。エルフの殺し屋っていい感じする」

「どんなエルフ!」

「私はドワーフの強盗犯かな。金を奪い、その金で生きていくの。金がなくなったらまた強盗犯するみたいな」

「1人でしなさい!」

「みんな、兵士に聞こえるぞ」

「はい」


 入り口前に俺たちは来て前に出たところ、護衛兵士に発見される。

 発見されたくて出た感じか。

 当然に兵士は驚くしかない。

 俺たちは武器を持っているし、敵と思うはずだ。


「誰だ!」

「何をしに来た。ここは領主ライゴッド様の館だ。帰れ!」


 護衛兵士は武器を持ち、集まって来る。

 予想した通り、警戒していた。


「領主に用事がある。領主に会わせて欲しい。そうしたらあなた達に何もしない」

「誰だこの女は。猫人だぜ。領主様のお好みだぞ、きっと!」

「可愛い猫人だな。頭を少し触らせてくれないか……」


 護衛兵士はローズが猫人だとわかると、急変して頭を触ってくる。

 ローズの耳を触った。


「猫人の耳だ、柔らかい!」

「……いい加減にして!」

「ぎゃあ!」


 耳を触るまでは静かにしていたローズ。

 しかし耳や頭を触られて、キレたらしい。

 爪で兵士を数人ばかり切り倒した。


「な、な、何をした! 領主様の敵だぞ、倒せ!」


 兵士はキレたローズを危険視して、防御、または剣で攻撃に転じた。


「私の仲間の猫人も馬鹿にする発言は許せません、野獣の爪!」

「うわわわわ!」


 1人の背中に。

 次の腕を切る。

 また次の足を切る。

 短剣を持ち、素早くスキルを放ったら、兵士は倒れていた。


「ローズが10人の護衛兵士を全員倒しちゃった。私達の出番はなかったな」

「むしろやり過ぎじゃない。何も悪くないのに」

「だって、許可なく頭と猫耳を触ってくるんだもん。許可なく触れるのはトレイルだけだもん」

「本音が出たなローズ」

「猫耳はズルい。反則だ」

「エルフは長耳があるな、猫耳はズルい」

「貴様たちは……何者?」

「ごめんなさい兵士さん。領主に会いたいの。だから通してって言ったのよ。ちなみに竜の守りです」

「竜の守り! 噂に聞いたことがある……」


 護衛兵士はどうやら知っていたらしいが、そのまま気絶してしまった。


「気絶した。聞いたことあったみたい。名前が売れてる証拠よ」

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