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『22』

『22』


 ギルド内で竜の守りと森の王。

 パーティーとパーティーがケンカ状態になった。

 こうなるとギルドは活気に満ちてくる。

 野次馬のように周囲に集まりだす人。

 みんな冒険者になるくらいだ、争いごとが好きな奴ら。


「もっとやれ、もっとやれ!」

「猫人も頑張れ!」

「おおっ、エルフ族もいる。珍しいな!」


 本来ならパーティー対パーティーは禁止のはず。

 だが受付嬢は見ない振りをしている。

 

「やってやる!」


 ローズの声で戦闘は始まる。

 しかし俺の予感は当たっていた。

 森の王は異常な程に強いということ。

 いくら俺がレベルが55まで上がっているとはいえ、しょせんはEランクパーティー。

 対して森の王はAランクの上のSランクパーティーだ。

 次元が違う。

 直ぐに結果は現実になっていた。


「うう……強い」

「やはり……強いな……悔しいが」

「ローズ、パピアナ、大丈夫か……」

「うん、大丈夫だよ」

「こんなんで負けるか」


 全部が俺の失態かな。

 俺のワガママに付き合わせて命を落とすのは俺だけでいい。

 ローズとパピアナは助けたい。

 絶対に死なせたくない。

 野次馬の冒険者も圧倒されている。


「なんて強さだ……見たことねえ誰なんだ?」

「あの女も強えぞ、信じられねえくらいに!」


 そりゃそうだ、いま、目の前にいるのは、世界でも有数のSランクパーティーなんだからな。

 戦いをみることさえ、普通はないよ。


「トレイル。お前がここまで戦えるとは。俺の雑用係の時と今はまるで別人のようだ。どうやって短期間で強くなったのだ。まあいい、トレイル、俺とお前達ではランクが違うってことをわかっただろ?」

「……」

「変よねサリオス。トレイルはFランクの冒険者だった。今のトレイルはどう見てもFランクの剣じゃない。Cランクくらいはあった。なぜかしら?」

「俺も成長したんだよ。あなたに殺されそうになってから、必死に」


 何も言えないのが悔しい。

 確かに、俺は強くなったのは事実だろう。

 レベルが2だったのが、170にまで成長したのだからな。

 でもまだ足りない。

 サリオス達と戦い合うには、まだ足りないのが痛いほどにわかる。

 ランク的には俺はもうEではなくDもしくはCにいっていても不思議はないと思える。


「サリオス。エルフ族はもっといたぶりたい」

「好きにしな。ムジカは徹底的にやるタイプだからな、残念だなエルフちゃん」

「うう……」


 パピアナにこれ以上の攻撃はさせない。

 ムジカが攻撃をしようとした。


「ふん、俺をデブ呼ばわりしやがって、後悔しな!」

「止めろ……魔王竜リフレイン!」


 俺はとっさに魔王竜リフレインを使用した。

 ムジカはわからないままパピアナに攻撃をし、パピアナはダメージを受けてしまった。




体力を90回復しました。

経験値を90獲得しました。

経験値90をリフレインします。




 パピアナに与えられたダメージを魔王竜リフレインが放射となった。

 攻撃したムジカに光が照射されるとムジカは後方に崩れた。

 大ダメージではないが、それなりのダメージを受けたのは間違いない。


「うう……なんだ今の光は?」

「トレイル……貴様がやったのか。教えろ、見たこともない攻撃方法だ。反射したように見えたから、カウンター攻撃に近いのか?」

「サリオスには教えない。魔法なのとだけ言っておくよ」


 さすがのサリオスでも見たことないらしい。

 

「この野郎、トレイル、殺すぞ……」

「もういいムジカ。ギルドもこれ以上騒ぐと取り押さえに来る」

「そうだな」


 ムジカの怒りを押さえるサリオス。

 言ったとおり、今の騒ぎによってギルド側も警戒していて、こちらを監視している風だ。


「トレイル。やったわね!」

「やられっぱなしじゃ俺も嫌だしな」

「パピアナは大丈夫?」

「うん、ヒール回復されてるみたいよ」


 パピアナの体力は完全に回復されているよう。

 その分が経験値になって、カウンター攻撃したのは、前回と同じ。

 相手から受けたダメージが大きいほどにカウンター攻撃も大きくなる。

 今回はムジカは手加減したと言える。

 本来ならパピアナは即死していてと不思議はないし。


「お前が最弱の回復術士から成長したのは認めよう。俺のパーティーに復帰しないというのもな。しかしまた会うことになるかもな」

「俺は会いたくないけどね」

「生意気になったわねトレイル。以前は何でも命令したら行動したのにな」

「ジェンティル。俺は以前とは違うよ」


 サリオス達は、騒ぎ嫌いギルドから去って行く。

 周囲にいた冒険者は盛り上がる。


「おお、最後はお返しの攻撃は凄えな!」

「魔法なのかよ!」


 魔王竜リフレインを見て、見物人達は散っていく。

 会話しながら酒の続きをしている。

 

「トレイルの魔王竜リフレインは、何度でも使えるのかい。ずっと使えたら凄いな」

「いいや、ダメだろうな。俺もそこは考えていたけど、一度使うと直ぐには使えないらしい。だから、ここぞという時に使ったんだ……うう、気分が」

「どうしたの?」

「リフレインを使うと、めまいや脱力感に襲われるんだ」

「ここぞという時に使うしかないね」


 前回もそうで、使ったあとは疲労感があった。

 かなりの力を使用したからと思う。

 連続では使えないらしい。

 立っているのが精一杯だ。

 こんなのは初めてだった。


「森の王にダメージを与えたのは気持ち良かったわ、ムジカの奴、びっくりしていたもん」

「いいきみよ、トレイルをパーティーから消したくせに、今度は戻らないかなんてバカにしている。いつか負かしたい!」

「俺もだよ」


 サリオス達の悪口を言い合っていたところに受付嬢が来て、不満そうに顔をしている。


「トレイル、ここは冒険者がクエストを受け付ける場所よ、あまり派手に荒らされても困るの」

「すみませんでした」

「それで、アリゲーターは討伐したのかな?」

「はい、これがアリゲーターの魔石と素材です」


 実際に倒したのはサリオスだったけど、魔石と素材は回収しておいた。

 報酬はいただくとしよう。

 これくらいは貰ってもいいだろう。

 

「それと争いごとの件なんですが、ギルドを去っていったパーティーは……とても魔力の高さを感じましたが?」

「知りませんか、あの人質達を?」

「はい。このギルドでは見たことがない顔ぶれでした」

「森の王といったら伝わるかな」

「森の王というパーティーですか。覚えておきます…………森の王!」

「そうです」


 本当に知らなかったらしくアゴが外れるくらいに驚いている。


「勇者サリオスがいるパーティーですよね!」


 俺が元所属していたのは内緒だ。


「サリオスといたのは、大魔道士ジェンティルに剣士ムジカですか?」

「そうなる」

「びっくりしました。Sランクパーティーの……しかもトレイルは戦っていたのは、理由があると?」

「別に理由はないです。気になさらないでください」


 気にするなというのは無理かな。

 相手はSランクパーティーなので。


「気にします!」



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