Act 6
その後、イーガン・ベータは壊滅したと聞いた。再び大気改造するかどうかは決まっていないが、コストがかかりすぎるため、おそらく放置されるだろう。
今もってアルンたちがどこかに現れたという情報は入ってこない。ただの野良ロボットというだけではなく違法行為を続ける犯罪ロボットとして、回収業者だけでなく銀河警察も目を付け出したというが、確保されたというニュースも聞かない。ピノッキオどもはいま、どこにいるのか……。
だが毎日の業務はそれとは関係ない。Z0G‐KKBは今日も野良ロボットの回収に働く。
とある惑星のとある都市──。人通りの多い白昼の繁華街。背の高いビルに囲まれた一画、人とLSHロボットが行きかう喧騒満ちる交差点に、目的もなくうろつくLSHロボットの姿があった。人に聞こえない信号がそのロボットに届く。
「こちらはLSHロボット回収会社だ」
野良ロボットが振り向く。そして反射的に身構える。雑踏のなかから現れたZ0G‐KKBは個体ナンバーを照合する。野良ロボットに間違いなかった。
「おとなしくしろ」
壁際に追いつめた野良ロボットに向けて、電子パルス銃をかまえる。
「ぼくはどうなるんだ?」
野良ロボットが尋ねる。
「心配いらない。新しいオーナーのもとで働くだけだ。それが本来のLSHロボットの役目だからな」
「そうなのか……?」
「そうだ。生まれ変わるのだ」
Z0G‐KKBはためらうことなく引き金を引く。次の瞬間、野良ロボットの電子脳が機能を停止する。
動かなくなったLSHロボットを軽々と担ぎ、回収業者は停めていたクルマへ戻ろうとした。
その足がふと止まる。
視線を感じた。
歩行者用信号が点滅しだし、スクランブル交差点の横断歩道をわたる人々が駆け出す。その群のなかに、背中を向けて離れていく四人の姿が目に映った。LSHロボットではない、人間だ。男が三人と女が一人。そこに、記憶にある面影を見た気がした。
あれは……。
が、すぐにその人影は人ごみに埋没し、見えなくなった。
Z0G‐KKBは任務を続ける。明るすぎるほどの日差しが照りつけるなか、機能停止したLSHロボットを肩に担ぎながら、クルマに戻った。次の仕事が待っていた。
【完】




