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15 Trick or Treat?

朝食を食べ終え後片付けをしていると、陽羽(ひいろ)がハイテンションで現れた。

「ハッピーハロウィン!!おはよっ奏多!ねぇねぇ仮装何にする?あ、女陽羽(ひいろ)にエッチな格好はさせないよ☆」

「…………朝からうるさいぞ。早く食べてくれ、ついでに片付けるから」

10月31日。そうか。今日はハロウィンなのか。

陽羽の言葉で、今日がイベント日だと気づかされたが、とても一緒に騒ぐ気にはなれなかった。いや、今更騒ぐ歳でもないが。

「はぁーい。てか、奏多、最近元気ないねー。葵さんも遊びに来るどころか、お裾分けも持ってきてくれないし。また何かあったの?」

トーストにバターを塗りながら、陽羽が口を開く。

「いや、何も。それから葵さんとはもう」

自分でも気づかぬ内に暗い顔になっていたのだろう。咄嗟の嘘は簡単に見破られた。

「やっぱなんかあったんだね。でも大丈夫☆この天才キューピッドさ」

「そういうのはもう良してくれ。……大体。お前のその”キューピッド”とかいうのも、本当なのか?あの時だって、お前がいてくれたら少しは違う状況に」

「なってなかったと思うよ」

自分に腹が立って()()()()()()俺を、陽羽は静かに諭した。

「っ!?何でそんなこと言えるんだよ?そもそもお前、あの場には」

「うん、いなかったよ。だから葵さんから聞いた。葵さんも悩んでたよ凄く。オレはさ、奏多が”幸せ”へ辿り着けるアドバイスは出来るけど、それを実際に選んだり実行するのは奏多自身なんだよ。……。大丈夫。今からでもちゃんと話せば」

「もう無駄だ……」

「はぁ、わかった。奏多がそう言うなら。あ、そうだ。友達来るからハロウィンのお菓子買っといてね」

「は?そんなの自分で」

急に話を変えられ戸惑う俺を、無視して陽羽は玄関へと向かう。

「なるべく可愛いやつね。オレ、バイトだから。よろしく~☆」



「ねえ。何で奏多とキスしなかったの?」

「どうやって入って来たのよ」

そう言った葵さんは、机に突っ伏したままピクリともしない。

「こういうことされると困るんだよね~。いつも言ってるけどそっちが成仏しないのは勝手だけど、奏多を不幸にするのだけはやめてよ」

すると、葵さんはがばっと顔を上げ、半ば叫ぶよう言葉を吐いた。

「す、好きって言ってもらってないからよっ。きちんと気持ちを確かめないとっ」

「えー、そんなことしなくても、もう十分わかってるはずじゃん、お互い」

「分からないわよ、本当のことなんて」

何かを思い出しながら、葵さんは呟く。

「あ!もしかして~、『生きてほしい』って思っちゃった?」

少し意地悪な言葉を言うと、彼女は怒りを露わにして再び叫んだ。

「ち、違うわよ。だから気持ちをっ!」

「そうなんだ。てっきり奏多の未来を願っちゃったのかと思ったよ。だって、一度でも口づけを交わしちゃったら奏多は一瞬で()()()()()だし、ね」

「!!!!!」葵さんは大きく目を見開く。

「こっちは何でもお見通しなんだから、ヘタな言い訳はしないほうがいいと思うよ」

「あなたは、奏多くんが……死んでもいいの?」

葵さんが静かにそう問いかけてきた。……今更そんなこと。それに、ここで逃げ出したら(のぞみ)がなんて言うか。

「ううん。ぜーんぜん良くない。こっちにだって事情はあるからね☆」

「事情って」

最初から事情(希のこと)を話す気はなかったので、早々に葵さんの言葉を遮る。

「だけどさ。それでも。”それ”が奏多の選んだ答えなんだったら、オレはどうすることも出来ないよ」

「奏多くんの。答え……」

「とにかく。奏多が葵さんに気持ち伝えて、オレと葵さんのどちらを選ぶかきちんと答えが出るまでは、この勝負、決着はついてないからね」

「だけど奏多くんとはもう」

()()の恋愛ならここで終わることが出来るかもしれない。だけどこれは()()()()()()の恋愛なんだよ?」

「彼を……苦しめたくない……」

「それでもダメなんだよ、立ち止まってちゃ。自分が苦しむことになったとしても」


「じゃあ、今晩奏多と来るからね。ちゃんと仲直りしてよ」

オレは靴を履きながら、葵さんに伝える。

「……わかったわ」

「あ。それと今日はハロウィンだから。()()

持ってきていた紙袋を手渡すと、葵さんは頭上に”はてなマーク”を浮かべた。

「何なの?」

「何って、ハロウィンといえば仮装じゃん☆奏多はエロいのだったらなんでもOKだと思うけど、特に婦警かナースがいいみたい。ベッドの下の雑誌のお姉さんもそのどちらかで」

「もういいわよ分かったからっ」

葵さんの顔が瞬時に赤くなる。は~~~ん、ひ~~~ん、ふ~~~ん、へ~~~ん、ほ~~~ん。

「大丈夫だよ。ただ仲直りしてほしいだけで、()()を着て奏多を悦ばせる、なんてことしなくていいからさ☆」

「なっ!出来る訳ないでしょあんなことっ!」葵さんの顔はますます赤くなった。って見てるんかい。

「ま、オレも楽しみにしてるからさ☆あとでね、ばいばーぁい☆」

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