No9.4度目の朝Ⅲ
「秋風雨月様ようこそ!ATRへ」
「フロラ、何故ここにいる」
「フロラ?とは誰のことでしょうか?私の名前はユリスと申します」
目の前にいる女性はフロラそのものだったが、ユリスという別人だ。どうして神と同じ姿の人間が存在してるんだ?
「秋風様、早速ですが情報交換会議がまもなく開始しますのでこちらへどうぞ」
ユリスの案内で大きな会議室へ到着した。中に入ってみると仮面をしている男女数名がいた。情報交換とはいえ、敵同士なんだから素顔なんて見せるはずないか。
『転生者達よ。よく来てくれたな。我が名はATRだ。今日は思う存分楽しんでくれ』
ATRというリーダには前にどこかで会ったような気がしたが、覚えはない。前世ですれ違ったとかなのかもしれないしな。
「お前が秋雨か」
「ATRさんはじめまして」
「かしこまるのは辞めてくれ」
「わかったよ」
「秋風よ。お前に質問だ。全てを思い出したか?」
「思い出すも何も忘れていることなんてないよ」
今日の夢でも何回も問いかけられたよな。心当たりが全く無い。それにしてもしてもATRの話し方が俺に似すぎているような気がする。歳をとったらあんな風になっちまうのか。肝に命じておこう。
そして、様々な人物と話を終えた情報交換会も終盤に差し掛かったときだった。
「桜木!貴様何故ここにいる」
「ATR自分の思い通りにことを運ぶとは許されないぞ」
「またお前は邪魔をするのか」
「150年よく頑張ったな。確か最初にお前を殺したときも刺したはずだな。ごめんなATR」
桜木先生はATRの心臓めがけて走っていき、刺殺した。それで終わると思いきや、次に俺の方めがけて一直線に走ってきて、刺してきた。
「秋風、無知だったな。すまないな。これもこの世界のルールだ」
1回目と同じ終わり方をしてしまった。俺の目の前は暗くなった。またアガレスに聞かないといけない・・。
「やあ!戻ってきてくれたね」
「久しぶりだな」
「だね!また刺されちゃって残念だったね」
「確かにそうだが、今回は分かったことも多かったよ」
「そうなんだ!それならよかった」
特殊部隊についていこうが、学校へ登校しようが、どっちみち桜木先生に殺されてしまうということが分かった。だったら、桜木先生を殺してみるのも手だが何度も生き返れるという保証がない限り、それをするのはリスクがいる。
でも、それで状況が変わるのであればやるしかない。
「そうだ!秋風ー。僕から新しいプレゼントをあげるよ」
「称号とかならいらないかな」
「日本刀をあげるよ」
「いきなりこんなものをくれるなんて何を考えている?」
「何も考えてないよ。多分5度目の朝でそれを使うことになるよ」
「それ・・・はどう・・」
「時間が来たみたいだね。バイバイ」
いつも、肝心なところを聞こうとすると時間が来てしまう。アガレスの奴わざとやってるだろ。
そして俺は白い光に包まれて5度目の朝を迎える。
4度目も失敗に終わってしまいましたね。
いよいよ5度目の朝を迎えます。
ブックマーク登録と評価をお願いします。数字が私のモチベーションに繋がります。