包容
「そうなのね…」
「……。」
「だから、頼むよ。」
「あんな子のどこがいいんだよ…」
父親の呟く声が、僕には、痛かった。いいとか悪いとかじゃない。いいとか悪いとかじゃないんだ。
その夜、僕のベッドで眠ろうとするあさみを、僕は抱いた。朝登は、下で、父さん達と寝ていた。
あさみの身体は、前より美しくなっていた。胸も大きく、柔らかくて…腰回りも、弾力があった…。あさみは、おとなしくなって、もう、トランポリン、とか言って、ベッドで跳ねなそうだった。僕は、あのあさみからは、成長しているんだな、と全身で実感した。
「赤ちゃん、できるかな?」
「…。できないよ。」
「えっ!なんで?」
「避妊してるからだよ。」
「ひにん?」
「赤ちゃんができないように、ここを覆ってたんだ。」
「なんで?」
「ここから、赤ちゃんの種が出てくるんだよ。」
「そうなの?…。あの温かいやつ?」
「そ、そう。」
「なんで、ひにん?するの?」
「赤ちゃんを育てるには、お金も大変なことも増えるだろ。それに、あさみの身体が心配なんだ。」
「え?」
「朝登を産んだ時のこと、覚えてないの?辛かったでしょ…」
「あ、あさみは…痛かったけど…がまんできたよ!」
「……。ありがとう。」
「え?」
「ありがとう。あさみ…もうがまんさせないから。がまんしなくて、いいんだ。痛いことは、嫌だって、言ってもいいんだよ。」
「…?」
あさみは、心底、何を言われたのか分からないという顔をしていた。
「あさみ…」
「なーに?」
「僕は、あさみが、好きだ。」
「私も、たーくん、大好き!!」
「……。ありがとう。」
僕は、あさみと朝登と三人で、いや、どこまでも本当には分かり合えないかもしれない家族の中で、一人で生きていくことを受け入れることにした。




