第1話 曖昧な不倫
土曜日の昼下がり。青空に爽やかな風が吹き抜け、まさにどこかへ出かけるには最高の気候だった。
僕、中島孝之は、東京都の浜町高校の2年生です。僕の日常は、ごく平凡で、もちろん少しのんびりした感じと言えます。
この日の昼間、僕は前日の放課後に買ったばかりのラブコメ小説を読んでいた。テレビや配信でのサッカー観戦と並ぶ、僕の二番目の趣味だからだ。
趣味を満喫してはいるものの、恋人の穴見由美の存在のおかげで、僕の毎日はとても明るく彩られている。
それもそのはず、由美とは中学1年のときから付き合っている。学年末テストが終わった日の放課後、僕から告白したのだ。
あの告白以来、由美との関係はより一層深まり、まるで運命の糸に導かれるように、今では同じ高校の同じ学年に通っている。
そこから僕たちの将来の夢も膨らんでいった。よりロマンチックなデートの計画や、同じ大学への進学など、色々な未来を二人で語り合うようになった。
交際期間はもうすぐ4年になる。大きなドラマも、これといった喧嘩もなく、週末のデートでいつも仲良く時間を過ごしてきた。
由美と一緒なら幸せだと心から思えるし、何より由美は僕に無理な要求を一切しない。
実は、この土曜日に上野で由美とデートする計画を立てていた。上野恩賜公園、上野動物園、あるいは東京国立博物館を巡る予定だった。
ずいぶん前から計画していて、由美もその予定に賛成してくれていた。
だが、デート当日の朝、突然由美からLINEで短いメッセージが届いた。
「中島くん、ごめんね。今日は熱とインフルエンザの症状があるから、デートに行けなくなっちゃったの。」
メッセージと一緒に、39度を示した体温計の写真も送られてきた。
メッセージを読んで少しがっがりしたけれど、証拠の体温計の写真を見せられては納得せざるを得なかった。
「大丈夫だよ、由美さん。気にするなよ。」
「早く良くなってね、大切な由美さん。」と、心配を込めて短く返信した。
由美は大きなハートのスタンプを送ってきて、僕の気持ちを受け取ってくれたことを示してくれた。
そのスタンプを見て、僕の心は少し軽くなった。今でも彼女が僕を信じてくれている証拠だと思ったからだ。
今日のデートは中止になってしまったけれど、彼女に対してネガティブな気持ちにはならなかった。むしろ、果物を買って彼女の家にお見舞いに行こうと思いついた。
僕は部屋を出る支度を整え、リラックスした格好で上野のアメ横商店街へ向かい、彼女へのお土産を買うことにした。
電車での旅を終え、ようやく御徒町駅に到着し、急いでアメ横へと向かった。
そこでは多くの人波が、果物や野菜、色々な肉や魚を売る店の間を行き交っていた。
僕は果物の店に向かった。店頭にはたくさんの果物が並んでいる。
深く考えず、1200円分のブドウとミカンの詰め合わせを買い、代金を支払った。
ブドウとミカンを選んだのは、中学生の頃のデートで由美がいつも美味しそうに食べていた、彼女の大好物だからだ。
最初は御徒町駅からそのまま帰ろうかと思ったが、デートが中止になった名残もあり、上野駅近くのスポーツ用品店でジャケットや靴でも見ていこうと思い立った。
大通りを歩いていたその時、ふと視界の隅に一人のシルエットが飛び込んできた。その人物は、あるカフェの方へと歩いていた。
上野の雑踏の中、僕の足がその場でピタリと止まった。見慣れた後ろ姿を捉えた瞬間、心臓が普段の二倍の速さで跳ね上がった。
肩までの美しいダークブラウンの髪、そしてあのデートの時に一緒に選んで買った水色のカジュアルなドレス。間違いない、あれは穴見由美だ。
長年会えなくて恋しすぎたせいで見間違いだと思い、僕は何度もまばたきをした。
しかし、その体型、持っているハンドバッグ、少し上品な歩き方まで、間違いなく知っている。あれは本物の穴見由美だった。
「今日はお家で熱とインフルエンザで寝込んでいるって言っていなかったっけ?」
そんな疑問が真っ先に頭をよぎった。
思考が追いつかないうちに、カフェのドアが開き、もう一人の人物が姿現した。
背の高い男が黒のボンバージャケットを着て由美に出迎え、満面の笑みで彼女の腰を引き寄せ、親密そうにカフェの中へとエスコートしていった。
その光景があまりにもハッキリと目の前に飛び込んできたせいで、血が一気に頭に上り、息が詰まった。周りの世界が止まったかのように感じた。
だが、驚きはそれだけでは終わらなかった。男が由美とカフェの席に座り、大きなガラス窓から差し込む太陽の光でその横顔がはっきりと照り出された時、僕の息は完全に止まった。
その男は早本零。小学生の頃からの幼馴染であり、僕の親友だった。
「え? 早本さんと一緒なの?」
頭がショートし始めた。穴見由美の好きなブドウとオレンジが入ったビニール袋をまだ握りしめていた私の手が、突然冷たく硬くなった。
「どういうことだ? 早本が由美さんとデートしているのか?」
改めて言うと、早本零は小学生からの腐れ縁の親友だ。よく一緒に遊び、つるみ、色々な悩みを打ち明け合ってきた。
しかし、早本は、私が穴見由美という名前の彼女がいることを全く知らなかった。まだ彼女を正式に紹介する機会がなかったからだ。私は、中学の頃から彼女がいるとは話したことはあったが、名前については説明していなかった。
一方で、由美も早本零が僕の幼馴染だとは知らない。彼女は僕の友達について細かく聞いてこなかったし、僕も早本について特別に話したことはなかった。
愛する彼女と、一番信頼している親友が今、カフェの中で並んで座り、楽しそうに笑い合い、ケーキを一口ずつ食べさせ合っている。時々、早本が由美の頭を愛おしそうに撫でる。
ガラス窓の陰からその失恋の瞬間を見つめている僕の存在に、二人はまったく気づいていない。
こめかみから冷や汗が伝い落ち、右手に提げた果物の袋がやけに重く感じられた。
「今、僕はどうすればいいんだ?」
混乱しきった心の中で、僕はそう呟いた。
しかし、自分でもわかっている。僕はただ、作者であるツヤトノさん(@Tsuyatno)に描かれている物語の男性主人公にすぎず、作者がまさに今の僕の選択を待っているということを。
この混乱の最中、この物語を読んでくれている読者の皆さんに、次のエピソードに向けたアドバイスや感想を聞いてみたくなった。
「ねえ、読者の皆さん。この物語の続きにふさわしい展開のアイデアや感想を教えてくれないかな。どんなコメントでも構わないから、この先のストーリーのために意見をくれるなら、僕のことを気にかけてくれる君たちに心から感謝するよ。このWeb小説の展開のためにね。」
「皆さんのコメントは、次のエピソードの僕にとってとても意味のあるものなんだ。待っているよ、みんな!」――中島孝之




