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転生聖女は自由に生きたい  作者: 辻 壱
42/102

42.チーム聖女改

 宿屋に帰ると、少年がいた。

 転移で帰ろうと思ったのに、索敵でいることが分かっていたので、若干手前から歩くことになったではないか。


 部屋には困った顔のアマンダさんと、無表情のシュレインさん。そして、素知らぬ顔の少年が、パーソナルスペースをふんだんに取り入れて配置されていた。なんちゅー居心地の悪そうな空気!

「よぅ。」

 少年が声をかけてきた。

「どうしたの?」

「お前聖女だったんだな。」

 だからといって口調を変えるわけではないところに好感を持てる。

「ただの女の子なんだけどね。」

 私の返しに、少年は半目になった。

「その方が良かったよ。そうなら、お前に文句も言えただろ。」

 少年よ、それは暗に言ってる気がするけども?


「騎士団はしばらく機能しないだろう。あの調子だと、団長や魔法師たちがごっそりいなくなりそうだ。」

「やっぱりワイバーンにエサとして与えてたんだ?」

「みたいだな。なのに、ワイバーンを持てて浮かれてた自分が情けないよ。」

「知らなかったんだから、しょうがないんじゃない?」

「そうもいってられないさ。騎士は基本三人一組で動くんだが、タイドとファムが捕まったからな。」

「あの二人が主導してたの?」

「いや、ワイバーンに関しては団長だ。魔法師はその命令に逆らえなかっただけだ。

 あの二人は、お前を殺そうとしてたから捕まった。」

「そんな恨まれる事してないんだけど・・・・・・。」


「こんなこと言いたくないが、ファムが俺のことを好き過ぎてやったんだろうな。」

 うへぁ。でもそんな感じだった。

「俺が入団したのは一昨年だ。その時からずっと俺のことをかわいいかわいいって凄かったからな。」

 うんざりした顔で言ってるので、一方的な好意だったんだろう。そういやこの前も抱き着いてたな。

「それなのに、俺がお前に興味を持ったのが悪かった。

 魔族なんじゃないかって言いだしたのはタイドだ。だが、あの時はお前がいなかったら勝てなかったのは明白だ。

 だから、やはり違うのではないかと。しかし、俺としては、国に報告すべきだとは思った。

 城に連れて行こうと言ったら、今度はファムがお前は絶対魔族だと言い出したんだよ。」

「なんで?」

「最奥で戦った時に、敵の魔法をかき消したんだろ?

 しかも、守護魔法もかなり高位だったと言っていた。

 それが魔族だという証拠にはならないし、どちらも遮断魔法で説明がつくだろうと言ったが、即死魔法を唱えられるのなんて魔族しか知らないからな。それを消せるのなら、お前も唱えられるはずだと。」

 まぁ、唱えられるしなぁ。

「それでも俺が渋るものだから、タイドに標的を変えた。

 タイドはこの国の神官でもあるんだ。しかもかなり高位のな。だから、元から魔族に対しては強い嫌悪感というか、敵対心があるんだよ。この国は魔境と隣り合わせだからどうしても魔族との因縁があるし。

 そんな奴にお前のことを魔族だ敵だと強く言い続けていたから、おかしくなった。

 ただ、もしかしたら、ファムに何かやられたのかもしれないな。ファムはなんていうか、変な研究してるやつだったし、タイドだってそんなことくらいじゃ、あんなふうにならないと思うし。」

 少年は遠い目になっている。結構苦労してたんだろう。


「でだ。俺は相方たちもいなくなったし、騎士団も大変だしで、お前たちについて行くことにした。」

「は?」

 おいおい、何を言っているんだい?

「殿下に一緒に行けって言われたのもあるんだけどな。俺もそうしたい。連れて行って欲しいとは言わない。ついて行く。」

 決定項かよ!

「ちょっと待って!一旦整理しよ!」

 私は後ろでぼんやりしてるドラゴンを見た。

「実は、このベイダルさんもついて行くって言ってるんだけども・・・・・・。」

「え?」

「は?」

 アマンダさんとシュレインさんの二人が宇宙を背負っている。


「なんか、オスカラートのドラゴンに会いに行くんだって。」

「弟なんだ。」

 ベイダルさんが、ニッコニコで付け足す。いらん情報ありがとう。

「で、この少年もついてくるって言うんだけど・・・・・・いや待って?それをいいか悪いか聞く以前に、ベイダルさんは一人で行ったらいいんじゃないの?」

「お前も行くんだよ。」

「どこに?」

「グレンドのとこ。」

「なんで?」

「聖女だからな。見せてやろうと思って。」

 うん、勝手に決めないでほしいな!


「で、少年は何をしに一緒に行こうと?」

「さっきから少年少年て・・・・・・。俺のことはディアと呼んでくれ。一緒に行く理由は・・・・・・お前の監視だな。」

「本人を前によくもまぁそんな単語をつかえたものだわ。」

 頭が痛い。

「あと、オスカラートの武闘大会に出たい。今から帰るんだろ?全速力で行ったら間に合うよな?」

 そいやそんなものがあるって聞いてたなと、シュレインさんを見た。

「シュレインさんも出るの?」

「間に合うなら。かなりギリギリだと思いますが。」

「だから、考えてる暇なんてないぞ。さっさと行こうぜ。」

 少年よ、勝手に仕切らないでほしい。

「お?俺も出るー!」

 ベイダルさん、君は確実に優勝するからやめなさい。

 私のクソデカため息と共に、オスカラート組は宇宙の果てを見つめたのだった。



 翌日の朝、我々はさっそく問題に直面した。

「この人数と荷物の量だと、一日でそんなに距離を稼げそうにないですね。」

 馬車は余裕があるものの四人乗りなのだ。シュレインさんと少年が御者台に乗っても、荷物が馬車の上に固定するほどにはある。

「ディア君よ、君はワイバーンをどうするつもりなの?」

「国外に行くのに連れてけるわけないだろ。ディードは騎士団のワイバーンだ。」

 その表情は若干暗い。本当なら連れていきたいのだろう。しかし、そうもならないようだ。

「今なら混乱のどさくさに紛れて、連れてけるんじゃない?何なら手伝う?」

「・・・・・・物騒なこと言うなよ。」

 間があったので、迷ったな?


「じゃぁ、ベイダルさんは飛んでいこう。」

「俺はいいけど、先にどこで待っとけばいい?城?」

「あ、問題アリアリなんで、やっぱそれ却下で。」

 単身黒龍が城に乗り込んだら、この世の終わりだと思われるだろう。

「っつか、全員俺の上に乗ればいいんじゃね?」

 ベイダルさんは神話時代からの偉大なドラゴンのくせに、かなり安請け合いするタイプのようだ。威厳もへったくれもない。

「馬と馬車はどうするんですか?」

「別にそれくらいは手と口で運べるし。」

「それは止めていただきたい。」

 シュレインさんが即答したが、それもそうだ。絵面ヤバイもん。絶対捕食中じゃん。

 ちなみに、ベイダルさんはでかい。片手に馬が乗るくらいはでかい。


「武闘大会ってのは、何日後にあるの?」

「ほぼ一ヶ月ですね。」

 ベリンダールの王都から国境まで二週間。国境からオスカラートの王都まで二週間はかかっていたので、本当にギリギリだ。

「えーいもう、仕方ないし帰ろ!一瞬で帰ろ!」

「国境はちゃんと通ってください!」

 アマンダさんが慌てる。

「あ、はい。」

 まぁ、色々とあるのだろう。


「聖女殿、申し訳ないのですが、国境からはその手が使えません。」

「え?どうして?」

「私の本来の仕事は聖女殿の護衛ですし、それについて王都へ連絡していました。

 最後に連絡をしたのは、ゲーベリオンを出る前です。」

 手紙でも出していたのだろうか?ずっと一緒にいた気がするので、いつの間にやっていたんだろう?

「ベリンダールの王都へ向かうと連絡したのですが、着いた時に冬を過ごすかどうかが分からなかったので、それが決まってからと思ったのですが、結局はまだ連絡をしていません。

 旅の日程からすると、王都へ行ったとは整合性がとれませんが、それは別に予定が変わったとすればいいのでおいておきます。

 しかし、国境を馬車が通れば記録に残りますので、すぐに王都へ入ると、そちらの整合性がとれません。それはさすがにまずいと思います。」

 そうか。転移を隠す以上、結局はどこかで待ち時間が必要なのだ。

 しかし、馬車はキャパオーバーなので、本当に旅をするのは大変だ。


「さっきから何を言っているんだ?」

 ディアがいぶかしげに聞いてくる。ディアは転移を知らないのだ。

「いやぁ、私の魔法で帰ろうって話よ。でも、実はその魔法、秘密なんだよね。」

 私のその言葉に、ディアは呆れた顔をした。

「秘密って、俺に言っていいのかよ。」

「え?だってついてくるんでしょ?だったらもう仲間仲間!」

 半ばやけくそなのは言うまでもないが、ディアは何ともいえない顔になって、目線をそらした。

「そうか。まぁ、秘密は守る。」

 それなら問題は何もない。

「だが、それなら俺も国境を通る時の記録が残るが、どうするんだ?」

「あ・・・・・・。」

 結局、国境までの時間も大幅には短縮はできないのだ。

「うごご。・・・・・・もうしょうがない!最終手段を発動します!」

 私の言葉に、全員がこちらを向いた。

「一旦、私の家に行きます!そこで時間をつぶして、国境を通って、また時間つぶして、王都に帰ります!」

 回りくどい!しかし、これが一番いいだろう。


「ご実家ですか?私たちが急にお邪魔しても大丈夫なのでしょうか?」

 シュレインさんの遠慮がちな声に、我が実家の狭さを暗に言われていることが読み取れた。

「ブッブー!私のお家です!」

「「え。」」

 シュレインさんとアマンダさんがハモる。お前そんなんあるんかいという声だ。前に言ったのを忘れたのかね?

「ふっふっふ。仕方ないのでご招待しますよ!我が最高の現代建築へ!」

 私がビシィとポーズをとったのを、ドラゴン以外が胡散臭そうな目で見るのおかしいと思います!

 そんなわけで、不服ではあるけれど、我が家のお披露目がされることとなったのであった。



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あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。


今年の目標としては、聖女これ>悪役令嬢>聖女くらいは話をかきたいなと思います。

全部そんなに長くなるとは思いませんが、引き出しはないので似ちゃうかもしれないです。

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