ゼロイチ10
ヒノミ「うぅ...お腹が痛い...」
ヒノミはお腹を押さえながら床に倒れこんだ。
フタコ「大丈夫!?今、誰か呼んでくるから待ってて!」
ヒノミは大きな扉を力一杯叩きながら大きな声で助けを求め始めた。
ドン!
ドン!
ドン!
フタコ「誰か!誰か居るんでしょ!お願い、ヒノミがお腹が痛いって倒れたの!誰か助けて」
ドン!
ドン!
ドン!
タイミングを見計らったかのように直ぐにソート・ニアが大きな扉を片手で押して開けた。
扉が閉まると同時にソート・ニアは言った。
ソート・ニア「猿芝居は止めなさい。あなた達の言葉、行動その全てが監視されています。なので、あなた達が先ほど腹痛を装いここから抜け出すという愚策も筒抜けです。」
ヒノミ「プライバシー侵g」
ヒノミの育ちの悪そうな口調を遮り、食い気味に話し始めた。
ソート・ニア「ご心配なく、監視役は同じ女性である、この私が行っています。他の隊員は長官だろうと見られません。
また、トイレ、着替え等は別部屋が用意されています。
あと、どうせなら行きますか?トイレ。抜け出すことなんて無理ですが。」
ヒノミ「へっ!いいよ!やめだ!やめだ!」
ソート・ニア「話しが早くて助かります。では、ご機嫌用。」
扉を再び片手で押して開くとソート・ニアは薄笑いを浮かべて、その場を後にした。
ヒノミは悔しそうに座り込んでしまっている。
その隣でフタコは考えていた。
フタコ(逃げ出すことは無理ということは、やはりこの訓練とやらを終わらせる他ないのね。でも、さっきドアを叩いてみたけど全く動かなかった。いくら重い扉だからといって私の妖力をぶつけたら、少しぐらい軋む音が鳴ってもいいはず...何かおかしい。力任せでは開かない仕組みではないか...そして、あの扉は中からも外からも押して開く構造になっている。絶対に何かあるね。...でもまずは全力で!)
フタコは顎に当てていた指を離した。
フタコ「ヒノミ!あの扉を全力で押すわよ。」
ヒノミ「う、うん。とりあず押してみようか」
2人は力を合わせ最大の力と最大の妖力で押したが、扉はピクリともしなかった。
フタコ「やっぱりおかしい!私たちの最大で1mmも動かないなんて!」
ヒノミ「1mmぐらいは動いたんじゃない?」
フタコ「そういうことじゃないでしょ!何か仕組みがあるはず!」
ソート・ニア(あのお姉さんみたいな方が頭が良くて、あの野生みたいなのが感がするどいのね。なるほど、なるほど。)
ソート・ニアは手袋に包んだ手を顔の前で合わせて、その上に顎を載せてモニターを眺めていた。