6.旅立ち
誤字脱字、拙い文章すいません。
「…絶対に、お前を倒す!」
「まるで魔王にでも挑もうって気迫だな。とっさのことで焦ったがしょせんお前が一人殺そうが精々レベルアップ一回がいいところだろう」
確かに彼を殺してどれくらいの経験値が得られるかは賭けだった。Lv1の一般人を殺した時と同様の経験値だったかもしれな。
だが、彼が勇者だったからだろうか。
Lv10だったからだろうか。
わたしは莫大な経験値を得ることができた。
精霊がレベルアップの通達が脳内に響く。
「レベルアップしました」
そして獲得したスキルが通達される。
「スキル【毒耐性】【電撃耐性】【炎操作】【水操作】【飛行】【武器耐久強化】【麻痺付与:E】【暗視】【即死回避】【自己修復:E】【敵体力視認】【念話】【吸血:E】【転移:1】【聴覚封じ】」
合計15個のスキルを獲得した。
レベルアップをするたびに一つのスキル獲得するのでわたしのレベルは現在17だろう。
だが精霊の声はそこで終わりではなく、もう一つ獲得したスキルを通達する。
「並びにEXスキル【ミィーティアブレイド】を獲得しました」
EXスキルとはなんだろうか、初めて出る単語だった。
とりあえず今は深く考えないようにして甲冑の男に向き直る。
「そうでもないみたいよ、…彼のおかげでわたしはLv18にはなれたみたい」
「はっ!なら丁度いい!こいつの性能は勇者のLv18相当だからな!」
そういって甲冑の男はこちらに向かって突進してくる。
(はやい!でも、対応できる!)
甲冑の男の攻撃を剣で受け止める。
重い衝撃が身体全体へと伝わっていく。
その瞬間わたしの真下に青い魔法陣が出現する。
瞬時に魔法陣が赤色の光を放ちわたしに強烈な重力がかかる。
「ぐっ!」
「おらおら!勇者のLv18ってのはそんなもんかぁ!」
甲冑の男のがさらに力を加える。
剣が折れていないのはスキルのおかげだろうか。
「…負けられるかぁ!」
わたしは力を振り絞り跳躍し、天井を突き抜け空中で静止する。
「はぁはぁはぁ…」
(強い!、このままやって勝てるのか?)
仲間を殺してまで手にした力でもぎりぎりのところで耐えるのが精いっぱいだった。
「おいおい、次は空中戦か?」
「空まで飛べるなんてちょっと詰め込みすぎなんじゃないですか?」
「こいつは現時点での俺の集大成だからな、まぁ理論上はLv20くらいのスペックをだせるはずだからなぁ。まだまだってところだ」
「すごいですね、ところでそれは一体なんなんですか?」
体力回復のための時間稼ぎの会話だが、その質問はずっと気になっているものだった。
(さっきの発言から彼が作ったのは間違いないみたいだけど)
「わりぃな、そいつは企業秘密だ」
「企業?あなたとの会話はわからないことだらけで全然理解できませんよ!」
わたしは甲冑の男に斬りかかる。
「はぁぁぁぁぁ!」
連続で何度も剣を振るが、回避され、防御され、ダメージを与えられない。
「ほんと、勇者のレベルってのはすげぇな。さっきまで怯えるだけだった嬢ちゃんが一瞬でここまで強くなるなんてな!」
甲冑の男が蹴りを放ちそれが正確にわたしのみぞおちを捉えた。
「ぐふっ」
「嬢ちゃんは全く戦闘に向いてないって感じだな、大振りだから剣筋が読みやすいんだよ」
わたしはみぞおちを押さえながら数歩分後退する。
「そろそろ終わりにしようか」
甲冑の男の頭上に赤い魔法陣が出現し甲冑の男の体に沿って降りていく。
「これがこの国の真髄だ」
魔法陣が甲冑の男の体の下まで降り、消失する。
すると甲冑の男の体が帯電し始める。
甲冑の男の体の随所から煙が漏れ出す。
甲冑の男はわたしに背を向け距離を広げていく。
「魔法と科学、両方を合わせた一撃、喰らいなぁ!」
甲冑の男が加速を重ねわたしに向かい突撃する。
「まだ…まだ終われない!」
(わたしが殺したあの子の命を無駄にはしない!したくない!)
「EXスキル【ミィーティアブレイド】!!!!」
叫びと同時に身体が意思に反して勝手に動きだす。
剣を逆手に持ち直し、甲冑の男を目掛けて投擲した。
剣は様々な色の光を放ちながら一直線に甲冑の男に向かっていく。
一瞬の間に甲冑の男の拳と剣が衝突する。
「がっあああああああああ!!!!」
一瞬の均衡、そして。
莫大な衝撃波と音を伴い爆発した。
「…やったよ…………………………………」
わたしは力なくゆっくりと地面へと落ちていく。
「はっはっ、はは、ははは!なんだぁありゃ!とんでもねぇ隠し玉持ってんじゃねぇか!くっそ、おれのスーツ壊しやがって!なんてもん作りやがんだジジィ!次は完璧に勝つ!あはははははは!」
甲冑の中から生身の体をむき出しに男は笑いながら落ちていく。
「お姉、さぁぁぁぁん!」
少女の声が近づいてくる。
どうやら無事だったらしい。
「大、丈夫です、か!」
「え、えぇ。何とか生きてるよ」
そこにブゥゥゥゥゥンと聞きなじみのない音が聞こえてくる。
それは馬車から馬をぬいたような印象のものだった。
乗り物だろうか。
「あなた達早く乗って!人が集まってくるわ!」
巫女さんがその乗り物?から出てきて言う。
「身体動かないんですけど」
「わたしが運んであげるわ!勿論お姫様抱っこでね!」
そんなことを言うあたり意外と余裕があるのかもしれない。
わたしと少女はその乗り物?に乗り巫女さんの操縦でその場を離れていく。
(必ずわたしが魔王を殺すから、安心してそこで休んでてね…)
(それにしてもこの子は本当におもしろいなぁ、絶対ここで死ぬと思ってたのに勇者を殺して生き残るなんてね。楽しいなぁ、こんなに楽しいのはいつ以来だろう)
続きます。面白いと思ってくれた人はブックマーク、評価よろしくお願いします。
ブックマークしてくださっている人はありがとうございます。これからも頑張ります。