運命ははじまる、二人の日常から
人は言った
「世界は一人の主観では成り立たない」
そう、過去も未来も今も存在するから世界だ
俺は価値の無い存在かもしれない
でも、人の世界の一部ではある
それだけで儲けものだ
「おーいっ!」
誰かが俺を呼ぶ、あまりにもうるさいから黙らせるため思い瞼を上に押しのける
「おっ起きた~っ!」
「なんだ、お前か・・・・・・」
適当に返事してまた瞼を閉じる
「ああ・・・・・・私は無価値なのね・・・・・・」
「うっるせえーっ!」
「ふふふっ起きたわね!もう放課後よ!」
放課後?
「説明しようっ!」
この宣言の後は説明を腐るほどする、こいつはそういう女だ
面倒だが説明を聞いてやる
「つまり私、美少女で文系の葦等 周子は今日も愛する旦那様である
金城 無陸を起こしているのです」
「そんなやついないけどな!」
「じゃあ、徹底的に説明しようか?」
「わかったからやめろ、ほら帰るぞ~」
気のないあしらいも作法だ
先程挙がった自称、美少女で文系の葦等 周子はうっとうしいぐらい俺にかまう
そんでもって優しいがアホなのがたまに傷
まあ、見た目は俺好みの短髪で眼鏡、しかも巨乳だ
顔も可愛いが性格がやっぱうっとうしい
あと身長が高いからなおだ
周子に比べて俺は圧倒的に視線が低い
目もツリ目、しかもそこまでカッコ良くない普通でどこにでもいそうなアホ
周子から可愛いねと応酬を受けた高校の入学式が懐かしい
といってもまだ一年で夏休みに入る前に説明を受けに来たはいいものの
寝過ごし先生の怒号を聞きながら挨拶して寝ていたらしい
自分ながら色んな意味でロックだ
帰り道の間、色んな人に兄弟と勘違いを受けながら帰るのは慣れた
「で、なんで俺の家についてくる?隣なはずだよな?」
「えへっ」
「えへっじゃねえよ、すごいお前の父さん睨んでるぞ?」
まじまじというより威嚇まがいな目線は少し段数のある玄関から発せられている
「父さんっ!未来の旦那様になんて目線をっ!」
「ちげえよっ!あのおじさん?ちゃんと家に帰る様にいってやってくださいよ」
「ふんっ」
先程、おじさんといった男の人は周子の父でふんっと鼻を鳴らし家の玄関を閉める
昔は遊んでくれたりとか悪友みたいな感じで面白い人だったが
周子が恋をしてしまったのが俺でなんかすみませんと言いたくなったぐらい一時期、へこんでいた
「あら、未来の奥さんなら今日泊まる?」
不意に女性の声がした
なんともノリがいい口ぶりはうちの母さんだ
「母さんは黙っててくれないか・・・・・・」
「あら、反抗期かしら?」
「ちょっと待て、手のおたまはまさかっ!」
「カレーよ?飛び切り栄養が高いわ」
冷や汗が背を伝う
栄養が高いというのはいつもの絶望的にまずい適当に食材を切り刻みいれた
我が家の汚点である、通称「パンドラカレー」
「パンドラカレーか!」
「失礼ね、おいしい絶品カレーよ」
蚊帳の外にいた周子は少し裾を引っ張る
「まさか、あの?」
コクっと頷くと周子は
「少し案があるわ」
自信たっぷりに胸を張る
思わず胸に目が行ってしまったが
「パンドラの箱を開けるよりいいか・・・・・・」
と誤魔化しながら一応、聞いてみる
「おばさんっ!今日は二人でファミレス行こうかと思ってたんです!」
ナイスっ!と心でサインしたのは内緒だ
「あら仕方ないわね・・・・・・陸路さんに全部食べてもらおうかしら?」
ごめん、おやじ・・・・・・生きていてくれよ
「じゃあ、行こうっ!弟よっ!」
「あら、お姉ちゃんの言うことをちゃんときくのよ?」
「へいへい」
逃げたくて感情の共わない返事で逃げる
泳いで逃げた目線が少し違和感を教えてくる
「うん?」
「弟旦那様?どうしたのかしら?」
「もうなんかわからないものになっているぞ」
さっき、電柱に人が立っていた?
そんなわけはない
とうとう、パンドラカレーから絶望が漏れたか?
「ぼうっとしてるとおばさんに嘘でしたって言おっかな~」
小声で脅され仕方なく笑いかけて
「おじさんに言っとけよ」
小声で心配をかけるなと声を掛ける




