名もなき森
本日分の投稿。サブタイ思いつかなかったのでいっそのこと続編にしちゃえてきな感じでつけました。
思い付きをそのまま書いてるのでソロソロ怪しい部分が・・・
ガラガラと崩れ、やがてぺしゃんと、兵舎と思われる建物が潰れる。
「やっちまったなぁ・・・どうしよう」
「ちょっ、え?え?」
「がはは・・・これはとんでもないな・・・」
「コウさん・・・すごいです・・・!!」
ミリアは、今起きたことがが理解できないのか混乱し、アーネストでさえあきれているようで、アルメリアはなぜか目を輝かせている・・・アルメリアの反応が謎すぎる・・・。
各々目の前の惨状を見て、それに対する反応を示すがそのうちのアルメリアが何かに気づいたように、
「あっ!騎士団の皆さんは!?」
とあわてて兵舎だったと思われる建物の残骸に向かおうとするアルメリアに、
「お、お嬢様、今は団長の指示で騎士は皆、出払っているはず・・・です、でしたよね、団長?」
「ああ・・・うむ、名もなき森の調査に向かわせている。今あそこには誰もおらんはずだ」
まだ少し混乱しているようなミリアと徐々に我に返りつつあるアーネストがそう言ってアルメリアを止めているうちに崩れた兵舎の向こうがざわついてきた。
「なんだ!?モンスターの襲撃か!?」
「なんで兵舎がくずれてるんだ!?」
「騎士はどうしたんだ!?」
などと、どうやら町の人々が集まってきているようだ。
とんでもない轟音と、兵舎の全壊という事態に、モンスターが街中に入り込んだか?などの不安と恐れを感じているようだ。
その様子を見て、アーネストとミリアが目配せをして頷き会うと、
「コウさんは、そこでお待ちくださいね」
ミリアがこちらに待機指示を出し、アーネストとともにミリアが群衆に近づいていく。
「皆さん!安心してください、この出来事は、こちらの不手際で起きたことであり、決してモンスターが街中にいるわけではありません!」
ミリアの言葉を聞いた群衆はほっとしたのか、ざわざわしていたのが徐々に収まりつつある、そこに追い打ちをかけるように、
「がーはっはっは!!!ついつい鍛錬に熱が入ってしまってな!!いつの間にか壊れておったわ!!!」
などとアーネストが笑いながら言うと、
「ああ、アーネスト様か・・・」
「兵舎全壊とかまじすげえっす!!」
「どんだけ馬鹿力なんだよ!」
なんと、アーネストが兵舎を壊したという言動が受け入られつつある・・・
おそらく、ぽっと現れたコウがやったというよりも、普段、しかもこんなとんでもないことができてもおかしくない人物、アーネストがやったことにすれば、群衆も疑うことなく信じることができるのだろう。
実際に群衆は安心したのか散り散りに去っていく。
アーネスト、ミリアがほっとしてコウたちのいるところに戻ると、カインたち館の人間が勢ぞろいしており、アルメリアが興奮したように今の出来事を語っていた。
それを何とも言えない表情で見ていたコウが、戻ってきた二人に気づき、
「すまないな、おっさんのせいみたいになっちまって」
「がっはっは!気にするな!程度の差はあれど、いつものことだ!がーはっはっは!!」
「そうです、団長は破天荒な方ですから、割といつものことって気もしますね」
謝るコウに、豪快に笑って流すアーネストと、嘆息しつつもあっさりとミリアも認める。
そこに話を聞いたカインが近づいてきて、声をかけてくる。
「どうやらとんでもない人物のようだね君は・・・しかし、これほどのものならば・・・」
額に手を当て、少しぶつぶつつぶやくと、意を決したように顔を上げる。
「コウ君、頼みがあるんだが、かまわないかな? ・・・ああ、いや、この件は関係なく頼むつもりだったから、話を聞いてから断ってくれても構わないんだが・・・」
ちらりと兵舎を見ながらそう言ってくるカインに、さすがのコウもおいそれと断れない。
「さすがにこんなことしてただで済むとは思ってないからな、よほどのことでもなければ引き受けよう」
「あっさりとしているね?話を聞いてから決めてくれてもいいんだよ?」
「まぁ、アルメリアの件とこの兵舎の件でトントンとするならば、一宿一飯の恩義がある以上、今は俺が借りがある状態だ・・・それに、前の世界でもいろいろと依頼は受けていたしな」
実際、裏の世界で、殺すだの殺されるだので、ボディーガードをしたりと、前の世界でも相当やんちゃをしていたコウはあっさりとしたものだった。
「そう言ってくれるならこちらもありがたいね、早速で悪いけどある程度の説明は必要だから落ち着ける館のほうで話そう・・・クロウ、あれの件は任せるよ」
「お任せください」
ちらっと兵舎を見てクロウに指示を出すと、それじゃあ、とコウを先導して館に向かうカインについていく。
アーネストも関係のある話なのか、ミリアとともについてくる。
やがて、昨日初めて会った部屋の隣だろう、おそらくは応接室といったところか。
豪奢な椅子、おそらく館の主人であるカイン用と、テーブルをはさんで革張りのソファが並ぶ部屋だ。
「さぁ、席に着いてくれ」
と革張りのソファといったほうを勧められ、カインは豪奢な椅子に座り、こちらが全員座るのを見ると備え付けられたベルを鳴らす、すると一分もしないうちにメイドが現れ、お茶とお茶請けを用意してくれる。
「さて、さっそくだけど本題に入るよ」
「ああ」
話を聞くと、どうやら定期的に名もなき森のモンスターを駆除しているとのこと。
とあるモンスターが異常な速度で繁殖するためだそうだ。
また現在、そのことで騎士団は例のモンスターの規模を図るためか総出で森に向かったらしい。
総出とは大げさだなと思ったが、数名の騎士ではすぐにかこまれてやられてしまうからだそうだ。
コウに頼みたいこととは、そのモンスターの討伐作戦に参加してほしいとのことだった。
そして今回は、特に数が多いらしく、現在この街にいる騎士団だけでは対応しきれるかわからないため、冒険者ギルドの方にも依頼を出しており、参加してくれる冒険者も現在募っていた。
また数が多い原因として、冒険者ギルドのマスターの見解では、ボス、またはリーダーなどといった統率する個体がいるのでは、という意見も出ている。
そのため、念には念を入れて人数を募っているとのこと。
ふと気づいたことをカインに伝える。
「俺はその名もなき森ってとこに迷い人としてこちらの世界に来たらしいが、アルメリアを助けるまでウサギ1匹しか会っていないぞ?」
「ウサギ!?それがそのモンスターだよ!状態は?どんな感じだった?おとなしかったかい?それとも・・・」
「え、ああ・・・パッと見普通のうさぎだったが、ウサギとは思えない鳴き声で鳴きながら襲いかかってきたな・・・」
「む、そうか、アーネスト」
「うむ、やはり繁殖期のようだな・・・」
どうやら普段はおとなしいらしいが、繁殖期となると凶暴性をまし、ひたすらに食べ物を求めるらしい。ウサギなんだから草食系と思いきや、どうやら肉食のようだ、そしてコウが1匹しか見なかったという言葉に、統率個体がいるのではという推測に信憑性が増してきた。
するとそこにあわただしい足音とともに応接室に飛び込んで来る人物がいた。
「失礼します!あ、団長!まずいです!暴食兎の群れです!やっぱり統率個体がいました!!」
騎士団の一人だろう、調査から一人伝令として戻ってきたのか息が切れている。
「どうやらほんとにボスっぽいのがいるみたいだな?」
「アーネスト、頼めるかい?」
「がっはっは!友の頼みだ!蹴散らしてくるとしよう!」
やるきまんまんのアーネストに
「行くぞミリア!コウ!・・・ウサギどもをいっそのこと、一匹残らず殲滅してやろうぞ!!」
といわれて、ミリアとともに立ち上がり同行する。
敬礼する騎士の脇を通り応接室を出ていくと、こっそりついてきていたのかアルメリアがおり、
「私も行きます!」
「だめに決まっているだろうアルメリア!危険だ!」
アルメリアの言葉に当然カインは反対するが、
「コウさんがいるんだから、絶対に大丈夫です!だってアーネストおじ様よりもすごいんですから!!それにいざというとき、治癒魔法が使える人間は多いほうがいいはずです!!」
言い募るアルメリアにカインはおされ気味であったが、やがて諦めたのか嘆息し、こちらを見やる。
「アルメリアはこういっているが、コウ君・・・!!アルメリアを頼んでもいいかな?・・・絶対に守ってほしい!」
カインはきりっと真剣な表情になるとコウに向かって頼み事をしてくる。
その迫力に正体不明のプレッシャーを感じ、じり・・・と一歩下がってしまうコウ。
「あ、ああ・・・アルメリアは必ず守ると誓おう・・・」
しかし、その頼みを断ることはなく、アルメリアを守ると宣言する。
「そ、そんな・・・私の事を一生守るだなんて・・・」
コウの後ろで頬を赤らめてくねくねしているアルメリア。
なんだか言ってないことが追加されている気がするが無視して話を進める。
「そうか・・・君がそう言ってくれるなら安心できる・・・アルメリアを・・・頼むよ」
そんな信頼いつの間に得たのだろう、なんだか娘を嫁に出す父親のようなカインの言動にノリがいいのか、それともこれは本気なのかと内心戦々恐々とするコウ。
「行くぞコウ!」
「あ、ああ・・・行こうか、アルメリア」
「はい!」
アーネストに催促され、アルメリアを連れて館を出る。
先ほどのやり取りに首をひねり、
「なんか外堀が埋められている?・・・気のせいだと思いたい」
いかがでしたでしょうか?
ちょっと無理やり感が出てきてる・・・そのうち修正するかも