09.ラップトンネル
その入り口を見つけたのは偶然だった。
雑草の生い茂った場所がポッカリ空いていて、奇妙に思って近づいたら、そこには下りの階段があった。
階段のあちこちに雑草がはびこり、しばられたレジ袋がいくつも落ちていて、上からは先がどうなっているのか見えなかった。
その先を見たい好奇心に抗えず階段を下りた。
狭い階段だった。
ゴミや伸びすぎた草を避けながら降りていると、すぐに底についた。
底には、上からは見えなかった横穴があった。
横穴は短いトンネルになっていた。
穏やかなくだり坂の向こうに、小さな長方形に切り取られた光が見える。
どこにつながっているのか。
暗いトンネルの中には刈られたような草の残骸や袋から出たのであろう踏みつぶされたゴミが散乱しているが、歩けないほどではない。
ここまで来たのだからと誰にともなく言い訳して、不気味な雰囲気のトンネルへと踏み入れた。
階段よりもさらに一回り狭く足場が悪いので、壁を頼りにゆっくりと下る。途中で、なにか蜘蛛の巣にでも突っ込んでしまったのか、薄いなにかを顔や腕に感じ、手のひらではらった。
ようやくトンネルを抜けた先には、まるで世界の端を思わせる荒涼とした景色が広がっていた。
色彩が抜けたような奇妙さに、思わず人の姿を探した。離れた場所に人影を見つけたが、人のようでいて、その姿もまた色彩が足りないのだ。
暗いトンネルから出て間もないからだろうか。
しかしまばたきしても変わらない人影は、ほぼ裸で、布をまとっているだけのようだった。
あれは本当に人なのか。
遠目だから人に見えているだけじゃないか。
人影はなにやら話しながら集まってきた。
慌てて走って引き返す途中、またかすかな違和感を覚えたが、駆け抜けた。




