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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
社交シーズン秋①

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伯爵、フリル愛好家になる

俺の朝は早い。


ダイエットのための運動が朝食前に設定されているためだ。朝食前に運動し、昼食前に運動し、夕食前にも運動し、寝る前のストレッチが完璧なダイエットメニューである。


伯爵業が忙しかったり、視察や来客があれば変更されることも多い。でも、朝の運動はほぼ毎日完遂することができている。


ま、騎士たちの訓練場の周りを大股早歩きでウォーキングするだけですが。


たまに、シャーロットちゃんが付き合ってくれるので、ダイエットもできるし親子のコミュニケーションも取れるし、俺にとってはウハウハな習慣になりつつある。


そんな爽やかで気持ちのいい汗をかいた白豚の手に、一通の白い封筒。


「またか!」


差し出人は、王城にいる第二王子、ダドリー王子だ。通称おっさん王子だ!


ヴァスコとベンジャミンに挟まれて再教育された王家の系図。三〇歳の金髪碧眼の王子であるダドリー王子は、兄である王太子にめでたく王子が二人誕生したので、留学中の婚約者が帰国次第、公爵家を興し臣籍降下する予定らしい。


先日、王城に緊急招集された俺は、同級生であるダドリー王子と再会し、なんだかわからんが友人認定され、有耶無耶のうちに文通仲間となってしまった。


……早朝に手紙を届けんなよ。暇か? 暇なのか? 王子のくせに? 仕事しろよっ。究極の公務員め!

べりべりと雑に封を切り、ペラリと便箋を開くと……。


「ふんっ。またくだらない世間話か」


どうやら、俺と楽しい逢瀬を交わし、昔懐かしゾーンに入ったおっさん王子は、学園時代の話を書き連ねては送ってくる。


「俺……覚えてないんだよなぁ」


セシル君のときの記憶はさっぱりないので、学園時代の美少年天使時代は夢幻し状態なのだ。


しかし、適当な返事でもおっさん王子は気にしないみたいだから、今回も適当にかわいいシャーロットちゃん自慢でも書いてやろう。


シャーロットちゃんといえば……。


「ディーン。シャーロットちゃんの様子はどうだ?」


「緊張はしているみたいですが……ソワソワと楽しみにもしている様子です」


むうっ。シャーロットちゃんは今日、イライアス様と一緒にお茶会デビューする。

白豚パパは心配です。


「いじめられたりしないだろうか? あんたの父親白豚ーっとか悪口言われたらどうしよう」


俺が乱雑に破いた封筒に便箋を丁寧に仕舞いつつ、ディーンは俺の心配を鼻で笑った。


「メイが同行します。シャーロット様に害をなす女性は処せられますよ」


「それもダメだろう?」


処したらダメ! そういえば、俺が訓練場の周りを歩いているとき、メイの奴はメイド服のまま剣の稽古に参加していたな。護衛騎士での同行はお茶会には似付かわしくないし、相手への体裁も悪いから、メイはメイドとして同行する。まさに、戦闘メイドだ。


「俺も一緒に行こうかな?」


親も参加してもいいんじゃない? ほら、授業参観みたいな。大人しくしているし。


「ダメでしょ」


くそっ、ディーンの奴。絶対零度の視線をビシバシと向けてくるんじゃないやい!




















イライアス様がやってきた。


「やあ、シャーロットを迎えに来たよ」


「……どうも」


イライアス様には、シャーロットちゃんの社交と悪役令嬢という噂の払拭を頼んではいるが……やっぱり心配だ。


別に、イライアス様の今日の装いが首元と袖先にフリフリがいつもより増量されていて、魅惑的な赤いアイラインが引かれていて、浮かれているように見えるからではない。キレイだけど、派手だな兄嫁よ。


エントランスで出迎えた俺の後ろから、おめかしシャーロットちゃんが登場。


「イライアス様、お待たせしました」


シャーロットちゃんの後ろにはメイドのマリーとメイがぴったりと寄り添っている。メイは大丈夫? 暗器とか武器とか隠し持ってない?


シャーロットちゃんのドレスは、デイドレスだけどあんまりシンプルなのもつまらない。イライアス様やライオネルで流行りのデザインをいくつか提案してもらったが……俺としては、シャーロットちゃんが子どものころには着ることができなかったドレスのデザインを用意してあげたかった。


「お、お父様。あ……あのぅ」


「とっても素敵だよ、シャーロットちゃん。似合っているし、シャーロットちゃんのかわいさが強調されて、キレイだ。俺の自慢の娘だよ」


ニヤニヤと笑いつつ、テレテレと照れる愛娘の装いを褒める。もちろん、本人のスペックの高さが重要だっ。


シャーロットちゃんのドレスは、いわゆるロリータ服やゴスロリ服である。子どものころ両親に見向きもされなかったシャーロットちゃんが着ることができなかった、フリフリのドレスである。

この世界では大人になったらこういうデザインは着れないからね。今のうちに楽しもうと、俺がアイデアというか、前の世界のデザインを提供して、イライアス様とライオネルとでブラッシュアップされたドレスだ。


「セシル様のアイデアは素晴らしい。今回のお茶会でシャーロットのドレスは注目される。しばらく王都では、このデザインが流行る。流行らせてみせる!」


イライアス様が変なやる気に満ちているが、勝手に頑張ってくれ。それよりも今日はシャーロットちゃんのこと、くれぐれも頼むぞ。


「あ、忘れてた。セシル、これダーリンからの手紙」


ポイッと投げて寄こした手紙は我が兄上からの手紙だった。おいおーい、もうちょっと、うちの兄上のこと丁寧に扱ってくれよっ。


イライアス様は超ご機嫌でシャーロットちゃんをエスコートして馬車へと乗り込み、パッカラパッカラと去っていった。


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