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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
領地経営編 ②

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領主、大物を釣る

ニコニコ。


どうして、こうなった?


オールポート伯爵邸の応接室には、朝早くから訪れた意外な客が座っている。満面な笑顔で座っているお客様、その後ろに控えている真っ黒な立襟の祭服の男がギロリと鋭い視線で周りを警戒している。


この男もシャーロットちゃんの婚約破棄騒動のときにいたなぁ。魔道具を使って書類を届けてもらったり、親子鑑定してもらったりしたんだけど……既知の白豚を警戒しすぎじゃないか?


「えっと……ようこそいらっしゃいました、リベリオ大司教様」


本当によく来たな。兄上にヘルプの手紙を書いて出したのは三日前のことだぞ?


「朝早くからすまないね。気が急いてしまって」


ホッホッホッと声を出して笑ったあと、優雅にティーカップを手に取り紅茶を口にする大司教様。年のわりにはフットワークが軽いな。そして「(オーラ)」を見れば相変わらずの神々しさよ。

拝んどこう。ナムナム。


「ハーディング侯爵からの陳情には、オールポート伯爵領の領都にある大聖堂に長い間、司祭が派遣されないとか?」


カチャリとティーカップをソーサーに戻したリベリオ大司教様の柔らかい声に騙されそうだが、この人の視線も鋭いのよ。

こりゃ、下手に誤魔化さず正直に話すしかないな。


「はい。お恥ずかしい話ですが。実は……」


俺は朝から話すことではないよなぁと心の中でどんよりとしつつ、ベンジャミンたちから聞いた話をなるべく簡潔に感情を含まずに話した。

だいたい、リベリオ大司教様は俺が記憶を失っていることを御存知だ。淡々と事情を説明するだけでいいはず。


「ふむ……。そのことは私も存じ上げておりました。セシル様には辛いことと……されど今のセシル様に申しても詮ないことでしたな」


です、です。だから、パアーッとお互い水に流して、司祭様をリベリオ大司教様のお力で派遣してください。あと、神官見習いとシスターも派遣してください。

俺は内心の欲を出さないように気をつけながら重々しく頷いてみせた。


「安心めされよ。派遣することもありません。ピッポ」


「はい」


リベリオ大司教様が右手をサッと上げると、後ろに控えていた若い男がズズイと前に出てきた。


「このピッボが神官見習いたちを教育いたします」


「はあ……。え? ウチには神官見習いもいないんですが?」


「ふふふ。それはこれから集めますゆえご心配されるな」


ご満悦のリベリオ大司教様には悪いが、俺が欲しいのは司祭様であって神官見習いの教育係じゃないんだわ。


え? まさか神官見習いを教育してその中から司祭にするとか、壮大な計画を立ててます? ちょっとそんな時間はかけられないつーか。


困って額にぶわっと汗をかく俺の姿を楽しげに見物したあと、リベリオ大司教様はクルッと巻かれた羊皮紙をベンジャミンへと差し出した。

クルクルと紙を開いて文字を目で追うベンジャミンの顔色がサッと変わる。そして、やや震える手で俺にそのクルクッルな紙を寄越す。


「ふむ。なになに」


こちらの世界の文字は読めるし書ける。転生特典なのかなんなのか、俺にはとっても助かる仕様である。


「オールポート伯爵領、領都クレモナ。ロンバル大聖堂の司祭……ん、違うな? えっとリベリオ大司教を任ずる。任ずる? リベリオ大司教様になにを任ずるの?」


あれ? 俺の頭の中で理解ができないんだけど……これって、もしかして。

恐る恐る持っている紙から顔を上げると、やっぱりニコニコ緒のリベリオ大司教様と目が合った。


「ええーっ!」


嘘でしょ? リベリオ大司教様ご本人様がうちの大聖堂に赴任してきちゃうの?

























「初めまして。シャーロット・オールポートです」


「シャーロットちゃん。前にお会いしているよ。ほら、あのぼんくら息子と決別したとき」


朝食のため移動した食堂で、バッタリと会ったシャーロットちゃんがリベリオ大司教様ご一行にご挨拶。でも、忘れちゃったかな? あのときシャーロットちゃんとぼんくら息子の婚約を破棄してくれた人ですよー。


俺の言葉に過去の記憶が思い出されたのか、シャーロットちゃんは両手を口に当てて目を大きく見開いた。


「いいのですよ、シャーロット様。悪い記憶は忘れてしまいなさい、この爺とは今日このときが初めてです」


ニッコリ笑顔のリベリオ大司教は、人徳が顔に現れているな。そのまま和やかに食堂へと移動して、みんなで仲良く朝食タイムだい。わーい。

いやだって、リベリオ大司教様たちも朝食はまだだって言うし。


「それで、シャーロット様に教会への寄付と孤児院の慰問を担当させたいと?」


「……ええ、まあ。西側領地サレルノのこともありますが、次期伯爵として領民との交流も外せないかと」


リベリオ大司教様には、「シャーロットちゃんの悪役令嬢という風聞をなくしたい」と相談済みなので、あとはリベリオ大司教様がいいように計らってくれることを期待する。


「わ、私にできるでしょうか?」


シャーロットちゃんはちょっと自信がなさげ。そりゃ、生まれてからずっと両親に邪険にされて、自称継母と異母妹に意地悪されて、使用人に虐待されて、婚約者にも見向きもされてなかったら、自信なんてつかないよね?

ううっ、ごめんねシャーロットちゃん。


「セシル様、なんで食べながら泣いてるんですか?」


うるさいよ、ディーン! ジャコモの作った朝食が泣くほど美味かったんだよっ!

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