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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
陰謀編 領地経営④

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領主、リグーリ到着

見渡す限り、緑の絨緞! サワサワと風に揺れる麦畑。頭上には澄んだ青空と白い雲。


「夏だーっ!」


馬車から下りて目に入ってきた絶景に、俺は両手を高く突き上げて叫んだ。うぇ~い、気持ちがいいーっ!


「セシル様、大丈夫ですか?」


しかし、夏の爽やかな風景とは違う、周りの人間たちの憂いを帯びた表情……。ああ、俺のせいね。主人である俺が急に大声出してはしゃいだから、俺のオツムを心配したのね? 余計なお世話だ、バカヤロウ。


「いいから、ほら、いくぞ」


恥ずかしさに赤く染まる頬を誤魔化し、俺たち一行は南の領地リグーリに新しく建てられた役所の施設へと向かう。この施設は領都クレモナと連携を取り、リグーリの領民たちの行政的な役割を果たす。ま、役所の分室ですね。今回は領都クレモナの役所から代官のクラークと副官のチャールズを連れてきている。役所の分室ということは、ここに誰か責任者を置かないといけないわけで、今回その人選をクラークに任せたのだが……困難を極めたらしい。


クラークはケイシーちゃんに辞令を出そうと考えたが、領都クレモナの商店街でスイーツ天国を満喫している彼女がリグーリへの出向を快く引き受けるはずがない。無理やり命令で決めても、問題が起きるかもしれない。しかし、信用している人間に任せたい。……その結果、年齢を考えても引退が近いチャールズに白羽の矢が立った。本人も最後のご奉公と、住みやすかったら終の棲家候補と考えているらしい。


……なんでもいいから、頼んだぞ。


役所の分室の隣には、少々無骨な建物があり、こちらはオールポート伯爵家騎士団の巡回隊の詰所である。ここに騎士たちが常駐し見回りをすることになる。今回は最初に派遣される小隊を連れてきている。彼らはそのままこの詰所で生活をすることになる。ちゃんと家事をしてくれる人は現地採用している。雇用促進の一助となっています!


今日は新しく建てた施設の確認と騎士たちのお引越しがメイン。チャールズは建物の中を確認して後日お引越し予定だ。ちなみに最初は単身赴任です。領都クレモナに家があるから、奥さんと長男夫婦はそのまま領都クレモナで生活するそう。でも、次男夫婦は一緒にリグーリに引越して、農作関係の仕事に就くみたいだ。


「チャールズ。息子夫婦の研究って具体的にはなんだ?」


「そうですねぇ。肥料や害虫駆除剤とかの研究もしていますが……どうも、夢みたいな話で……。麦を強くするとか収穫を増やすとか……」


隣を歩くチャールズが「ううむ」と目を瞑って言いにくそうに教えてくれたが、それってお前の息子夫婦は品種改良をしようとしているのでは? 大事なことじゃないか! 寒さや暑さに強い品種や倒れにくい品種。麦だけでなく果樹だって甘くなったり……品種改良バンザイである。


「よしっ! チャールズの息子夫婦がリグーリで研究を続ける意思があるなら、研究施設を建ててやろう」


ハーディング侯爵家の融資で! 遠慮するなっ。なんせヴァゼーレに魔獣研究所を建てちゃったし、ここに農作研究所を建ててもいいじゃん。お金は、ヴァゼーレで趣味に没頭している父上が兄上を説得しても出資してくれる。もし、助力してくれなかったら、父上がヴァゼーレに立入禁止になるだけだ。わーははははっ。


うむ、最近の俺は悪役笑いがクセになってきているから、気をつけよう。





















騎士団の奴らは自分の部屋や食堂を念入りにチェックしているが、訓練場とか馬場とかお仕事の大事な場所を確認しなさい。初対面の料理人さんに肉料理をアピールするな。お掃除のおばさんにすでに激怒されている奴もいるし……ハリソンめ、ちゃんと部下を教育しておけ。


「セシル様……。もしよろしかったら、ハーディング騎士団が少し……手伝いましょうか?」


ヴァゼーレにも同行してくれたハーディング侯爵家の騎士団の皆さま。もちろん、率いているのはブランドンだ。頼りになる人である。好き! 俺は恥を忍んでオールポート騎士団の奴らに懇切丁寧にお行儀とやらを教え込んでくれるよう頼んだ。ふふふ、もちろん物理込みで教えてやってくれ。


「セシル様、役所で村長たち代表者たちとの面談の時間ですよ」


クラークがわざわざ呼びにきてくれたので、俺はディーンを連れて隣の役所へと向かう。ブランドンは部下数名をその場に残しタカタカと小走りで追っかけてきた。


「セシル様。移動するときは護衛の私にも声をかけてください」


苦笑して念押しするブランドンに感動してしまう。え? 護衛って隣の建物に行くときも付いてきてくれるの? ハリソンなんて酒瓶片手にヒラヒラと手を振って見送るだけなのに?


「セシル様。ハリソン団長を基準に考えちゃダメです。あの人の信用できるところは腕っぷしだけですから」


ディーンがしみじみと言うので、俺もウンウンと素直に頷いて応えてしまった。そのときのブランドンの表情はなんとも言えない。そうだよねぇ? 仮にも騎士たるもの、そんなダラけた奴なんていないよね?

でも、オールポート伯爵家には二人以上、そんな不届き者の騎士がいるのだ。それはハリソンとヴァゼーレの守護を任せたレナードである。


あれれ? 俺ってば、人選間違えたかな?

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