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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
陰謀編 社交シーズン春②

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伯爵、意味不明な訪問者を迎える

思いもかけない攻撃を受けた翌日。


爽やかな春風とともに、招かざる客がきた。昨日、護衛任務のため夜会のエスコートができないと、頼んでもいないのに断ってきた痛い男、ルーカスである。なにしてんの、君? ルーカスの足元でキャンキャンと吠えているリヒトは、王宮に連れて行くわけにはいかないので、昨日お留守番で俺に構ってもらえなかった不満をルーカスにぶつけている。


俺……昨日、寝付けなくて目がショボショボなんだけど……。朝のダイエットメニューもサボってしまうぐらい、眠いんだけど……。


「……ヴァスコ。客人と一緒に朝飯食うわ」


「かしこまりました」


ヴァスコがルーカスを食堂に案内している間に、俺はシャワーで目を覚ますとしよう。あ、ディーン。もう俺は自分の体は自分で隅々まで洗えるから、手伝ってくれなくていいぞ。背中にも手は届くからな! わーははははっ。





















「で、お前は何しに来たの?」


完璧なマナーでありながらもガツガツと朝飯を食うルーカス君よ。うちの朝飯を食べに来たのなら、とっとと食って帰れ。


「……昨日の詫びと、ダドリー殿下からセシルが厄介な奴に絡まれていたと聞いて……」


あんの、おっさん王子、余計なことをルーカスの耳に入れやがって。しかも、ラファエルのことを厄介な奴と思っていたなら、そのときに助けろよ。役立たずのおっさん王子め~っ。


「別に何もない。プレイステッド家とは関わりたくないから、すべて兄上に対応をお願いした」


乙男(オトメン)の兄上に蛇男の対応は難しいかもしれないが、そこはイライアス様という正真正銘の名知将が防いでくれるはず。イライアス様だって麗しさでは負けていない。あっちが黒い蛇なら、イライアス様は金色の蛇だ! ん? 蛇に例えるのは止めよう。今度会ったとき、イライアス様に「いーっ」と耳を引っ張られる予感がする。


「本当に?」


冬眠明けの熊のようにバカ食いしていたくせに、きゅるんと眼をウルウルさせて俺を見るでないっ! 朝からドッキュン! とかしてないんだからね!


「ラファエルという奴と会ったが、領地経営の話がしたいってことだった。そのことは兄上とイライアス様にも報告してある。今後、オールポート家はプレイステッド家と交流を持つ予定もない!」


あんな奴、おっかないし危ないし。シャーロットちゃんとか絶対に会わせちゃダメな危険人物だもん。俺も会いたくないし……。あ~、「(オーラ)」のことをバラしたい。そうしたらラファエルがどんだけ悪い奴が訴えられるのにいいぃぃぃぃっ。


「ラファエル? もしかして夜会で会ったのはラファエル・プレイステッドか?」


ガタンと音を立て椅子から立ち上がったルーカスは、氷の美貌をぐわっと険しくして俺に迫る。な、なんだよ……お前、知り合いか? それとも例の馬の魔獣の件か?


「そうだけど……。なんだよ、ルーカス、ラファエルのこと知ってるのか?」


ルーカスの勢いに椅子の背凭れに体を押し付けやや仰け反った俺だが、聞きたいことは聞いておく。ルーカスはラファエルの名前に眉を顰めムスッと黙りこんでしまう。その態度に不満が爆発した俺が怒鳴ってやろうと立ち上がると、お茶会に行くのを楽しみにルンルン気分のシャーロットちゃんが登場した。


「おはようございます、お父様。あら、ルーカス副団長様、いらしていたんですね。おはようございます」


「……おはよう、シャーロットちゃん」


「邪魔している、シャーロット嬢」


チラリとルーカスと視線を合わせ、何事もなかったように朝食の席についた。シャーロットちゃんの手前、蛇男の話をするわけにはいかない……しかし、モヤモヤするなぁ。




























朝食を食べた後、ルーカスはそそくさと帰っていきやがった。なんなの、あいつ? 本当にメシを食いに来ただけなの? 俺が不可解なルーカスの態度に首を捻っていると、今度はクラークから呼び出された。あいつは一緒に王都に来て屋敷の客間に滞在している。連日、商業ギルドの狸爺とやり合っているらしく、人相が歪んできたとの報告を受けているが……。これ以上厄介なことに俺を巻き込むなよ。


ディーンを伴い、応接室へと移動すると、クラークが先に来て待っていた。

……あれ? クラークの奴、晴れ晴れしい顔をしているが?


「クラーク……ずいぶんとスッキリとした顔をしているな?」


「はい! 無事に商業ギルドとの交渉が終わりました。オールポート領の完全勝利です!」


「ハハハ。そりゃ、よかった」


クラークはテーブルの上にズラーッと紙を並べ始めた。それはどれもこれも商業ギルドと結んだ契約書みたいだが、ほとんどがヴァゼーレの魔石とそこで作られる魔道具の売買契約書。中にはヴァゼーレ魔獣研究所で使われる研究に必要な物品の提供に関わる契約書もあった。


「……全部に目を通せとか言わないよな?」


「大丈夫です。すでにヴァスコ氏に確認してもらってます。いやぁ、セシル様個人の商業ギルド登録のあれやこれやが効いて、奴らの要求はほぼつっ返してやりましたよーっ。まったく今まで宝石分で儲けていたくせに図々しい」


フンッと鼻息荒いクラークの姿に俺は口元をヒクつかせた。今までのオールポート領は商業ギルドの狸爺たちのいいカモだったもんね。宝石の原石の取引ももう少し欲を出してもよかったのに、商業ギルドのいいようにされて……。


しかし、ヴァゼーレの魔石は大丈夫! 父上も手助けしてくれるし、ちゃんとオールポート領に利益がたくさん出るよう設定したもんね!


「とろこで、商業ギルドでプレイステッド辺境伯の方に声をかけられたのですが?」


な、なあにいぃぃぃぃぃぃぃっ!

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