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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
陰謀編 社交シーズン春②

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伯爵、天使と女神に物申す

幽閉されたプレイステッド前辺境伯夫人はどうしたのか?


もちろん、再びちやほやされて贅沢できる暮らしに戻りたいと考えた。残念なことにプレイステッド家には夫人が金を握らせて子飼いにしている使用人たちがいた。彼女はその使用人たちから情報をもらい、チャンスを狙っていた。


そのチャンスとは、よく考えれば自分の夫や子どもを危うくさせることになるのだが、自分本位な女はそんなことまで気がつかない。とにかく、自分が人の中心にいて、豪華なドレスや高価な宝飾品を身に着け、高貴な者たちが跪けばいいと思っていた。


そして、悪魔な考えが彼女を支配した。プレイステッドの当主が自分の傀儡であればいい。夫はダメだ。あの人は政略結婚した自分を愛してはいない。では子どもはどうか? 子どももダメだ。産んですぐに姑たちに取り上げられた。自分も子どもの世話などしていたら遊びに行けないので、特に何とも思わなかった、そのせいか、母が幽閉されるというのに、あの子たちはちっとも悲しまなかったのだから。

では、孫は?


「金で動かした使用人に孫を連れてこさせ、同じく持ち出した継承の魔道具を使用し、次期プレイステッド辺境伯はラファエル様だと王家に訴えたそうですよ」


「マジか……。頭がイッちゃってんなぁ。それで、次期プレイステッド辺境伯ってラファエルなの?」


あんな黒い蛇を背負っている奴に権力なんて持たせたくない。しかも、辺境伯なんて。世紀末の足音が聞こえてきちゃうぜ。


「いいえ。前辺境伯夫人の主張には正当性が認められませんでした。王家はラファエル様が継承の魔道具に認められたということを虚言だと断じました。プレイステッド辺境伯家も、虚言にて騒がしたことを正式に認め王家に謝罪しています。前辺境伯夫人は精神に病があると、強制的に生国へ戻され……すぐに亡くなられました」


「ひえっ……。そ、それって……」


超えてはいけない一線を超えたので、今世とはおさらばさせられた……つまり、ゴクリ。死人に口なし、始末されたってこと? うええぇぇぇっ、こわっ。貴族社会、こわっ。


「ん? もう王家まで出張って騒動が収まっているなら、ヴァスコが首を突っ込むこともないのでは?」


「そうですかね?」


騒動に首を突っ込み鮮やかに収集をつけるのが趣味というヴァスコの出番はないじゃないかと口に出せば、ヴァスコはニーッコリと笑ってみせる。な、なんだよっ、その笑みは?


「一人残された継承の魔道具に認められたというラファエル様。なのに、周りはそれを認めず嘘だと断言する。本人はどう思ったでしょうね?」


「継承の魔道具に認められたっていうのは本当だったって? だからラファエルは辺境伯の地位を狙っているって?」


そうなのか? 実の父も兄も払い退けて辺境伯の地位を手に入れようと? だから、奴の「(オーラ)」は黒い蛇だったのか?


「いや。あの邪悪さは……もっと……」


もっと欲深で罪深いものだと……思っても、俺は言葉にすることができなかった。


















ラファエルの「(オーラ)」を思い出し、ズーンと重苦しい気持ちになって、はて? と気づいた。


「プレイステッド家の当主争いは勝手にやってくれと思わないでもないが……それとオールポート伯爵である俺となんの関係があるんだ?」


たぶんセシル君もプレイステッド辺境伯領に行ったこともないし、プレイステッド家の人と会ったこともないのでは? どうやら学園では一緒ではなかったラファエル。その兄もセシル君とは年齢が離れていて学園では一緒ではなかったらしい。だったら、なぜラファエルは俺に興味を持ったんだ?


「オールポート伯爵家はプレイステッド辺境伯家とは付き合いが全くありません。過去に遡ってもそうですし、シャーロット様の婚約にと釣り書きが届いたこともありませんね」


ヴァスコの言葉に、ラファエルがもしシャーロットちゃんを狙っているなら、どんな汚い手を使ってでも排除することを心に誓う。あんな、おっかない奴に娘はやらん! それだったら吐血しそうに苦しいが婚約した青二才のほうがマシだ!


「プレイステッド辺境伯家は手広く交易を行っていますが、国内の貴族との交流はそんなに広くないです。交易品の売買であちこちとの商会とはやりとりしていますが……敢えて国内の貴族とは深い付き合いをしていないように思います」


ディーンの助言も耳に入れ、俺は腕を組んで考える。……でも、まったくわからない。ラファエルの狙いがちっともわからない。なんで俺? オールポート伯爵領はそんなに旨味のある領地ではない。王都に近いし農作物で食うのには困らないが……プレイステッド辺境伯が稼ぐ富と比較したら、セレブと平民ほどの違いがある。


う~ん、う~んと俺が唸っていると、クスクスと笑ったヴァスコがからかい口調でとんでもんないことを言い出した。


「そういえば、セシル様とラファエル様の共通点といえば……その美貌ですね。天使の如きセシル・ハーディングと女神の如しラファエル・プレイステッドと謳われていましたよ?」


勝手に謳うな、そんなモン。だいいち、セシル君の天使は納得できても、ラファエルの女神はどうなのよ? あれは女神じゃねぇわ。悪魔だわ、妖怪だわ。禍々しくて恐ろしいつーの!

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