↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
83/85

78.探索開始

「驚きました。ここまでなす術なく完封されたのは初めてです。しかも双剣とは……」


 バンナさんは、手に持ったロッドをクルクル回しながら、感心したように言った。

 模擬戦闘は、あっけなく僕の勝ちで終わって、今は応接室に案内された。

 正直、結構危ういところもあったけどね。


 ――ダークエルフって、本当に魔法が苦手なのかな?


 バンナさんは魔術のクラスレベルも高かったし、詠唱なしでバンバン魔法撃ってくるし、むしろ得意なんじゃない?

 そうなると、ここではAOLの公式設定と違ってダークエルフも実は魔法が得意とか?

 うーむ、本人に直接聞いてみたいところだけど、さすがに自重しておくか……。


「いえ、たまたま上手くいっただけですよ。ところで、これで許可はいただけますか?」


 僕は両手を広げながらバンナさんに聞いた。

 バンナさんは「ふふっ」と少し笑ってから、


「もちろんです。こちらが許可証になります」


 そう言って、バンナさんは1枚の紙を僕に手渡した。

 さすが仕事が早い。

 見るからに出来る見た目だもんなぁ、バンナさん。


「ありがとうございます」


 これでようやく『嘆きの迷宮』に潜ることができる。

 ウィーゼル(素材)さえ手に入れば、伯爵の奥さんも助かる。

 そう思うと、俄然やる気が出てきた。


「お時間を取らせてしまい、申し訳ありません。ポタシクル冒険者ギルド長として、また私個人としても、ソーコさんにはこの街で冒険者として活動をお願いしたいところです」


 バンナさんは、僕の目をじっと見つめてそう言った。


「残念ながら、ソーコさんには予定がびっしりですの。またの機会に、ということで、これで失礼いたしますわ」


 フランさんが、間髪入れずにきっぱりと断りを入れてくれた。

 さすがはやり手の商人、こういう時の対応が的確だ。


「そうでしたか。では、またの機会を待つことといたしましょう」


 バンナさんは、少し寂しそうだったけど笑顔で返してくれた。



 ◆◇◆



「それじゃあ、ダンジョンへ出発しますわ!」


 昼食を済ませた僕たちは、馬車に乗り込んで『嘆きの迷宮』へ向かった。

 伯爵が馬車を用意してくれたので、目的地まで歩かずに済むのは助かる。


「馬車だったら、街からそう遠くない場所にあるみたいですね」


「ええ、そうですわ。半日もあれば着ける距離だと思いますわ」


 フランさんの言う通り、馬車は順調に進んでいった。

 道中は、フランさんとアリシアさん、セラフィの3人が楽しそうに話していた。

 チヨメはというと、フランさんの隣に座って無(・)言(・)で景色を眺めている。

 そして、その後ろにはリリスが座っていた。

 彼女は瞑想でもしているのか、ずっと目を閉じたままだ。


「主様、とうぞこちらでお休みになってくださいまし」


「へ? あ、うん……」


 リリスが急にそう言って、僕の頭を優しく撫で始めた。


 ――ん? あ、もしかして、これって膝枕……?


 リリスの膝に頭を乗せると、いい匂いが僕の鼻腔を擽る。

 これは……。


「……ソーコさん? ソーコさん、大丈夫ですか?」


「んんっ、あ、はい、大丈夫です!」


 ――ハッ!

 フランさんの声で、僕は我に返った。

 しまった、つい油断して変な妄想しちゃってた……。

 気をつけないと。


「大丈夫じゃないみたいね。顔が真っ赤になってますわよ?」


「え、あ、それは……」


 フランさんは、何かを察したのかニヤニヤと意味深な笑みを浮かべていた。



 ◆◇◆



 街を出発し、半日以上かけて、僕たちは『嘆きの迷宮』に到着した。

 AOLでさんざん見てきたダンジョンの入り口とは少し違って、門のようなものがあって、そこに警備の人たちがいた。


「ダンジョンを探索する者か?」


 馬車が門の前に差し掛かると、兵士が槍を携えて僕たちに確認した。


「冒険者ギルドからの許可証なんですけど……」


 僕は馬車を降りて、バンナさんからもらった許可証を兵士に見せた。

 兵士はそれを受け取り、ジロジロと確認したあと、


「うむ、冒険者ギルドの許可証だな。一応本物かどうか確認させてもらうぞ。おい」


「かしこまりました!」


 兵士はそう言って、許可証を別の兵士に渡した。

 その兵士は、許可証を持って門の奥へと走っていった。

 しばらく待っていると、兵士は戻ってきて、


「隊長! 間違いなく本物です!」


「よし、わかった……ん? ――お前たちは、Eランク冒険者か?」


「え、はい、そうですけど」


 どうしてランクがわかったのか不思議に思いながらも、僕は素直に答えた。

 冒険者ギルドで発行してもらった許可証に、それが記載されてるのかな?


「『嘆きの迷宮』は、Dランク冒険者以上でなければ入ることができないはずだが。一応確認だが、お前たちに、その実力があるのか?」


「もちろんですわ。私たちはあなたたちよりも――」


「リリスっ」


 リリスがまた余計なことを言いそうだったので、慌てて止めた。

 余計な揉め事を起こすのは避けたいところだしね。


「えっと、確かにランクは足りてないんですけど、一応手合わせして許可を得ているので問題ないかと……」


「手合わせ? 誰とだ?」


「ポタシクル冒険者ギルドのギルド長であるバンナさんです」


「バンナ様と手合わせだと……?」


「はい、そうです。他にも質問とかありますか? 僕たちは急いでるので……」


 少し急かすように言うと、


「あ、いや、問題ないぞ、うむ。門を開けよ!」


 兵士は門を開けてくれた。

 どうやら、バンナさんの名前を出せば問題ないみたいだね。

 これでようやくダンジョンに潜ることができる。


「ありがとうございます」


 ――さあ、いよいよ探索開始だ!

新しく投稿を始めました!


『アラサーから始まる異世界無双ライフ 〜スキル『シャドウマスター』は最強でした〜』

https://ncode.syosetu.com/n7861jt/


チートスキルを授かうも役に立たず、おっさんになってから覚醒する物語です!


本日複数話投稿するので、ぜひ読んでみてください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。