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幸いなことに男からは、俺を攻撃しようという意志は全く感じられなかった。
俺は思い切って男の左肩を両手でつかむと、無理矢理こちらを向かせた。
――!
俺だった。
そこにいたのは俺だったのだ。
充分なくらいに予想はしていたつもりだったが、実際に目にすると、その衝撃はそうとうなものだった。
強引に体を回された俺は、俺の顔を見ると、にまり、と笑った。
異相。
自分の顔がこれほどまでに不気味なものになるなんて、思ってもみなかった。
「うわっ!」
俺は思わず声を上げ、そのまま部屋を飛び出した。
そして部屋の外で気がついた。
全裸なのだ。
中にいる俺も怖いが、こんなところに全裸でいるところを誰かに見られでもしたら、それはそれで非常に都合が悪い。
俺は一瞬躊躇ったが、部屋に戻った。
すると中にいた俺は、跡形もなく消えていた。




