表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

見たくない光景

倒れてから一時間、元気になった私。キャッキャッ騒いでるよ。

「翔太君! 頑張って―!!」

もうこのとおり元気だよ。

真理と翔太君も仲良くなって、真理は完全私の地域の人間になってる。真理ちゃんと翔太君って呼ぶ仲になってる。二人が喋ってる時、私一人だけが取り残されてる。

「翔太君ってすごいよ。足早いし…」

「全然そんなことないって…。真理ちゃん、二人三脚やろうぜ!」

「オッケー!」

真理は親指と人差し指でOKのサインをすると立ち上がる。

その瞬間、ズキンと胸が痛くなったんだ。

私、今にもため息つきそうな表情になってる…? 好きって気持ちが胸いっぱいになって、辛い気持ちをため息にして外に出すの。そうするとね、少しだけ楽になるんだ。

真理は私の気持ち知ってるくせに、わざと翔太君と仲良くしてる。さっき翔太君が私のこと優しくしてくれた時、嬉しかったのに…。私は逃げちゃったから、余計に後悔ばっかりだよ。

――ショウタクンノコト ダレニモトラレタクナイ!!――

そんな思いが体に駆け巡った。ここにいても辛いだけ。だけど、ここを離れたら翔太君を誰かに取られそうで怖い。

「二人三脚に出る前に翔太君、これ」

真理が翔太君にペットボトルのお茶を渡す。

バタン。

私、動揺して持ってた財布を落としちゃった。

真理と翔太君がこっちを向く。私は財布を拾って、どこかに走ってしまった。

もうチョコあげない。あげないもん。翔太君は活発でスポーツ好きな女の子のほうがいいんだよね。私みたいな女の子はダメなのかな? 私はこんなに好きなのにな。やっぱり失恋しちゃうのかな?




三十分経った頃、学校の正門に一人で座っていた。

真理ってヒドイ。こんなことってない。心はもうズタズタだよ。今は誰にも会いたくない。真理にも翔太君にも…。当分、一人でいたいよ。


「瑠璃花!」

一人でいたいって思ってたとこに真理がやってきたんだ。

「ここにいたんだ」

真理はやっと見つけたっていう口調で、私の隣に座った。

「ゴメンね、瑠璃花」

「……」

「も〜、そんな顔をしないでよ」

真理の口調からは焦りが感じられる。

「真理ってばヒドイよ。私の好きな人なのに…」

「ホント、ゴメンね。瑠璃花の好きな人を取ろうなんて思ってなくて、仲良くなりたかったんだ。それはわかって欲しいんだ」

真理は素直に言ってくれる。

そうだよね。真理が好きな人を取ろうなんてしないよね。勘違いしてた。私ってば子供だよ。私のほうがヒドイよね。

改めて、自分が情けないか思い知らされる。

「さっ、戻ろうよ。翔太君、心配してたよ」

真理は私の腕を引っ張る。

なんか、疲れちゃったな。何にもやりなくない。私、チョコあげないなんて思ってたけど、どうしよう。真理にはあげるって言ったんだよ? あげるって決めて、ダイエットもしたんじゃない。バレンタインまでもうすぐ。目の前まできてるんだよ。今なら迷ってる場合じゃないんだよ。グチグチ悩んでる場合じゃないんだよ。あげないなんて思うんじゃなくてあげるって思わなきゃ。


――――!

あ、翔太君だ!

人混みの中、翔太君を見つけちゃった。いなくなったこと謝らなきゃ。

「翔…」

途中まで呼んだけど呼べなかった。

それは、翔太君とあの公園のお姉さんと小さい子供の三人で歩いてるのを見ちゃったの。

何? どういうこと…? この光景って…。まさか…もしかして…あの二人の間に子供がいたっていうの…?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ