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第7話~必敗祈願④~

一人仕事をする輝木光をよそに、完全にオフの気分で遊んでいる隊員たち

輝木光も仕事を終え、彼女たちに混ざって夜まで遊んでいた


こんな呑気にしていて果たして目標は達成できるのか……?

朝になった。


「ふわぁーぁ……」


結局昨日はあの後も日付が変わるまでパケモンをぶっ通しやっていた。


そして、現在は朝の10時。

再びホテルのラウンジで国井と2人きりだ。


「結局1人も見つからなかった?」


「あぁ……。すまない……。観光客の中にそれらしき人物は……」


国井から報告を受ける。

私の努力は、全くの無意味だったとのことだ。


「もしかして、日本名で潜伏しているのかも……」


「それしかないな。輝木。やはり君をここへ連れてきて正解だった」


イヤな予感がする。


「この旅館にある全部屋の電話の通話履歴を調べて欲しい!」


「イヤです! イマドキ固定電話なんて、テロリストじゃなくても使う人少ないですよ! 収穫を得られないで終わるのが見え見えです!」


「1億円」


「やります! やらせていただきます!」


(人の弱みにつけこむなんてひどい人だ。私はこういう狡い大人にならないように、気をつけよう。……。何か聞こえてきそうだが、それは無視)


「はぁーあ。それじゃあ、やりますか……」


--------


作業が終わり、隊員たちの元へ戻った。


『ワン! ワン! ワン!』


「相変わらずお前らは……」


(人が必死こいてた時、呑気に庭で犬と戯れている……)


「あ、おかえりー。どうだった?」


「部屋の鍵かけたまま外に出るなよな……」


しかも私は部屋から締め出されていた。

そのせいで私はホテル中を探し回ることになり、今ようやく中庭にて再会したというワケだった。


「ダメだったみたいですわね」


「ヒカリちゃんなら、鍵開けられるからいいかなーって」


「それよりヒカリちゃんもどう? 癒されるわよ」


内木さんに誘われる。


「いや、私は……」


(犬って怖くない? 彼――彼女かもしれないけど――の牙は、私たちの首筋を噛みちぎるのに十分な力を持っているというのに)


『グルルル……! ガウッ バウッ! 』


(うお。何だ何だ何だ吠えてきたぞこの柴犬)


「ありゃー。ヒカリちゃん嫌われちゃったみたいだね」


「動物は人の心がわかるとか言いますからね。輝木の邪な心を感じ取ったんでしょうね」


赤井め、随分好き勝手言ってくれるなオイ。


「ヘイ! バスター! お散歩のお時間ネー!」


そう言って近づいてくるのは、勝呂とかいうホテル従業員だった。

昨日から妙に会う。


「お客サマ! バスターと遊んでてくれたデスか? サンキューベリーマッチ!」


「遊んでいたというか、一方的に絡んでいただけでしたけど……」


「イエイエー! ヘイ、バスター! 赤井サンたちにお礼言うヨ!」


(…………! 今……)


『ワン!』


「うふふ。お利口なワンちゃんですわね」


「良かったネ、バスター! 褒められたヨ!」


「あ、あの……。今から、お散歩に行かれるんですか……?」


内木さんが勝呂に尋ねる。


「エエ。毎日11時から、バスターはお散歩の時間なのデス。ワタシはバスターのお世話担当なのデ」


「せっかくですし、ついていっても良いですか……?」


「シュアー! バスターも喜びマス!」


「やったー!」


「輝木はどうしますの? 犬苦手なんでしょう?

部屋に戻るなら鍵を渡しますけど」


「……。いや、私も行くよ。

置いていかれるのは、寂しいもんね」


(…………)




「勝呂さんはここで働いて、何年くらいになるんですか?」


島の街外れの橋を渡りながら、メグが勝呂に尋ねる。


「ウェル……、日本に戻ってきた時からなのデ、まだ1年くらいですかネ」


「わぁ! 1年で日本語がそこまで喋れるように⁉︎

私なんて、もう6年間英語教わってるのに、全然喋れるようにならないですよぉ!」


「ハハハ! 話すのに必要な知識と、勉強に必要な知識は違いマスからネ。私だって未だに漢字とか、全然分かりまセンよ!」


(……。それでか)


「本当に役立つのは、書き言葉より話し言葉ですからね。その点、日本の英語教育は改善が必要ですわ」


「ザッツライト! 赤井サンの言う通りでス!

ワタシ、日本での英語の授業を聞いテ、サプライズドしましタ!

イギリスで、リアルに使わないモノばかりだったのデスから!」


「ええ! そうなんですか!

じゃあ、高校から英語の授業なんて、なくなってくれればいいのにー」


「メグは英語が苦手ですの?」


「苦手も苦手! 超苦手! 私は理系だもんねー」


「理系でも、受験で英語は使いますわよ……」


「確か公務員試験でもあったわねぇ」


「ひえええ! そんな、ご無体な!」


「? ゴムタイヤー?」


「ああ、少し珍しい言い回しですものね。勝呂さんが知らないのも無理はありませんわ。えーっと、英語だと……。アンリーズナブル? いえ、ちょっと違うかしら。許してください的な意味もあるから、普通にエクスキューズミー?」


「オー。サンキューです! 覚えましたヨ。ゴムタイヤー!」


「あら。それなら良かったですわ。うふふ」


「……。おぉ?

バスター、コールオブネイチャーですカ。

ソーリー! 少し離れマス!」


そう言うと勝呂と犬は、駆け足で橋を渡りきり、商店街の路地裏へと消えていった。


「す、勝呂さんはどこへ行ったのかしら……?」


「コールオブネイチャー。……要するにおトイレですわ。私たちとバスターに気を遣って離れたのでしょう」


「へぇー。モエちゃん詳しいんだねぇ」


「照れますわね……。

私、一応外交官を志していますもの。

あら? ところで……輝木はどこへ……?」


--------


「よお。ようやく2人きりになれたな、勝呂七海」


「オォ、ついてきてしまったですカ、輝木サン。

私の伝え方が悪かったデス。コールオブネイチャーというのハ、日本語で言うお手洗いのことデ……」


「1つ質問する。これ、なんて読む?」


私は、メモ帳に書いた漢字3文字を勝呂に見せる。


「アーハ?

コレは『アカイ モエ』と読むのでショウ?

アナタの大切なフレンズの名前ではないデスか!」




「違えよ、マヌケ。

超絶親切なこの私が教えてやる。

この漢字はな、『アオキ レイ』って読むんだよ!」


「ホワッツ!?」



そう。

私が見せたメモ帳には『青木冷』と書かれていた。



「どうして、お前が私たちの本名を知っている?」


「ソ、それは……。ホテルの予約に……」


「ほぉー? じゃあ丸川さんに確認してみろよ。

私たちの名前をな」


勝呂はあからさまな焦りを顔に浮かべ、携帯電話を手に取る。


「ディスイズ、ナナミ!

丸川マスター、国井サン御一行のお名前は、何というデスか⁉︎」


電話をしている勝呂の顔が、みるみる青ざめていく。


「どうだ? 返事もらえたんだろ?

……『黒川燻』『青木冷』『外山律』『湯沢慧』って返事がな!」


「ノ、ノー……!」


「私たちの名前は偽名で予約されていた。そして、丸川さんは1度も私たちの名前を呼んではいなかったんだ。

お前は自分でボロを出した! バカが!

いや、分かるように言ってやるよ。

ユーアー、ストゥーピッド!」




「シ……シャットアップ……! 黙レ輝木……!」


「はっ、正体を現したな。テロリストの手先め。

お前、何を知っている? もしや、ティーベを匿っているのか?」


今の勝呂は青ざめるのをやめ、怒りに震えた表情。


「…………。ハァ……。教えてやるネ。

デモ、ただじゃあつまらナイ。輝木、ワタシと簡単な勝負をしませんカ?」


「勝負? なんのだよ?」


「アナタの電気に、ワタシでは到底叶わなナイ。

だから、大人しくティーベのことを教えるヨ。

デモ、ちょっとくらい抵抗させてくれたっていいでショウ?」


「何で私がそんなこと……」


「ドントウォーリー。本当に簡単な勝負ヨ。

コイントスより簡単ネ」


「あぁ……もう分かったよ! さっさとしろ!」


「イエス! デハ、ルールを教えてやるヨ。

先に……あの世へ行ったら負けダ!」



勝呂との戦いが始まる……!

名前の読み間違えから敵だと看破した輝木光

宿泊客のリストアップも無駄ではなかった。


本性を現し、輝木光に襲いかかる従業員の勝呂七海!


次回、ついに激突!


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