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第5話~動き出すカナリアの会⑥~

あらゆる幸運が味方する強敵を相手に苦戦する内木遊


さらに拘束を振りほどき、襲いかかってくる洗脳された水野恵


ほとんど絶体絶命だが、この状況を打破することはできるのか!?

「ということで、ラッキーなうちにこちらの厄介な超能力者を殺しちゃいますか……。

そのあと、そちらの国井守衆議院議員様に色々とお伺いしましょう……。ゆっくり、たっぷりとね……」


そう言ってアイツが手に取ったのは……ピ、ピストル!


(コイツといい、この前の2人組といい当然のように銃を……)


きっと海外から密輸してるのね……。

ってそんなことより!


撃たれたら私死ぬじゃない!

今の状況相当ヤバいじゃないのよ!


「や、やめてください……。

撃たないでくださいお願いします私はずっと真面目に生きてきたんですどうか助けてください‼︎

やだやめて死にたくないどうか助けて」


(やだやだやだやだやだやだやめてやめてやめてやめて‼︎ 誰か! この草たちをなんとかしてよーっ! ちぎってもちぎっても生えてくるの‼︎)


「それではさようなら。

名前も知らない超能力者さん」


『パァン!』


(いやぁーーーーっ! 銃声っ!)



………………。


(………………!)


あれ?

生きてる!


私、死んでないわ!


「ウチさん! 今だよ! 早くあの人を拘束して!」


(この声、このセリフは……⁉︎)


「チィ……なぜこっちにこの草が……!」


ラッキーなアイツは、麻の草が絡みつき、銃で狙いがつけられなくなっていた!


それをやったのは……。


「……っ‼︎ め、メグちゃん! 正気に戻ったの⁉︎」


メグちゃんこと、水野恵。

正気を取り戻した、私たちの頼れる仲間だった!


「うん! そうだよ!

だから早くあの人捕まえて!」


「く、クソ……! なんというタイミング!

しくじったなヤツめ!」


モエちゃんとヒカリちゃんよ!

あの2人が、メグちゃんを操っていた超能力を解いたんだわ!


「クソ! クソ! クソ!

なぜだぁ! なぜ運が味方するハズのこの私がこんな事にぃ!」


アイツが狼狽しながら問いかける。


……そんなの簡単じゃない。


「わ、私は、あの2人を信じてる!

だからメグちゃんが正気に戻るのは必然!

あなたの運とかいう『偶然』じゃ『必然』には勝てないのよ!」


「黙れ! この根暗おん……。……っ!」


黙るのはそっちよ。


あなたはとっくに、私の射程距離内!


「『……エース山瀬良。セットアッパー大岡、クローザー夏崎』」


コントロール完了。

広島キャップの投手陣を言わせて確認した。


今度こそ、確実に拘束する!


「ウチさん! これ使って!」


メグちゃんが麻紐をこちらに投げてよこす。


少し草が生えてるけどこれはこの際どうでもいいわ。

とにかく真っ先に銃を奪って、両手に手錠をかける!


そして、倉庫の入り口の方にあった柱に紐で結びつける。


犯人確保よ!




「よくやってくれたな内木、水野。

……ところで、私にくっついているこの麻をなんとかしてくれると嬉しいのだが……」


「あ! 国井さんごめんなさい!

今すぐほどきますよ!」


メグちゃんが国井さんのロープを解きにいく。

これで一件落着なのかしら。


……久々にメグちゃんの少し間の抜けた声を聞いていたら落ち着いてきたわ。


あー、何だか一気に疲れが……。



「油断したなお前ら! 皆殺しにしてやりますよぉ!」


(っ⁈)


縛り付けたはずのアイツが銃を拾い上げながら確かに言った!


(は⁉︎ なんで! 確かに手錠をかけたのに!)


「何でか教えてやりますよぉ。これですよこれ」


そう言ってアイツが指差したのは地面に落ちた氷柱。


「やっぱり私は神に愛されてるんですよぉ。最後にこんな逆転のチャンスがあるなんてね!」


(まさか……)


氷柱が落ちてきてちょうど拘束が解けた……ってそんなラッキーあり得るの⁉︎


麻紐はまだしも手錠が破壊されるなんて!


「国井衆議院議員様だけは生かしておいてあげますよ!

伊武のことを聞かなきゃならないんでね!

残りのヤツは2人とも死ね!」


また銃声!


(やめて! 今度こそおしまいなの⁉︎)



しかし。


撃たれたのは、私じゃなかった。


メグちゃんでもない。


「グッ。これは一体......」


ラッキーなアイツだった。


「……少し遅かったな。

あと30秒早ければ、私たちを殺すこともできただろうに」


国井さんがそう言うと同時に、倉庫内へ武装した集団が現れた。


この人たち……昨日鐵工所にいた人たちと同じ……対超能力者の特殊部隊!


「取り抑えろ!」


「く、クソ! 離せ!」


アイツが取り抑えられて連行される。


「……車を止めた時に応援を呼んでおいたんだ。

雪のせいで到着が遅れていたようだったが、間一髪間に合ってよかった」


「く、国井さぁん……!」


助かったわ……。

これで今度こそ一件落着だわ……。



--------(side:輝木光) ---------


「重傷者ですわ! 退いてくださいまし!」


落雷事故のせいでテレビ局内は騒然としている。

私のことも事故の被害者だと思われているのだろう。


……まさかこの事故を引き起こした真犯人だとは誰も思うまい。


「ごめん赤井……。そっちも一撃もらったのにな……」


「気にすることないです!

アナタより私の方が軽傷、それだけの話ですわ!」


私は泣き止んだ後、その場に倒れ込んでしまった。


風吹魅音との戦闘中は、アドレナリンで痛覚を抑え込んででもいたのだろうか。

今の私は、激痛で歩けなかった。


だから、私は赤井におぶってもらい、局を脱出することになった。


(私……ダメだなぁ。人殺しな上に、大泣きして慰められて、挙げ句の果てにはおんぶだなんて、情けないったらありゃしない)


「……私さ……頭が特別いいわけでも、スポーツができるわけでもなくてさ……足は速かったけど……。

それに、風吹魅音の言ってた通り顔だって良くないよね……。

だけど、超能力があったから自分は特別なんだ、凄い人間なんだって思えてた……。

でも、それすら本当は大したことなくて……」


「何弱気なこと言ってますの⁉︎

アナタらしくもないですわよ!

いつもの身勝手で怠惰で皮肉屋なアナタはどこに行ってしまいましたの!」


「ははは……。褒めてくれてるの?

それ……。……私は本来ネガティブな性格なんだ。

これと言って取り柄のない、どうしようもない女なんだよ……」


「アナタがなんと言おうと、アナタは勇敢な人間ですわ! 私が保証しますわ」


「そりゃ嬉しいね……。赤井……。ありがとう……」


「いつものアナタなら『お前なんかに保証されたところで別に』って返すところなのですがね!」


「そうか……たしかにそうかもな……。

ごめん、ちょっとキツいよ……もう休むね……」


「え? ちょっと! 輝木! 輝木――――」


赤井の声が遠くなっていく……。


私の意識はここで途絶えた。


--------


…………。


目が覚めた。


傷は治っていた。


(……良かったぁ……。死ぬ前にメグに治してもらえたんだ……)


ここは……どこだろう。

私の部屋じゃない。


さっき見たメグの家でもない。

ここは一体……。


(……お? 隣に誰か寝ている)


……赤井だ。

……つまりここは赤井の部屋か。


「おーい。朝だぞー。起きろー」


赤井の頬を突くが起きる様子はない。

……と言うことは!


「探索タイムだ! うふふふふ! あーっはははは!」



さーて、アイツの恥ずかしい秘密でも暴いてやろうか。


「まずは、タンスとか?」


(……し、下着が入ってる。

何というか意外にも子供っぽいというか……そんな感じのが多い。

……なんか気まずいので閉じる)


「次は、机の本棚&引き出し」


(……これは、辞書? いや、ミニ六法か。

そういえばアイツ、法学部だったっけ)


そして、引き出しの中には……。


(漫画がいっぱいだ。

確かにアイツ意外と好きだもんなこういうの。

初めて会ったのもゲームの中でだし)


「……それじゃあ、ベッドの下でも見てやりましょうかね?」


手を伸ばして……。


(ん? なんだこれ? 金属缶?)


……ふふふ。

ついに見つけた。


(きっとこの中に恥ずかしいヒミツが詰まってるに違いない! いざ、開封!)


……?

なんか予想と違うぞ?


冊子?


中身は……アルバム?


家族写真があった。

赤井含む4人が映っていた。


そのうち40代くらいに見える男性と女性は赤井の両親だろう。


(へぇ。アイツは父親似なんだな。母親には全く似てないや)


赤井はまだ小学生辺りだろうか。

ヤンチャな表情を浮かべて写真の真ん中に陣取っている。


「……にしても、小さい頃には中々可愛げがあるっていうのに、どうしてこうなっちまったんですかねぇ……」


そして、残る1人は……誰だ?

20歳前後ほどで、クセ毛と三白眼の男版赤井みたいな人だ。


普通に考えれば兄なんだろうが……。


(……アイツ一人っ子だって言ってたはずだろ?

そうだよな......?)


「……。‼︎  写真! 返してくださいましっ‼︎」


「うおっ!?」


突然写真を背後から取り上げられた!


「全く……。

誰がここまでおぶってきたと思ってますの……。

恩を早速アダで返そうとするなんて……」


「よ、ようやく起きたか。寝坊助さん」


「……残念ながら、ここにアナタの期待するようなものはなくてよ」


「べ、別に⁉︎ そんな期待なんかしてないし?

ましてや弱みを握って今度脅してやろうとか思ってないし⁉︎」


「……。はぁ……。アナタと言う人は……」


「わ、悪かったよ……出来心でつい……」


「本当に出来心が原因なら、そんな言い訳しませんわ……」


「す、すみません……。…………」


「…………聞かないんですのね。

私が一人っ子だとウソをついていた理由」


「ん? 聞いてほしいの?」


(やっぱり兄だったのか)


「いえ、そうではないですけども……」


「誰にだって隠したいことの1つや2つはあるって」


「アナタついさっきまで、その隠したいことを暴こうとしてたじゃないですの……。

分かりましたわ。

ではこのことは忘れてくださいまし」


「ほいほい。……どうせアレでしょ?

兄ちゃんが暴君で、虐められてたーとかそんな話でしょ?

だからなかったことにしたかった的な――」


「やっぱり話しますわ!!」


「ビックリした! いきなりデカい声出すなって」


「私は断じて兄に虐められていたワケではありませんわ。

むしろ兄のことは尊敬しておりましたの。

変に隠して兄の尊厳が損なわれるくらいなら、今ここでお話ししますわ」


迂闊だった。


(そりゃ誰だって突然家族を悪く言われたら怒るよな。

私には妹がいるけど……私だって妹を悪く言われたらイラっとするし、弁解するだろう。

『お前が妹の何を知っているんだ』って。

ごめんな赤井)


そして、赤井は自身の過去を語り出すのだった……。


最近は結構頑張ってたのに、久々にしょうもないことをしだす輝木光。


そして、赤井萌の口から語られる自身の過去とは……?


--------


いつの間にか10万字を突破してました。

ありがとうございます。

完結まで50万字くらいなので、だいたい1/5くらいです。


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