今時のお名前。
世の中には様々な名前があるが、近頃は読み方の分からない変わった名前が増えた——と思ってるのは年寄りだけのようだ。
若人感覚では何が変わってるのかさっぱり分からないとうちのバイト数名が言うのだ。こちらが初見で迷う名前も、割とするっと読んでしまうんである。これがジェネレーションギャップというやつか。
変わった名前は昔からあるが、意表を突くようなものはあまりなかったと思う。
例えば、千世子だと思ったら千世子、行子だと思ったら行子。
そういう、読み方が多数派ではない名前がたまにあった程度だろうか。
また、裕子か裕子、剛か剛か剛か剛のように元々の読み方が複数あるものも、人名用の読みとして漢和辞書にも載っていたのでさほど困らなかった。
今時の名前は読み方も音の響きも昔とはかなり違ってきているので、調べても分からなそうだなあ、と思う。調べた事はないけど。
一時期キラキラネームとやらが騒がれたせいで、今時の名前に構えてしまう。
一見普通に見えるけど読み方で個性を発揮しているのでは、とか。
一見普通に見えるけど漢字本来の読みとの関連はないのでは、とか。
バイトに「蒼空」君がいる。現代では珍しくもない普通の名前なのだろう。
しかし私は迷った。
素直に読んだら蒼空だろうか、でも今時はお坊さん風の音読みの名前が多いから蒼空かもしれない。
いや、漢字全部を読むとは限らないから蒼空か蒼空か蒼空か蒼空か。蒼空はともかく蒼空はない気がするが、今時の名前は分からんからな。蒼空は音の響きが昔話に出てくる馬の名前みたいだな。じゃあ蒼空よりは蒼空か。いやいや「空」を空と読ませる名前もあったぞ、だったら蒼空ないな蒼空だな。うん、蒼空。今時な響きだ。
ちょっと待て日本語読みとは限らんぞ、国際的に通用する名前なら蒼空あり得るな。それとも蒼空か蒼空どっちかかもしれん。どっちだ?
待て待てまだ漢字からの連想をしていない。蒼空、青い空、天気は晴れ。蒼空じゃないのかもしかして!
全然違った。疲れた。




