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翡翠の翼人は微笑む

本日二度目の投稿です。


イアスール殿下サイドなおまけです♥


ご指摘がありましたので造語しました


父母上→ラジエル→父(母)

叔父叔母上→タシニ→叔父(叔母)


ついでに

国王陛下→グダジナーラ

国王伴侶、王配→グダジナーラ•ジェ


とさせていただきます。

 幸せだわ。

 隣に眠る銀色の狼を見て私は微笑んだ。


 私、イアスールはクレシオール王国の世継ぎとして生まれた。


 クレシオール王国の王族は両性持って生まれてくれる。


 そして性別は育ち方による。


 生まれた時から女性気質だったわけじゃないわ。

 育つ過程でそうにしつけられたのよ。


 女性気質のグダジナーラ(国王陛下)の方が今の平和の世の中適切だということなのよね。


 ヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様は……昔は優しかった。


 男性気質の強いタシニ(叔父(叔母))様を慕い育った。

 でも徐々にヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様は王宮塔から遠ざかり来なくなった。


 噂によると翼人による世界支配を主張したらしい。


 確かに翼人……特に王種は強いわ。

 でも、他種族が劣ってると思わない……


 少し悩んでるときは青い青い空を飛ぶ……その一瞬が翼人……私にとっての喜びとなる、くるりと宙返りして王宮塔をみるとヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様が手を振っていた。


 「ヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様〜」

 「美しいイアスール」

 手を振って降りるとヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様が微笑んだ。


 「いつおいでになりましたの? 」

 きっと噂は嘘なのよとその時思った。

「さっきだよ、美しいイアスール」

 ニコニコとヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様が微笑んだ。

 「今日はなんのごようですの? 」

 「美しいイアスール、今日はそなたに求婚にまいった」

 ヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様が私の手をとった。


 「どういうわけですの? 」

 「美しいイアスール、どうか私の伴侶となってほしい」

 ヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様が私のてにくちづけた。

 「私のグダジナーラ·ジェ(王配)になりたいということですの? 」

 ヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様の紅い目を見つめた。

 「……いいや、そなたがわがグダジナーラ·ジェ(王配)となり世界を救う手伝いをしてほしい」

 ヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様の紅い目が妖しく輝いた。


 つまり……


 「私は世界平和を願っておりますのでお断り致しますわ」

 ヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様の手を振り払って上空に逃げた。

 「美しいイアスール、私は諦めない」

 強い紅い目に私は寒気を覚えた。


 その夜……私は夢を見た。

 青黒い何かがやってきて私の翼に触れる。


 そこから何かが広がり……身体中に激痛をかんじて飛び起きた。


 起きるとまだ夜で窓から満月が見えた。

 身体には異変はない。


 美しい満月……あそこに行けばさっぱりするかもしれない。


 私は翼を広げた……はずだった。

 左の翼に違和感をかんじる。


 全く動かない……


 「いや~」

 私は絶叫した。


 すぐにお付きのオノンと護衛兵がとびこんできてどうなさいましたかと聞かれた。


 いくら動かしても動かない翼に私は茫然自失だった。



 すぐに治療がはじまって侍医が治せないとなると王国中の医師薬草師、魔法使い、解呪師がよばれた。


 誰も治せなかった。


 私は憔悴する一方でラジエル(父(母))様が心配そうにみにきた。


 「イアスール、国外なら治せるものがいるかもしれないわ、モリターイェル王国に行ってみない? 」

 ラジエル(父(母))様の言葉に私は重い腰を上げた。


 実は、王立魔法研究所のまえにモリターイェルの高名な解呪師と医師を訪ねていたの。


 でも何もわからなかった。

 青い空を見ていたらもうどうでもよくなって訪問につかった大鳥を飼育小屋から連れ出して飛び乗った。


 もうどうでもいいと思って……大鳥から飛び降りる。


 一瞬の空中浮遊に近づく地面……ああどうせなら空で死にたい……そう思ったら大樹に引っかかった。


 「あ、あの大丈夫ですか? 」

 優しい声がして思わず下を見るとモフモフな獣人が心配そうに見ていた。

 「大丈夫に見えるなら目玉をかえてきなさいよ」

 思わず言い返して逃げられて少し寂しかった。


 それがセシルとの出会いよね


 「本当に解呪した時は驚いたわ」

 可愛い私のモフモフの耳をアマガミするとうーんとセシルがうめいた。

 もう、可愛すぎよ。

 そう思いながら頬をなでた。


 絶対に手に入れようと思った。

 今は解けてもまた呪術をかけられるかもしれないと思ったから。


 「この子ちょうだい」

 可愛いセシルを抱きしめて離さないときめた。

 「セシルはモリターイェル最高クラスの治療士でございます」

 高等治療士(ハイヒーラー)は国の宝でございます。

 狸な親父が慇懃無礼に断ったけど無視することにきめたわ。

 「セシルちゃんっていのね、わかったわ、この子は私のものよ」

 しっかりと抱きしめた。

 「耳がないのかよ」

 「……補聴器を準備致しますか? 」

 「いや……通訳だろう必要なのは」

 駄犬と秘書狐と腹黒豹がブツブツ言ってるのが聞こえたけど、私はこの子を私のものにするって決めたのよ。


 そのあともリボンだの首輪だの失礼なこと言ってたわね。


 「本当に失礼な人たちよねセシルの首にはチョーカーが似合うのに」

 私はセシルの細い首を舐めたうにゃとセシルが泣いた。


 この細い首に私の紋章の入った金の継ぎ目のないチョーカーをはめることを妄想した。


 「いいわね」

 うっとりと唇をなめる。


 セシルと会って以来自分が男性気質になりつつあるのには気がついていた。


 柔らかい胸は固くなり……男のような身体……セシルを愛するには十分の……両性だけど心に引きずられる王種の翼人にはよくあることだけど

 ……大人になってからなるのはよほどのことなのよ。


 そう……まさに運命の恋でもない限りむりだわ。


 運命の恋人なのに……私は利用したの。


 モリターイェル王国のエルリック王太子は食えない男だったわ。


 セシルを得るのに交易を有利にとかそういう一過的なものでなくまさに恒久的な友好条約をゾクゾクする笑みで要求したのよ。


 翼人に攻められぬように……

 父(母)(ラジエル)は平和主義だから渡りに船と喜んだけど……あれは……大戦が起こったら援軍をといいかねないわね。


 「まあ、竜相手でも遅れをとるつもりはないけど」

 私は愛しい狼の背中をなでるとうにゃうにゃ鳴いた。


 地上最強の狼戦士の一族なのに最弱な私の狼……容貌的には美青年なのに可愛すぎよ。


 だから……王太子が魔法使い二人を密かに連れて行くようにいわれて連れて行ったのよ。


 二人はヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様の息がかかった護衛兵の代わりに密かに囮のセシルを見守ってたわ。


 私は政務で見守れないのにという気持ちが否めなかったわ。



 クレシオールの王宮は他種族にとって風通しが良すぎるみたいね。


 「ひぁ……」

 王宮の回廊から柱につかまって広がる空を見てセシルがふるえてたのをみてそんなに怖いなら部屋から出なければいいのにと思いながら声をかけたわ。


 「セシルちゃんどうしたの? 」

 「い、イアスール殿下? あちらにいると伺ったのですが……」

 セシルが遠くに浮かぶ宮に目をやった。


 小さい浮遊島を利用したその執務用の部屋は細い手すりのついた橋でつながっていて翼人でないと怖いと聞いたことがあるわ。


 多分臆病だけど勇気のあるセシルは怖い……でも行かなきゃって思って見てたのよね。


 「なにか用だったの? オノンに言えば良かったのに」

 私が微笑むとセシルがオノンさんは……とごにょごにょって困った顔をした。


 考えてみればこの時にオノンが変だって気がつけばよかったのよね。

 でもオノンの地上種族嫌いは前からだし、職務はまっとうしてくれると思ってたのよ。


 でも……タシニ(叔父(叔母))様とこの頃からつながってたのかしらね……


 「あの……植生を調べるのと少しの採取をおゆるしいただきたいのです」

 セシルが顔を上げたブルーグリーンの瞳を揺らめかせた。

 「いいわよ、そのために来たのでしょう? 」

 私はとりあえず魔法使いたちに知らせておこうと決めた。


 「その……あの……」

 「あら、まだ何かあるの?」

 セシルが少しだけうつむいたので近づいてのぞき込んだ。


 「少しだけ手をにぎらせていただいてよろしいですか? 」

 顔を上げたセシルは治療士(ヒーラー)の目をしていた。


 私は思わずセシルの手を自分から握った。


 セシルが目をつぶる……温かい淡いラベンダー色の光が私の身体を駆け巡り薄い膜を作ったのを感じた。


 「これは……なに? 」

 「簡易の結界です」

 青黒い匂いがまたしますねとセシルがつぶやいた。


 青黒い匂いって何かしら?


 「しばらくもちますから」

 淡く微笑んでよろリとよろけ小さな身体を思わず抱きしめた。


 柔らかい身体に草の匂いがする……このまま押し倒しそう……

 慌てて身体を離した。


 「護衛兵をつけるから気をつけて行って……なんなら私がついていっても……」

 「イアスール殿下、執務にお戻りください」

 秘書官のオレンジ色の翼のティストが執務島から舞い降りた。

 「ティスト、私は一緒に」

 「ラダール、殿下をお連れしてください」

 ティストの冷たい声に反応してラダールが私の手をとった。

 「イアスール殿下、参りましょう」

 「嫌よ」

 「失礼します」

 ラダールが拒否する私をいつも通り抱き上げて目をみはった。

 殿下……身体が……とつぶやいた。


 ええ、男性化してきたので筋肉がついてきたのよ。


 重いのでおやつは控え目にって何よ。

 それに囮作戦決行でございますとラダールがささやいたので気が引き締まった。

 動いたのね。そう思った。


 「あの……頑張ってください」

 セシルが胸の前で手を握って私を見た。

 もう、なんか出そうなくらい可憐よね。

 「ちゃんと仕事するからおろしてちょうだい」

 「……かしこまりました」

 「セシルちゃん気をつけて行ってきてちょうだいね」

 私は大事なセシルを囮にするのに心がいたんだ。

 「行ってまいります」

 セシルが微笑んで手を振った。


 私がちょっとラダールを睨むとはいはいはやく終われば合流できますよとなぜかティストが答えてラダールに首根っこを掴まれて引きづられて執務島に戻った。


 「すぐに仕上げるわよ! 」

 私は積み上がる書類に憎々しく指を突きつけた。


 一時間後、ラダールがそばによってきた。


 「イアスール殿下連中が動いたようです……情けなくもわが姉もです」

 ラダールは苦悩に満ちた顔をした。

 「オノンが……それで魔法使いたちは……」

 「予定通り押されているとのことです」

 ラダールは表情を無くして答えた。


 「ティスト、私は行くわよ」

 書類はほぼ無いことを確認して宣言した。

 「かしこまりました、ではすぐにお支度を」

 ティストが従者を見ると従者がレイピアを差し出した。


 わかってるわね。

 私はレイピアを受け取って腰にさした。


 「行ってくるわ」

 「無事のお戻りをお待ちしております」

 ティストの見送りを受けて私とラダールは浮遊大陸に降り立った。


 上空から様子をうかがうとセシルが青黒い翼のローブ姿の不気味な男に抱き上げられていた。


 「子犬はバカデスね」

 獲物を狙う目にセシルがふるえているのが見えた。

 「その子を抱いていいのは婚約者の私だけよ」

 上空から一気に舞い降りレイピアに手をかける。

 「イアスール」

 ヴィアシストタシニ(叔父(叔母))様……いいえヴィアシスト様が私を見つめた。

 「ヴィアシスト様、私の婚約者を返していただきますわ」

 心に響かない声なんてどうということもないわねと思いながら笑った。

 「ワタクシの呪に縛られたオカタがオコガマシイ」

 青黒い翼人がクツクツ笑った。


 こいつがあの青黒いものの犯人なのね。

 セシルのことといい絶対に許さないわ。


 「もう、縛られたりしませんわ」

 私は両手を腰に当てて胸をはった。

 

 どこか温かいものを感じた。


 「セシルを離しなさい! 」

 レイピアで青黒い翼人につきを入れる。

 青黒い翼人がセシルを抱いているので攻撃しにくいわ。


 「ふるえてマスか? 」

 青黒い翼人がセシルに顔を寄せた。

 セシルがふるえながら手を青黒い翼人の胸に当てて魔力を炸裂させた。


 そのままセシルは反動で地面に思いっきりたたきつけられた助けに行く前にコロコロと茂みに転がり込んだ。


 本当に臆病なのに勇敢な私の狼、そこで隠れていなさい。


 青黒い翼人がむせこんでるところに翼につきを入れた傷から鮮血が溢れる。

 青黒い翼人はうめいてしゃがみこんだ。


 「次はあなたよ」

 レイピアをびしっとヴィアシスト様に突きつけた。

 「やれ、一時飛べなかった不適合者を排除せよ」

 ヴィアシスト様が自分の息がかかった護衛兵に命じた。

 護衛兵が躊躇なく私に襲いかかる。


 あそこにいるのは天空のほまれ部隊の隊長ね、そこまで腐っていたなんて……テコ入れしないといけないわ。


 突き出される槍をかわしまがら思った。


 「だめ、やめて〜」

 私の狼が茂みから叫ぶ、大丈夫このくらい遅れは取らないわ。


 「炎柱乱舞(ファイヤーダンス)! 」

 「雷撃破(ライトニング・ボム)! 」

 腹黒豹と駄犬の声がして火柱と雷柱が落ちて護衛兵が吹き飛ばされた。

 「僕達がいるのを忘れないでもらいたいな」

 腹黒豹が大きく杖を振った。


 「這いずる下級生物が生意気よ」

 オノンが鞭を振るった。

 ぴしっと鞭があたり腹黒豹が顔をしかめた。

 「ちょっとおいたがすぎるよとりどんちゃん」

 とりどんちゃんって……もう少しで笑いそうになったわ。


 「うちの愚姉がすみませんね」

 別行動をとっていたラダールが上からをかけてオノンをとらえた。

 「ラダール遅いじゃないの」

 ラダールが宙空の翼隊の護衛兵を引き連れて飛んでいた。


 宙空の翼隊長が黙礼したのが見えてうなづいた。

 ここは統率が取れているわね。


 「お前たち我が甥(姪)(イアスール)はやすやすと呪にかかった軟弱者、それに従うか? 」

 ヴィアシスト様が空に呼びかけた。

 「あら、叔父(叔母)(ヴィアシスト)様が命じたことじゃないですの」

 私は冷笑を浮かべた。


 聞くわけ無いわ、宙空の翼隊長は高潔な翼人だもの。


 「我らが主は王国(クレシオール)とイアスール殿下のみ」

 声を合わせて槍と網を投げて捕獲していく様子は頼もしいわ。


 「姉上、なぜイアスール殿下を裏切ったのですか! 」

 「うるさいわね、私は這いずる生き物は嫌いなのよ、ヴィアシスト様〜助けてくださいませー」

 ラダールさんの責めるような目をオノンがしっかり見据えてからヴィアシスト様に手を振った。


 ヴィアシスト様がちらっとみて私に視線を戻した。

 オノンが絶望的な顔をして網の中でしゃがみこんだ。


 見捨てられたわね。


 「あら、部下を捨てるのね」

 「しょせんは利害の一致の関係だ」

 「あら、寂しいわね……」

 「うるさい」

 微笑んだようにめをほそめ睨みつけるヴィアシスト様と視線を合わせた。


 「まあ、関係無いわ、でも……私の……大切な人を巻き込んだのは許さないわ」

 冷たい視線でレイピアをヴィアシスト殿下に突きつけた。


 「ふ、ふん、お前など」

 ヴィアシスト様が下がってあたりを見回した。


 ヴィアシスト様の味方の天空の翼隊兵士はすべて捕らえられている。


 「仲間……手下がいないと何も出来ませんの? 」

 冷ややかな眼差しでヴィアシスト様に迫った。


 「や、やめろ、来るな」

 怯えたヴィアシスト様が後ずさって大樹にぶつかった。

 首に刺そうとしてすぐ脇にレイピアが刺さった。


 あら、外してしまいましたわと私は微笑んでレイピアを引き抜いた。

 今度こそひと思いに刺してあげるわ。


 「やめてください! 」

 「やめなさい! 」

 セシルの声を打ち消すほどの大きなりんとした声がして紫色の羽根が舞い落ちた。


 麗しい紫色の翼人が天神の翼の護衛兵を連れて舞い降りた。


 ラジエル(父(母))様がどうしてここに……


 「グダジナーラ(国王陛下)……」

 ヴィアシスト殿下がつぶやいた。

 私は気を取り戻してヴィアシスト様を突き刺そうと腕を引いた。


 私の大事な狼を襲った性悪を許すつもりはない。


 「ヴィアシストには相応の罪を問うわ、だからやめなさい」

 「私の大事なものを沢山奪ったのですわ」

 私はラジエル(父(母))様をねめつけた。

 「このクレシオールの世継ぎとしておさえなさい」

 威厳に満ちた国王陛下の声と強い眼差しに威圧された。


 「……わかりましたわ」

 私はヴィアシスト様から離れた。


 悔しい……やってしまいたい……

 唇をかみしめると足に温かいものを感じた。

 セシルが足にしがみついていた。

 温かい力が足元から上がる、私はセシル思わず抱き上げた。


 「慰めてくれるの? あなたを囮に使ったのに」

 セシルの頭を撫でながら耳のやわらかさを堪能した。


 セシルがきょとんとした顔をした。


 セシルが翼をなでると暖かい。

 癒される。


 「叔父(叔母)(ヴィアシスト)様は……かつては一番優しい叔父叔母上だったのに……」

 私は網を巻きつけられて連行されていくヴィアシスト様を悲しそうに見上げた

 セシルから温かさをより感じて一瞬目があった次の瞬間私の狼が気絶していてびっくりしたわ。


 本当に苦労かけたわねと温かい身体を抱きしめた。


 「大切な人を見つけたのね」

 父(母)(ラジエル)様が微笑んでいた。


 ヴィアシスト様を頭とする翼人史上主義者は捕まった。


 まだまだ問題は多いけどこの腕の中の宝物と一緒なら乗り越えられる気がするわ。



 私の部屋のベッドの上で愛しい狼を抱きしめて幸せで死にそうなくらいだった。


 「イアスール殿下……」

 可愛い声が聞こえたので目が開けた。

 ブルーグリーンの瞳をみて微笑んでセシルを抱き込んだ。


 ふるえてるわね。

 なんて可愛いの。


 「セシル、大丈夫よ」

 セシルの背中をなでた。

「……こわ……かっ……」

 セシルの綺麗なブルーグリーンの瞳から涙が溢れ出て私にしがみついた。

 大丈夫よと言い続けながら私はセシルの背中をなで続けてた。


 「ねぇ、セシル……私はあなたを囮に使ったけど……」

 ブルーグリーンの瞳が私を見た。

「あなたを愛してるわ」

 こんなことがあったのに手放せないくらいと微笑んで可愛い唇に口付けると驚いてジタバタしている。


 この勢いで聞かないと聞けないわ。


 「私の事どう思ってるの? 」

 セシルの耳元で囁いた。


 嫌いと言われたら死んでしまうわ。


 「す……き……好きです」

 セシルが真っ赤になった。

 「本当なら女性性質の私を男性化させたのだから責任取りなさいよ」

 嬉しくてもう一度キスをした。


 ますます慌てて可愛かった。


 「あ、あの……すごく大っきい狼獣人ですけどいいんでしょうか? 」

 「何気にしてるのよ、私より小さいくせに可愛いこと気にして可愛いわ」

 悲しそうなセシルの額に口付けた。


 「あ、あと狼獣人の血が混じったら翼人にならないんじゃ……」

 「王種だから大丈夫よ、モリターイェルのエルフの王族も伴侶がどんな種族でもエルフでしょう? 」

 「王種? 」

 「必ず、産まれる種族がそちらになる強い優性遺伝を持つ一族よ」

 安心して私の子を産んでちょうだい。

 もう逃げられないし逃がすつもりは無いわ。

 「往生際が悪いわよ」

 私の狼が何か考えてるのでベッドに沈めた。


 そして愛しい狼は前後不覚になった。

 背中をなでるとうにゃうにゃうにゃと鳴いた。


 あの腹黒い王太子の手の平に転がされてるみたいで嫌だけど私、あなたを手放さないわ。


 それからしばらくして狼獣人がクレシオール世継ぎの伴侶になった。


 高等治療士(ハイヒーラー)で優しくて気弱なのに勇気のある私の狼は翼人(国民)に受け入れられた。


 今は翼人だけで暮らしていけないって翼人(国民)にはわかってるものね。


 もちろん下の大陸の国民も支持したわ。

 少し未来だけど飛べないグダジナーラ•ジェ(国王伴侶)は翼人と他種族の架け橋になるのよね。


 私にはそんなことよりも大事な大事な伴侶なのだけど……


 セシル……私の宝物、いつまでも一緒にいましょうね。


 もう、手放せないわ。

 私の大事な狼さん。

これにて完結です。

読んでいただきありがとうございます♥

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「父母上」ってのが気になりました。 1人で子はいくら両性の鳥でもなせないのでは? 子にとって、父と母は、別々でいるのですから個人に「父母上」は、何か違うのでは? 産んだ方が「母」になる…
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