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第6話 ファインディングミラクルが生まれた話をします

「ファインディングミラクルが生まれた話をします」

挿絵(By みてみん)

 今は夜で周りは真っ暗だ。リトルトーキョーの一角にあるスキヤキドージョーは、カレン・ミヨシの自宅だ。現在道場の中には日系人で茶髪の赤渕眼鏡をかけた女子高生、カレンと、ユダヤ系だが60歳で日本の力士並みに身体ががっちりした銀髪の縮れ毛の女性のハナ・カナヤマ。シチリア系で茶髪で瞳はブラウンのすらりとした部人気質の女、マリア・エスポジト。ドイツ系でふんわりした銀髪をツインテールにしたスレンダーな女、ゾフィー・シュミット。

 彼女たちは一人の女性を囲んでいた。金髪碧眼でポンパドールヘアに白いスーツにタイトスカートを着た40歳の女性、エリザベス・バーベラが中心にいた。

 壁際には金髪碧眼の40歳の男性、ハワード・ハサウェイに、カレンの同級生で赤毛のマデリンと、金髪メガネのジュリエットがいた。リトルトーキョーでは人外の存在であるミラクルたちが襲撃してきた。

 カレンを除く、3人のクノイチたちが対処していたが、別格のミラクルが現れて、彼女たちを倒し連れ去ったのである。

 マリアは同情を襲撃したミラクル、インフェルノを撃退した。ゾフィーは何もしてない。エリザベスは仕事を終えて急いで来たらしい。


 カレンとハナがニューメキシコ州から急いで帰ってきて、事情をエリザベスから聞いて初めて知ったのである。


「そもそもミラクルって何なのかしら。ネットで調べてもオカルトとしか伝わってないのよね」


 カレンが言った。彼女はエンジニアで教育AIを制作した。その権利を今は亡き両親が経営していたオーディン社に渡し、共同経営者のハワードを表の社長として祭り上げたのだ。

 

「なので私が説明します。まずはファインディングミラクルが生まれた頃から話を進めますね」


 そうしてエリザベスは語りだした。時代は1864年のコロラド準州から始まった。その年の11月29日、平和的にキャンプしていた先住民のシャイアン族とアラパホ族の村を、ジョン・チヴィントン大佐率いるコロラド志願兵、約700人が奇襲したのだ。先住民たちは白旗とアメリカ国旗を掲げていたにもかかわらず、女性や子供、老人を中心に約150から230人ほどを虐殺及び惨殺したのだ。もっとも大佐自身は500人ほど殺害したと報告している。

 首を切断し、死体を辱めたりする残虐行為が記録されているという。

 これをサンドクリークの虐殺として語り継がれていた。

 当時は先住民を皆殺しにしたい気風が強く、チヴィントン大佐のように先住民たちへの嫌悪を隠さないことは普通だった。チヴィントンは非難されたが罰せられなかった。もっとも軍隊は除名されたそうだ。現在でも両部族にとってトラウマとして語り継がれているという。


「当時先祖のバーベラ家の人間が志願兵として参加していました。もっとも虐殺に反対して射殺されたそうです」


 エリザベスは暗い顔になった。当時志願兵たちの死者は9名ほどだが、先祖もその一人だと思うと気が重いのだろう。だがそれは終わりではなく始まりであった。

 死んだ先祖に奇跡ミラクルが起きた。彼は殺された先住民族のシャーマンや、首長のブラック・ケトルの怨霊が終結し、ファインディングミラクルが生まれたのである。アメリカの拡大主義の罪を、選ばれし血筋で償わせる存在になったのだ。

 以降、ファインディングミラクルは試練を与えることになった。13年ごとに試練を乗り越えられなければ全土に脅威を与えるという。平原の怨霊が目覚め、干ばつや狂気、大量死を招くという。サンドクリークの血がアメリカ全土に広げる超常現象を起こすというのだ。

 

「なんとも重か話じゃなあ。そいにしてん問答無用で復讐しちょらんのが優しかねぇ」


 マリアが言った。サンドクリークの惨劇で先住民たちが虫けらの如く殺されたのだ。チヴィントン大佐自身先住民をシラミ扱いし、シラミのように殺せと命じたのだから、ミラクルたちが白人に即復讐しないことにマリアは疑問を抱いていた。


「その後、シャイアン族は犬の戦士という戦闘集団を立ち上げたのよ。そして白人の兵士を自分たちと同じように死体を辱めたわけ。どっちもどっちというわけね。だからこそミラクルたちは試練を与える側になったのよ。白人たちのように無抵抗な人間を殺さないという意味を込めてね」


 ゾフィーが説明した。彼女はミラクルの研究をしており、自分の犯罪の手伝いをミラクルたちにやらせたのだ。なぜミラクルたちは彼女の言うことを聞いたのか。それは彼女の行為が試練を受ける側の試練になるためだ。


「その後、バーベラ家からウィリアム・バーベラが誕生し、マッスルマウスのキャラを売り出して有名になり、ウィリアム・バーベラ・カンパニーを立ち上げた。そして世界の裏からミラクルたちの脅威からアメリカを守る組織を立ち上げたのさ。その一つが私が所属していたセブンスペシャルズだ。アメリカに希望を与えるのが主な仕事だよ。ミラクルたちの力を削ぐためにね」


 ハナが説明した。彼女はハンナ・ゴールドバークといい、元アメリカ合衆国大統領だった。任期中は演説でセブンスペシャルズはアメリカを支配する秘密組織だと公言し、陰暴論を立ち上げていた。さらに若きバーベラカンパニーの総帥であるエリザベスをアメリカを愛さない売国奴と罵詈雑言を並べ立てていた。これらはすべて偽装であり、真の秘密を守るためであった。


「現在、ファインディングミラクルに憑依しているのは私の母、メアリー・バーベラよ。ママは30年前に暴漢の銃弾に頭を撃たれて昏睡状態なの。それにミラクルが憑依したのよ」


 エリザベスは苦い顔になった。自分の母親がミラクルに憑依された。カレンは何とも言えない表情を浮かべている。彼女は自分の苦痛は好きだが人の不幸が嫌いなのだ。


「それでファインディングミラクルはどこにいるのでしょうか?」


 壁に寄りかかっていたハワードが声をかけた。彼は娘のアンジェリーナがミラクルに誘拐されている。平穏を装っているが内心は穏やかではないと思われた。


「カルフォルニアの郊外にバーベラ家が所有する屋敷があります。そこにファインディングミラクルが待ち構えているでしょう。そして娘さんたちもそこにいます。カレンさんを試験を受ける資格を得たと判断したのでしょう」


 エリザベスが断言した。

 そしてカレンが口を出す。


「すぐに行動した方がいいわね。カイやアーミアさん、アンジーが無事である保証はないわ」

「あたいも行きもんそ。こんたカレンどん一人の問題じゃらせん。みんなで協力しもんそ」


 マリアが言った。ゾフィーも口を出す。


「私も行くわ。もし生きて帰ったら寝てくれるかしら?」

 

 ゾフィーは厭らしい目つきでカレンを見た。カレンは寒気が走るが、ゾフィーの力は借りたいと思っている。


「うふふ、嫌な相手に体を預けなきゃならないなんて、最高だわ」


 カレンは悶えていた。マリアたちは呆れていたが、なるほどと思った。


「私も同行します。これはバーベラ家の問題でもあります。大丈夫、私はミヨシ先生から忍術を教わってましたから」


 そう言ってエリザベスはぱちんと指を鳴らすと、黒服がアタッシュケースを持ってきた。エリザベスはスーツを脱ぐと、ケースから衣装を取り出して着替えた。全身ぴっちりしたスーツで、嵐をモチーフにしている。スーツにはフードがついており、ゴーグルとマスクがついていた。右手には鎖鎌を持っている。

挿絵(By みてみん)

「私はストームクノイチ!! すべての憂いを薙ぎ払うわ!!」


 カレンはブラッククノイチに、マリアはブレードクノイチの衣装に着替えた。

 ゾフィーはピエロの仮面に鉄製の胸当ての下にピンクのレオタードに、両手両足は青と白の縞々模様のスーツを着ていた。

挿絵(By みてみん)

「私はピエレッタクノイチ!! この世はさらなる刺激を求めている!!」


 ゾフィーは腰をきゅっとひねった。


「私たちはサポートに回ります」


 ジュリエットが口を挟んだ。


「私はお前さんたちを運ぶとしよう。道中ミラクルたちが待ち伏せしているとみて間違いないだろう」


 ハンナが言った。リトルトーキョーがミラクルたちに狙われない保証はないので、ニューメキシコ州にいるサンタナたちを呼んだ。リーダーのセニョリータ・スモークはパソコンをいじったことはないが、教育AIのおかげで得意になった。オーディン社から監視用のドローンを飛ばし、指示を出すのだ。

 サンタナたちは巨体のサンタナありきではない。彼女たちは13人おり、一人一人が並ではないのだ。チームを組めば敵はない。カレンもサンタナたちのチームプレイできないように奇襲しなければ勝利できなかったと思っている。


「うぉぉぉぉ!! 化け物たちから町を守るぞ!!」


 サンタナはゴリラのように胸をドラムのように叩く。他のメンバーは町に散らばり、罠を仕掛けていた。幼児4人組は戦闘に参加しないが、爆弾製造や罠の設置が得意なのだ。


「社長さんから礼金はたんまりもらっているからな。金額分の仕事はさせてもらうよ」


 スモークが言った。依頼人はハワードだ。

 ハンナはトレーラーを用意した。中には特製バギーが置いてあった。トレーラーに異常が起きればそれに乗る予定だ。


「さぁ行くわよみんな!!」

「「「おう!!!」」」


 カレンの掛け声にマリア、ゾフィー、エリザベスが答える。目指すはファインディングミラクルがいる本拠地だ。

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― 新着の感想 ―
ストームクノイチがなんかカッコイイって感じました(*´ω`) ドンドン盛り上がってゆきそうですね(*´ω`)
ミラクル誕生の秘密ですね。
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