セラの愛と司令塔の情報と陰謀と
真っ赤な大陸… 魔獣?? 索敵??
………………………………
いや、俺… しっかりしろっ!
んな訳ねえだろう!!
索敵が一々表示されるなんてことは… ないはずだろ?
『マップ世界図、重要情報を詳細に記述せよ!』
ん? 人の大陸と亜人の大陸に赤い筋が3つづつ?
亜人の大陸の方が濃い赤か。
記述は… 瘴気吹き出し口?
あっ、此処はみんな魔の森か!
大陸や島ごとにも記述があるな、ええと…
白の大陸:浄化指令塔施設設置場所、 浄化魔素管理
人の大陸:対南方浄化施設停止状態、 魔の森、多層階層、要浄化
人の島国:対南方浄化施設停止状態
極小島 :対南方浄化施設停止状態
亜人大陸:対南方浄化施設停止状態、 魔の森、多層階層、要浄化
南の大陸:瘴気収集場、 自然淘汰浄化、 瘴気充満過多時除去操作稼働
うわあ、分かりたくねえけど、なんか分かったような気がする…
この世界、創った奴出て来ーーいっ!!
◇◇◇
「まあ、アロイス、どうしたんですの?」
「ん~、ちょっと甘えたくて… 」
あれから俺は、気が付いたら、シエラに居るセラを浚って、【隠れ家】に連れ込んでいる。
生温かい仲間の目に見送られていたが、気が付かなかった。
現在、ソファに座ったセラに膝枕して貰いながら甘えている状態だ。
おまけに幻獣猫プリンをモフリながら抱きしめ、幻獣犬ロールに圧し掛かられてる。
幻獣ひよこピヨ太は、セラの肩に乗って呆れたように俺を上から眺めていた。
セラは呆れもせずに、俺の頭を撫でながら、これまでの話を聞いてくれた。
聖母や、聖母がここにおる…
俺は不安になってたんだろうな。
前世の賢者たるユリウスのことや、前前世の正志のこともいつしか話していた。
セラはそっと俺の頭を抱きしめてきた。
「アロイス、今まで大変でしたね。
大きな秘密をいっぱい抱え、誰にも言えず、家族にも、御兄さんのウィルにも。
そして、こんな途方もない世界の秘密を一人で探し当てて、頑張りましたね。
偉かったですよ。
大好きよ、愛しているわ、わたくしのアロイス♡
貴方はまだ16歳、成人になったばかりの若輩なのに、御苦労様でした」
「うん、俺頑張った…
ありがとうセラ、聞いてくれて。
俺も大好き、愛してる」
見上げて見るセラは、美しくて、女神の様な慈愛を湛えた金の瞳は淡い蜂蜜色に煌めいている。
目を見張るほどの美貌だけど、いつしか俺は、慈しみに満ちた表情しか目に入らなくなっていた。
甘くて爽やかな匂いを胸いっぱいに吸い込みながら、俺はいつの間にか寝ていたらしい。
翌日、幻獣達に怒られてしまった。
ピヨピヨピヨッ
女の子を拘束したまま寝るとはけしからん? うっ、すまん。
ミャミャミャッ
あの子が疲れない様に、誘導した、感謝しろ? あ、ありがと。
バウバウバウッ
部屋で休めと言ったのに、ソファで寝て可哀想だって? 分かった。
そうだよな、セラだって疲れたよな。
まだ寝てるセラを、ベッドで寝かせる。
でも、なんか、吹っ切れたよ。
ゆっくり休んだセラが起きて来てから、セラと一緒に温泉施設に行った。
勿論、認識障害を掛けてだ。
二人で水着を買って、それぞれ男湯、女湯に行く。
洗い場の風呂で身体を洗ってから、水着を着て、温泉に入るのが決まりなのだ。
温泉から出た後、ロビーの売店で待ち合わせして、施設前にあるカフェレストランで食事した。
久し振りの二人っきり、そしてデートだ。
まあ、幻獣達はいるのだが…
セラも凄く嬉しそうにしてくれている。
そして夜、温泉施設裏庭にベンチを地魔法で作り二人で座っている。
前回もこうして座っていたね、と二人懐かしそうに笑った。
幸せだ、今は何でも出来る気がする。
「セラ、ありがとう。
俺、色々吹っ切れて、頭も冷えたよ。
明日、セラをシエラに送ったら、また探査に戻るよ」
「ねえ、アロイス」
呼びかけられて見つめると、セラが微笑んでいる。
「わたくしも、一緒に連れて行ってくださる?」
いやいや、危険だろ。
焦って断ろうとしたけど、セラはじっと俺を見つめ続けてる。
「いつでも一緒ですわ、ね?」
不甲斐ない俺は、頷いていしまった。
見つめていた目が閉じる。
そっとキスをすると、幸せそうに頬を上気したセラが見つめ返してる。
堪らなくて抱きしめてじっと寄り添った。
結婚は2年後、これ以上は自重しないとヤバイ、殺される、狸に…
□■□
「わあ~すごいわ、フカフカね、ピヨちゃん」
ピヨ~~ッ!!!
翌朝、セラと幻獣達と一緒に、巨大化ピヨ太に乗って空を舞い上がった。
いや、本当は転移で行けるんだけど、セラがピヨ太に乗ってみたいというので、ちょっと散歩飛行サービスをしてる所だ。
一頻り経った所で、そのまま白の大陸へ、転移した。
目を見張るセラ、そりゃあ驚くだろう、全部氷で出来た地なんて。
そのまま、目の前にある建造物こと古代の神殿の中へ転移した。
セラには事前に、一緒に行っても、詳しく説明したり、構えないけど大丈夫か?と聞いている。
それには、黙ってついて行くから心配しないでと、返事を貰っていた。
ゴメンねセラ、じゃあ、俺は思いつくまま単独で動くから。
『マップ展開、全体図、重要箇所を示せ、詳細情報も示せ』
マップの情報が頭の中に入ってくる。
俺は試しに、セラに共有出来ないかと思い付く、そして…
再び驚き目を見張るセラ、どうやら共有できたようだ、よかった。
重要箇所というのは特にないな。
記述は…
※1階
○浄化司令塔
○各施設管理等
○各施設、各拠点、転移等
○浄化魔素管理
○管理室アクセス
※2階
○管理室(制限、許可制)
う~ん、相変わらず分かる様な、分からん様な。
ようするに、5つの水晶柱がこの5項目の担当?なんだよね?
2階は許可か…
左から水晶柱に音声を送る。
「この水晶柱は、何を担当してる? 俺の分かる言葉で答えろ」
【浄化指令塔】
「浄化指令塔とはなんだ?」
【南方ヨリ輸送ノ瘴気溜マリヲ浄化スル指示ヲ出スモノ】
「指示を出したら浄化してくれるんだな?」
【肯定】
「今までも浄化をして来たのか?」
【否定。
指示者不在二ヨリ三千年ホド停止状態】
「俺は指示を出すことが出来るか?」
【肯定】
「浄化で瘴気溜まりは全部消せるのか?」
【否定。
8割弱消去。
残リハ大陸へ降リル】
「瘴気溜まりは近いうちに来るのか?」
【肯定。
半年以内予想】
「人の大陸と、亜人の大陸とどちらに来るんだ?」
【人ノ大陸方面】
「何故だ? どうしてそうなった?」
【誘導感知。
エルフ、ダークエルフ、連合ヨリ、信号受信】
「なんだって!
信号ってなんだ?
それは今から覆せるのか?」
【可能。
信号トハ、大陸南端カラ発信スル水晶柱】
「それをエルフ達が持っている?
何故だ?」
【五千年強以前、エルフノ賢者ガ此処ヨリ持チ去ッタ。
以後、瘴気溜マリ輸送先ハ人ノ大陸へ送ラレテイル】
「ふざけんなよ!」
「アロイス…」
「ごめん、セラ…」
頭に血が上ったが、セラに呼ばれて冷えていく。
怒りに燃えても冷静になれ自分!
聞けるだけ聞こうと、質問を再開した。
そして分かったこと。
この世界は魔素で溢れている。
地中に内包した魔素は、地表に出て世界のあらゆる者をモノを循環し、また地中に帰り、巡っている。
だが、内包された魔素が正しく循環せず、澱み瘴気となる箇所がある。
それは、大量の魔素の発生する場所だ。
例えば、魔の森のように。
南の大陸は、大量の魔素が発生しては澱み瘴気の吹き荒れる場所となっている。
人の住めないその場所は、瘴気が魔物魔獣を生み、互いに相殺しあい淘汰されている。
淘汰されることにより、浄化されている状態でもある。
それで普通は収まっている。
しかし、
魔の森の浄化不足、ダンジョンの攻略不足、多層ダンジョンの攻略不足、それらは、南からの災害を呼ぶ引き金になる。
何故なら、ダンジョン、魔の森等は、南の瘴気溜まりの瘴気が溢れないようにする為の、ガス抜きであり、過剰を分散する為の瘴気の場でもあるのだから。
過去、南からの災害≪伝承≫により、人の大陸は局部的にだが壊滅状態を何度か経験している。
その都度、賢者の働きで幾分か緩和されてもいる。
居ないより、マシという程度だが。
そんな経験をしても、生の短い人間は忘れてしまう。
だが、エルフは覚えていた。
それだけの話ということだった。
まだ、引き出さないとならない情報はあると思う。
だが俺は、間に合うなら、エルフから水晶柱を取り戻したい。
セラを見ると、頷いていた。
行こう、フィオレの南端へ!
南端は魔の森もあるのだが、その更に最奥はぽっかりと空いた海を臨む断崖絶壁となっているらしい。
此処から転移で跳べるのは分かったし大丈夫だ。
左から3つ目の水晶柱に指示を出す。
「俺達を人の大陸の南端、海を臨む断崖絶壁に転移させてくれ」
【了解】
ブンッ
小気味良い音と共に転移が作動する。
陣も無しに転移できるのか、と感心する俺達は、無事に南端断崖絶壁に運ばれた。
そこには、見知ったエルフが岸壁に佇んでいたのだった…
何故、あなたが?………………




