銀への実績稼ぎは難攻不落に挑戦すべし?
地竜、走竜と倒した俺達は、意気揚々とギルドに引き返したのだが…
今回、銀カードに昇格するのは、俺だけだと言われた。
理由は色々あるけど、各ギルドで、銀への推薦が俺にあったこと、これまでの実績があること、などがあげられている。
ただ、ウィルとエマは、俺に次いで、グランハイムでの竜擬き討伐参加や、ルグラン外地で誘拐、強制労働の犯人捕縛などのポイントもあり、セラ達3人よりかは、銀へのポイントが溜まっている。
セラ達は、ひと月前に銅カードになったばかりだしな。
おまけに今回、地竜達は、フィオレ側からの、追い出しの際、そうとうダメージを負っていたのではないかと、解釈されてるらしい。
まあ、そう言われてみると確かに、魔法総攻撃を掛けたとは言え、ブレスも尾っぽの攻撃もなかった。
それほど弱っていた。
あれ、じゃあ、フィオレの奴等、なんで自分達で仕留めないの?
眠くて面倒くさかったとか?
まさかね。
いや、そのまさかだった、後日分かった、アホかい!
「じゃあ、俺以外の全員が、銀カードになる為には、何を討伐すればいいですか?」
「大物を倒せばすぐ銀になる、というものでもありません。
やはり、実績も必要なのです。
そうでなくては、そこら中、銀カードで溢れてしまいます。
ただ、こうして、依頼をこなすことにより、実績は溜まっていきます」
「そうか、実績か… ってことは、短期間でも、実績が溜まればいいんですよね?」
「まあ、そうとも言えます。
実績ポイントを稼ぎたいのなら、より、難攻不落な依頼達成に挑戦してみてはいかかがでしょう?」
「何かお勧めはありますか?」
「そうですね、例えば… 」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「「「「幽霊屋敷!?」」」」」
「そうなんだ、より難攻不落な依頼を達成して実績ポイントを溜めるのに相応しい依頼だ」
「でも、帰らずの屋敷とか言われてますわよね」
「うん、そこは有名な魔法師の屋敷だったらしいんだけど、魔法師の死後、屋敷に入った者は誰も帰って来ないらしい」
「この依頼って、魔法師の親族が屋敷の遺産を手に入れる為、10年前から出てるってやつだろ?」
「ああ、今まで誰も達成出来なかったんだ」
「その屋敷の周辺で、人が消えたりする被害があるってほんとー?」
「そうなんだ、遺産云々より、早く解決したいのが本音だろうな」
「んじゃさあ、燃やしちゃったらいーのに」
「やったけど、出来なかったって話だ」
「アンデットは聖魔法、光魔法を持っているアロイス殿は大丈夫だが、私達は対抗出来るだろうか?」
「結界はアンデッド系にも有効だし、聖なる光を武器に付与するよ。
ただし、聞いてくれ。
難攻不落の依頼として、受付に聞いたが、薦められた訳ではない。
それだけ危険で、ギルドが安易に提案出来ないものなんだ。
だから、受けるとしたら、完全な自己責任だと言われた」
「「「「「………」」」」」
俺達はどうするか迷った。
アケルとジェミは、反対だと言う。
そりゃそうだろう、大事なお嬢様の命がかかってるんだから。
ウィルも多分反対だろうな、エマは… うん、なんも考えてないわ。
みんなの様子を見て、俺は、これは無理だと判断した。
「危険だよな、やめ…「やりましょう!」うって、おい」
やめようと、言いかける途中で、セラに遮られた。
行きたいのか?
「お嬢! 駄目だよ」
「危険過ぎます、お嬢様」
青い顔で止める、ジェミとアケルに、セラはきっぱり言い放つ。
「これ程の難易度なら、解決すれば、かなりのポイントになります。
やらない手はありませんわ!」
それからまた話し合ったのだが、結局、セラの決心を、二人は覆せなかった。
ウィルにどうする?と聞いたら、女の子がやると言うのに、逃げられない、としょんぼり答えた。
うん、男はつらいよな。
この日は、地竜の依頼料、金貨3枚と大銀貨5枚。
追加の一頭分大銀貨5枚を更に受け取り、合わせて金貨4枚分になった。
他、買取として、大量の走竜の魔石、革と、地竜の魔石と革を売り払う。
こちらは、金貨5枚と大銀貨3枚と銀貨5枚になった。
ある程度等分に分けて、残りはカフェシナモンパーティーの宿代やら必要経費に充てている。
そう言えば、走竜は依頼でもなんでもなくて、討伐してくれて助かったと礼を言われた。
勿論、これはポイントになる。
俺達はいったん宿に帰り、明日朝からの仕切り直しにすることにした。
風呂、夕食と済ました後、俺は自室に入り、明日のことを、前世の賢者たるユリウスに脳内で相談することにした。
アンデットって、そんなに脅威なのか?
«どんな敵でも、ランクによるだろう。
誰も帰らないということは、それだけ強敵なのかもしれない»
前世の賢者たるユリウスとしては、どんな敵が思い浮かぶ?
«ヴァンパイア、若しくは、生前高名な魔法師、僧侶の死後ゴーストになったモノ、死者の護り人、などか»
そんなに、強敵なら、神殿から聖人か聖女、それが無理ならせめて神官でも派遣すればいいのにな。
«金にならないことに奴らが、大事な聖魔法の使い手を派遣などするものか»
エスケープボールは使えないのかな?
«誰も帰らないということは、駄目なのかもしれないが、用意はしておいた方がいいだろう»
転移は出来るのかな?
俺、短い距離なら出来るんだよな。
«それは不明だ。
お前は、今になって皆に提案したことを後悔しているようだが、それは、それこそが自己責任だ»
そっか…
悩んでもしょうがない、明日は出来ることをして、やるしかない。
やっとそう割り切って寝ようと思ったら、ノックの音がした。
セラだった。
「セラ、まさか、ダンスの練習とか言わないよね…」
「まあ、流石に夜更かしや体力消耗はしませんわ」
よかった、と胸を撫で下ろすも、ふと疑問に思ったことを聞いてみた。
「セラ、そんなに銀になることを焦ってるのか?」
「焦ってはいません。
でも、急いでいます」
にっこり笑って答えるセラ。
「同じじゃないのか?」
「全然ちがいますわ。
焦りは、心技ともにミスを招きますが、急ぎは目的の為に的確に処理、遂行となります。
アロイス、明日は頑張りましょう」
「ああ、そうだな、頑張ろう」
綺麗だな。
金の髪と金の瞳、黄金のお姫様だな…
姿、顔が綺麗なのも勿論だが、精神も黄金色に綺麗だから、一層綺麗に感じるのかもしれない。
あの、ひねくれたジェミが、セラには一途に仕えてるもんな。
「ん?」
ふと気付くと、セラが俺の両手を、自分の手で包んでいる。
何してはりますか? こん人はー、
なんで笑顔なんですか?
「アロイスは不思議ね。
近くにいると、力を感じるわ、これは魔力かしら?」
「な、なんで手を?」
「充電」
ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーー
美少女の笑顔にころされるぅぅぅぅぅぅーー
その後取り乱した俺は、気が付いたら寝てた。
前世達が相変わらず、なんか言ってるが無視だ無視。
«まったく、見目の良い婦女子が居ると、フラフラ構う癖に、その者が振り返ると、どうしていいか分からなくなるのだろう»
«青春だなあ
明日はホーンテッドマンション、がんばれよ~»
喧しいわ!




