カルナの街と冒険者ギルド
あれから一か月と少し、魔物魔獣を狩りながら進んでいた。
途中、護衛付きの豪華な馬車や商家の馬車を見かけたが、その都度自分自身に隠微を発動させてやり過ごした。
魔物や魔獣狩りは魔法の練習だと思ってバンバン使って倒した。
魔法だけだと能力向上に隔たりがあるので、身体強化をかけた上で、剣で止めをさすこともやっている。
順調に万遍なく上がっていった。
前前世である正志の世界のゲームのように、(レベル)というものは無いのだが、今の俺の各種能力は5~7くらい数値が上がっている。
平民の俺アロイスからしたら、劇的な変化だ。
勿論自重など無用。
この先もどんどん上げていくつもりだ。
ちなみに、能力の数値の上限は特にない。
前世の賢者ユリウスの魔力は1万を超えていたはずだ。
空間魔法の転移を駆使して一度行った場所に自由に行き来していた。
ちょっと羨ましい。
歩くのにうんざりした頃、ようやく街が見えてきた。
朝に着くように調整して、今朝カルナの街に着く。
俺は、装備とローブの上から羽織ったマントのフードを深く被り、子供顔が見えない様にして大人のふりをして入った。
金はなかったのだが仕留めた魔獣の素材を門の前に居た商人に売って入税を払った。
収納に金も入っていたのだが、百年前の金なので微妙に違うため出すのは止めておいた。
そのうち収納内の金貨銀貨銅貨鉄貨それぞれ、溶かしてインゴットにしてやろうと思う。
カルナの街は村から来た俺には立派に見えるが、多分小さな街だ。
ユリウスの記憶にある王都や高位貴族所領の大都市は目も眩む華やかさだった。
この街ではまずギルドカードを作り、身分証であるギルドカードを使って各街に無料で入れるようにしたい。
そして今の自分に足りないものを色々補うつもりだ。
街のあちこちに食べ物の露店があり、肉の串焼きを数本買って食べ歩いた。
武器屋、防具屋、薬屋、古着屋、小神殿、順に見ていくうちに、冒険者のギルドらしき看板前に辿り着く。
まさか、定番の絡む奴とか出てこないよな?
ちょっと考えてから、隠微魔法ではなく、認識障害のアイテム指輪をはめてギルドに入った。
隠微は姿を消すものだが、認識障害は見えているけど意識を向けないようにするものだ。
扉を開けると途端に、喧噪と血汗泥魔獣素材などごっちゃになった匂いにむせかえる。
誰も俺に意識しないのでさっさと窓口受付に向かう。
受付の美人にギルドカードの交付を頼むと、突然俺が現れた様に感じたのか驚いて目を見開いた。
「あ、はい、すみません。ちょっとぼんやりしてたみたいで。
ギルドに入られるのですね。
お名前と主に使う技能だけ書いて、このカードに魔力、または血を一滴垂らしてください。
はい、アロイス様、技能は魔法、ですね。魔力をこめられたのを確認。
入所してすぐは鉄カードです。
依頼をこなし、貢献度により銅、銀、金と上がっていきますので頑張ってくださいね。
ようこそギルドへ」
流石プロだ。
この後更に流れる様な詳細説明を微笑みながら語ってくれた。
清楚系美人は鉄板だな。
艶やかな金色の髪を緩く結い上げ、澄んだ青い瞳は知的だ。
あと、清楚なのに胸が大き… ゲフンゲフン。
お名前はセリナさんというらしい。
是非ともご贔屓にしたい。
絡まれることもなく、鉄クラスの依頼を複数取りギルドを出た。
絡まれて喧嘩に勝っても年齢を胡麻化してることや能力の露呈はやっかいなので、出来るだけ関わらない様にするつもりだ。
早く大人になりたい。
心は大人なんだけど。
コナン君じゃないっちゅうの!って、前前世の正志の意識に突っ込まれた。
あんなにちびじゃないよ俺…
気を取り直して、各薬草の採取を依頼以上に採取して提出。
めちゃめちゃセリナさんに喜ばれた。
「まあ、こんなに綺麗に鮮度を保って多数採取頂きましてありがとうございます。
えっ、旅の途中狩った魔獣の素材もあるのですか?
まあまあ、ホーンラビットの角と毛皮がこんなに沢山。
状態もいいですね。
換金は勉強させて頂きますわ」
しめて銀貨3枚お買い上げだ。
本当はもっとオオカミ、イノシシ、ベア、とかの魔獣素材があるんだけど、やめておいた。
せめて銅クラスにあがってからね。
この街でやることは多い。
地道に金をためることは勿論、読み書きも覚えたい。
これもユリウスの時代の読みや熟語が微妙に違うと思うので確認がてら勉強だ。
さすがに、名前や簡単な単語は同じようなので書ける。
依頼の合間に買った文字の本で学び、同じくこの国の歴史の本も買って読んだ。
ユリウスの名前も偉人の賢者として出ていた。
すごいね。
ついでに散髪屋で伸びっ放しの髪も短く刈ってもらった。
地道に採取や低級の魔物、魔獣を狩って、念願の銅クラスに昇格。
半年でなるなんて初めてだって言われた。
その後も順調に冒険者生活を過ごしていた。
俺の提出する素材は評判がいい。
それと言うのも、旅の途中で魔力が増え、収納を頻繁に使えるようになったお陰で収納レベルが上がったんだ。
それにより収納した素材の自動解体が出来るようになったので、物凄く綺麗だと買取評価も高い。
さて、読み書きも万全になり、金もまあまあ貯まった。
下級の魔物討伐の割には、素材が綺麗なので、他の討伐者よりは上乗せして貰っている。
元々そんなに金に困っていないという、贅沢な立場とも言う。
このままここに居てもいいんだけど、ダンジョンにも挑戦したいし。
この街のもう一つ先の街ラリックの傍に、初級のダンジョンがあるのだ、行ってみたい!
そう思うと気がはやる。
カルナでは宿に泊まらず認識障害を常備してたので、セリナさん以外とは殆ど交流がない。
宿よりも【隠れ家】の方が居心地がいいし、節約になるしね。
正志が脳内でお前やべーよと言ってるが、無視だ無視!
行くぞダンジョン!




