ラリックの街よ行ってきます!
旅に出たい、
と、皆に伝えた反応は様々だった。
「アロイス、行っちゃうの?
せっかくあたし達もダンジョンに挑戦することになって、アロイスとも一緒に行ける様になったのに…」
「アビー … 」
「ね、一緒だったら、あたしが守ってあげられるんだよ? 安心でしょ」
ええと、アビー。
従兄の件から俺への対応が、お母さん化してるよ。
せめてお姉さん化にして。
「アロイス君、旅に出ちゃうの?
わ、私、あの…
もし王都に行ったら王室御用達のクッキー買ってきて!
はい、大銅貨3枚、お釣りは使っていいからね」
ミアさん、初めてのお使いみたくなってるよ。
行くか分かんないけど、行って買えたらお釣りは返すからね。
「まあ坊や、旅は良いわよねえ。
王都に行くんですって?
裏通りには、ぼったくりの酒場があるから行っちゃ駄目よ」
ヒルダさん、王都とは一言も言ってないっす。
はい、裏通りには絶対行かないので、安心してください。
おねえさんのお名前やっと聞き出せたのに、俺への呼び方は坊やのまま…
トホホ
「なんだ、旅か。
足はどうするんだ?
歩きか?また乗り合い馬車か?」
「………」
「考えてなかったな、
まあ、乗馬習っとくか?」
「…お願いします」
ありがとう、ザックさん。
全く考えてませんでした…
「アロイス、樽いっぱいの水が魔法で出せたぞ!」
「へえ、よかったっすねえ」
「あうっ、魔力が~!
ポーション買って来る~」
おーい、フランツ、俺の話聞け~
旅にでるんだぞ~
「ねえねえ、自分でポーション作りしたら、薬師のスキル生えるって話だろ?
これ作ってみたんだけど、どお」
「どれどれ?
『鑑定』、
※コードの自作したポーションもどき。
薬草に一部、毒草が混入。
飲むと腹下し状態になる。
ポーション作りは絶対するな…
俺、旅に出るからもう鑑定出来ないし、危ねえ」
「おい、旅に出るんだって?」
げっ、誰から聞いた。
「アビーのことは俺が嫁に貰うから、安心して行って来い」
おーい、アビーさん、ロブがこう言ってますよー!
「お前、あの時、6階層でオーガーをどれだけ間引いたんだ?
まさかあの大量の魔石と革…
いや、なんでもない。
旅先で落ち着いたら、そこのギルドに、ちゃん来訪報告するんだぞ」
ギルド長、真相知ったらぶっ倒れるので、忘れてください。
「おい、旅に出るんだって?」
いやホント誰から聞いた。
「王都に行ったら、親父に、俺も騎士団推薦しろって言っとけ。
ついでに俺を金カードにしてくれって… 」
ジーン、25歳になってもそれじゃあ、とうちゃん泣くぞ…
ってか、皆の認識は、俺は王都行き決定なのか?
「串焼き50本、大銅貨5枚だ、毎度~!
いつもありがとな、ほ~ん旅か~。
おまけは出来ないが、秘伝のタレ、聞いとくか?」
お願いします。
おっちゃんのタレは絶品なんで!
街の人達の反応はまだまだあるのだが、そろそろ割愛したい。
旅の行先は全然考えてなかったが、いつの間に、王都に行く感じになってしまってた…
本当は、温泉地調べて温泉巡りとか、ちらっと思ってたのに!
旅立つ前に、その後のダンジョンの経過と結果を少し。
7階層だが、『イベント』はなくなっている、とギルドこの度正式に発表した。
丹念に隅々まで調べ、攻略した結果だ。
もう、スタンピードのようなことを引き起こさない、ダンジョン内のことを秘密にして、争い事をおこさない、有耶無耶にしない、そんな反省を含めて、些事でも明確化することにした様だ。
そして、7階層のマップやワーム討伐のやり方を公開している。
ワームはオーガーとは違った意味で脅威だ。
だが落とす素材は高値になる。
牙は武器に、革は防具に、時々落とす植物の種?は薬の材料になる。
まあ、7階層にボス部屋が無くなったので、ギルドも皆が積極的に7階に行く様に誘導しているのだ。
その変わり、5階のボス部屋に、金のインゴット(小さい)が出る様になった。
ただ、ボスがオークキングになったので、攻略は難しくもなった。
そうそう、スタンピードモドキの後、ダンジョンの中なのに、魔力を帯びた魔石はともかく、素材が残っていた件だが、あの後のダンジョンは、異常事態として、一度すべてがダンジョンとしての理から外れたそうだ。
リセットというか、復活するまでの間。
残った素材はダンジョンからの贈り物なのかもしれないと、皆は噂していた。
旅立ちだが、ザックさんに乗馬を習ったものの、結局乗り合い馬車で行くことになった。
いや、しょうがないんだよ…
馬って金貨5枚もするんだから。
ザックさん家は4頭も居てすごいっす。
厳密に言えば、金はあるのだが、世話とか、何かあった時置いておけないし、俺にはまだ早いと判断したんだけど。
貸し馬も止めた、王都まで遠すぎるし、料金も高い。
見送りに来たロブとジーンに馬鹿にされた。
お前ら呼んでねえ、ってか、お前らだって馬持ってねえだろが!
アビーにまた泣かれた。
アビーさん、出会った最初の気の強さは何処へやら、身内には涙脆い子だったんだね。
ありがとう、俺、俺と同じく口減らしに出されたウィル兄ちゃん以外は、家族にも放置されてたんで嬉しいよ、胸が熱くなった…
つい親の愚痴吐いたけど、貧乏一家の末っ子に親兄弟も構ってられなかったのは、今では分かるんだけどな。
泣いてるアビー以外は皆笑顔だ。
だからこれ以上は重ねて割愛する。
みんな行ってくるよ。
またきっと帰ってくるから!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「にいちゃんは、魔法師だったのかい?」
「あ、そうです。
薬師はまだスキル生えたばっかりで修行中で。
ところで、王都までなんですが、乗り換えってどれくらいあるんですかね?」
隣に座ってるじいちゃんが、薬師だと聞いて、思わず話し掛けて色々話が弾んだんだが、ついでに旅情報も聞いてみることにした。
「王都かあ、随分遠いなあ。
ポラックまでに一回、
オウドまでに一回、
クランリ―まで二回、
メイチェまで一回、
王都まで馬車駅地を二回経由かの」
うっ、長い…
やっぱ、温泉地探して温泉巡りすればよかった。
この後、ポラックの街まで4日かけて着き、じいちゃんと別れた。
薬草買ってくれてありがと、じいちゃん、毎度あり~。
さて次はオウドの村か。
お隣は気の良いおばちゃんに代わった。
そしてオウドの村に着いてから、俺のお隣は、おばちゃんは下車してないのに、何故か人が代わった。
ちなみに、俺、端っこに居るので、お隣は左側だけ。
あれ?
この人女の人だけど騎士?
「あ~、隣、失礼する」
「あ、どうも、よろしくです」
言葉はキリッとしてるけど…
容姿が華奢な女の子なので、ちぐはぐだ。
でも、
美少女だ!
なんていうか、騎士服も高そうだけど、身形が整っている。
手入れの行き届いた肌や髪は、まるで話に聞くお貴族様だ。
«貴族階級か、裕福な商家だろうな»
前世の貴族で賢者、ユリウス大先生の見解も俺の予想と一致した。
う~ん、上から下まで服も本人も美し~。
ミルクティーのような亜麻色の髪が、艶々と輝いてる。
紫色の透き通った瞳、って、紫色の目って初めて見た、ほ~ん、こんな色の目あるんだ。
綺麗だなあ…
思わずガン見してしまった。
そしたら、美少女騎士の隣の人に怒られた。
「お前、見すぎだ! 無礼だぞ」
隣の人は美女だった。
地味なドレスだから侍女さん?
ん?騎士に侍女??
「す、すいません。
女性の騎士様に初めてお会いしたので、つい見すぎてしまいました」
階級が上の人と関わるとやっかいなので、すぐに謝って頭を下げといた。
はあ、目の保養になりました、お二人さん。
見ないけど、隣からコロンが爽やかに香っててテンションあがります、ありがとう!
何処まで行くか知らないけど、よろしくね。
«幸先いいなあ!»
前前世の正志も喜んどる。
俺も同じ意見だ、楽しい旅路を!




