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再攻略と幸運に願いを

ダンジョン再攻略の朝である本日、俺の目は思わず点になった。


ここに居ないはずの奴がいる。


「なんで此奴がいるんだ!」


それは俺の台詞である、ロブ。


「アロイスはアビー達の応援だ」


「そうよ、一々絡むの止めて!」


「ちっ、仕方ねえなあ。

足引っぱるなよ」


それも俺の台詞である、ロブ。


この成り行き、思わずジト目でザックさんを見れば、すまなそうにそっと目をそらされた。


まあ、理由は察した。

俺とザックさんは7階層に入れない。

この兄妹弟(きょうだい)3人に味方してくれて尚、7階層に入れるロブを付き添わせたいのだろう。

親心だ、許そう。

うちの親に100分の一でも見習わせたい…


俺は前世の賢者ユリウスから、しつこく言われていたことを実行する。

ロブのステータスをこっそり鑑定した。

こんな奴の表をわざわざ出さないが、ダンジョンの常連なだけあって、アビー達より、能力の数値は高かった。

いつもは仲間数人と潜ってるらしい。

皆、邪魔する奴等に騙されて、『イベント』で失敗した者同士だそうだ。



ところで、

俺は、ダンジョン決行日の前の3日間、あることをしていた。


それは(幸運)のスキルの詳細を調べ、試すことだった。


スキル:幸運

    ※一日に一度、幸運を使える。

    ただし、成功の精度は熟練度による。

    これ自体は運ではない。

    最初のうちは、小さなことのみ幸運を願える。



マジか、


例によってユリウスに、ネチネチ言われしぶしぶ調べたのだが、確かに調べてよかった。


今回のダンジョン行きは、邪魔する奴等の目をかいくぐり、俺達一行が、どれだけ秘密裏に動けるかに特化されている。

ザックさんはロブに情報を聞いてその日取りを決めた。

まさか、その聞いた本人を連れてくるとは思わなかったが…



話は戻すが、お試しの幸運に対するテストの三日間を振り返る。


一日目の願い

[ミアさんに抱きつかれたい]


俺はいそいそと〔腹ペコ亭〕に行った。


「いらっしゃいませ。

アロイス君、今日も来てくれてありがっきゃっ!」


バシャーン!


思いっきり水を被った…


「ごめんなさいっ、大丈夫?」


転びそうになったミアさんが持っていた盆を、手前に押し出し、水の入ったコップが見事俺の頭にストライクした。

ついでにミアさんが押し出した盆を俺はしっかり抱きしめていた…

惜しい。

盆だった…



二日目の願い

[アビーと仲良く街歩きしたい(でーと)]


さっそくアビーの泊まる宿へ行った。


「アビー、美味しい露店の店教えて欲しいんだけど、いいかな?

ついでに奢るよ」


「うん、いいわよ。

あたしに任せて!」


やった、並んで歩くだけだけど嬉しい。


ん? なんか後ろから声が、


「アビー、アビー姉、俺も連れてって」


ちょ、コード、お前…


「俺にも奢ってくれんだろ、美味いと評判の露店ならバッチリだぜ」


この後露店で買い食い三昧の、めっちゃ街歩きした。

コブ付きで。



三日目の願い

[酒場のおねえさんにモテたい]


先日ザックさんに連れてってもらった酒場に行った。


「いらっしゃい。

あら、魔法師の坊や、今日は一人なの?」


「ここのステーキが最高だったから、また来ました」


「まあ、そう言ってもらうと、ママも喜ぶわ。

ママ! お客さんがステーキ最高ですって」


おねえさんの声かけに、奥から貫禄のあるマダムが出てきた…


「あーら、坊や、うちの食事の良さがわかるなんてサービスするわよ」


この後、マダムと厨房のおばちゃ… おばさま達にモテまくった。

残念!




う~~ん、

なかなか上手くいかないなあ。

いや、でも、

ミアさんにはタオルで頭を丁寧にふいてもらったし、

涙目で上目遣いが可愛いかったし、ある意味願い以上じゃ?


うんうん、アビーとも、お邪魔虫は居たけど、食べ歩いての街歩きは楽しかった。

そもそも誘いに快諾してくれたし、いいんじゃない?


おねえさん、今日も綺麗だったな…

あの後ゴメンねって、耳元で囁かれたんだけど、

これって、モテの一種にならないか?


ぶつぶつ…



貴重な3日間のテストを無駄にしおって…

馬鹿者。


一人で検証していた俺を傍目に、それを脳内で見ていたユリウス大先生が嘆いていたのを、俺は知らない。


ちなみに前前世の正志は、いいなあ幸運、俺にもあったらなあ… と呟いていたそうな。


まあ、叶ったような、叶わなかったような?

また検証すればいいか。

今日はいやでも願いを出すことになるし。



俺達は邪魔をする奴等がいない隙にダンジョンに入った。


先頭をロブとザックさん。

中を兄妹弟(きょうだい)の3人。

後ろを俺である。


1階層から3階層までの、スライム、ゴブリン、コボルトを殆ど相手にせず瞬殺していく。

さすがこのメンバーだと早い。

俺の役目は取りこぼしや、数が多い時の遠距離攻撃をアビーの弓と共に行った。

だだっ広い4階層も、勝手知ったるロブの知る近道で、あっという間だ。


ここまでなんと昼前。

明け方から出発したとしても早い。


5階へ降りる階段途中の踊り場で、休憩と食事をとった。

アビーやコードと回った露店で買い置きした、焼肉パンや串焼きなどを収納から出して配った。

ちなみに戦闘でドロップした素材や魔石も俺の収納で預かっている。


さて、次は5階層であるが、勿論ボス部屋には行かない。

この階でビギナー3人は、オークに少し手間取ったが、残りの3人がフォローして戦闘に慣れることが出来た。

その間ありがたいことに、他の冒険者ともかち合わななかった。

5階はボス目当ての者が普段多いので、要注意だったのだ。


「さて、この勢いで今日中に強行するぞ」


ザックさんがアビー達に声をかける。

そう、下手に時間をかけるより、短期決行が勝負の(かなめ)だ。


6階層は、俺とザックさんで片付けて行く。

後の4人は、7階に備えて体を休めながら進んで行くのだが、


「お、お前、やり方がえげつないぞ」


例の俺の作業にロブが文句をたれる。

ザックさんも、


「た、確かに、魔法は身も蓋もないな。

穴掘って落として殲滅… 」


「これが一番早いでしょ。

さあ、サクサク行きましょう」


文句言うんじゃねえ、と心の中で思いつつ落としまくる俺だった。

今日も魔力回復ポーションが美味い。



そして、

魔ベアの森を抜け、いよいよ7階層降り口前に辿り着いた。


ここで、7階イベントへ向けての復習である。


「7階に入ればイベントが始まる。


降りた先は、巨人の城のホールだ。


まず索敵を飛ばす。


敵の居ない出口を行くと、螺旋階段がある。


昇った先の通路を行き、扉を開ければ、敵が居る。


人間に化けたオーガーだ。


魅了をかけてくるので、状態異常無効ポーションを飲んで行け。


魅了にかかったふりをして近づき倒せ!


分かったな?」



アビー達3人とロブが頷いている。


「人間に化けるって、父さんの時は困ってる子供のふりで、

アロイスは王女様で、、

ロブは王国騎士だったのよね」


「そうだ。

心配だったら、扉の前で必ず索敵をかけろ。

赤い敵を示す点が表示されるはずだ

人間に見えても人間ではない」



頷いた4人はそれぞれポーションを飲んだ。

俺とザックさんが助けることが出来るのはここまでだ。

4人を送った後、7階の階段の踊り場でテントを張って、一晩待機する。

もしもの為だ。

そして翌朝帰る予定である。


各自にエスケープボールを持たせているが、なんらかの理由で使用出来ず、ここまで逃げ帰って来ることも想定してるのだ。


7階に入れないが、階段までは許されているらしいので。


階段踊り場で俺とザックさんは4人を見送った。

彼らが降りきり、中に入って行ったのも確認した。


ふう、思わず安堵の息を吐く。

安心して気が緩んだその時、


5~6人の人間が後ろから、もの凄い勢いで駆け降りてきた。


「お前ら、まさか邪魔しに、」


「はは、ザックさん、あんたの子供達に褒章は取らせないさ」


くそっ、

俺も索敵使ってたんだが、人間を示す緑の点が出ないので油断した。

此奴ら邪魔する対象に、傷付けたりとかはしないようだが、明らかに害意を持っていたので、

人間を示す点が、色が濁ってよく分からない状態なので見落とした…


笑いながら走り降りる連中を、俺達も追う。

駄目だ、奴等がもうすぐ7階に入ってしまう。


俺は異空間収納から、白いオーブを取り出すと、奴らに向けてオーブを投げた。


ぎょっとしたようなザックさんと奴等だが、ライトの様な光が連中を包んだだけで、何ともないと知った途端、せせら笑いながら7階層に入って行ってしまった。


「アロイス、今のはなんだ?」


「待ってくださいザックさん。

先に願いをかけてから。


『幸運に願う。

奴等にかけた魔法が確実にかかることを』


あのオーブは使い捨ての魔道具です。


奴等の動きが30分間スローになる。


例の螺旋階段は長い、上手く魔法がかかってくれてたら、奴らは間に合わない。

願いを込めて共に祈りましょう。

4人の幸運を」


「そうか、俺達の出来ることはここまでだからな」


踊り場に用意したテントを張っていった。

中は広々と空間をカスタマイズしてある。


夜食をとり、交代で夜番をしながら眠りにつくのだ。


頑張れよ4人。

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