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転生したら天使のように優しい令嬢になったけどごめんなさいそんなに性格良くないので期待しないでください  作者: ブリージー・ベル (旧・瑚希)


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いったんもめん

 週明け、珍しく自分からテオに会いに行く。登校した後、アーサー兄様について行って、私の姿に驚くテオにランチの約束を取り付けた。

 今日は試してみたいことがあるから、まだ少し寒いけど外の目立たないところがいい。そのためにブランケットを持ってきたし、実験道具もある。ランチも早めに手配しておく。


「どうしたの?荷物いっぱいだね。貸して、持つから」

「ありがとう」重くて辛かったけど、テオが持つと軽そうに見える。


 目的の場所でブランケットを渡して、お互いに包まり食事が終わるとテオに大きなマスクを渡す。四角い布の四隅に紐を付け、目と鼻と口に小さい穴を開けた布で顔を覆い隠すのだ。


「アリス?」テオがかなり戸惑っている。

「内面をね」話しながら後頭部で紐を結ぶ。

「うん?」

「テオの内面を知るには顔を隠すしかないの」

「またおかしなことを言い出したね」

「またって何よ」

「いや、まあ・・」

「テオは顔が良すぎるの。テオの良いところを書き出してたんだけど、内面を書き出してるのに『顔』って出てきちゃうの」

「ありがとう?」

「だから、顔を隠してもらおうって」


「よし!これで美しい顔に惑わされずに済むわ」

「これ・・滑稽だよね!?」

「そ、そんなことない」

「アリスも後で付けてね」見えないけどめちゃくちゃ悪い笑顔な気がする。

「わ、わかったわ」せっかくマスクをつけてもらったのに、正視できない。ほんの少し油断したら笑いが止まらなくなってしまうかも。深呼吸して腹筋がプルプルしているのを抑えた。


「テオは優しい」

「そう?」

「私を助けてくれたんでしょ?それに今もそんなもの付けてくれてるし」

「そんなものって言ったね」

「正視できないぐらい滑稽なことになってるわ」

「いいよ、アリスのためなら」

「お願い、近寄らないで」

「ひどすぎる」

「腹筋が痙攣し・・そうなの」

「お腹さすってあげようか?」

「遠慮しときます。マスクをつけても色香って漂うのね。効果薄いけど」

「今日は僕をあざ笑う遊びかなんか?」

「純粋な実験です」

「顔が見えないと冷たさが増してる気がするよ」

「それは貴重なデータね」


「ねえ、最近アーサー兄様への気持ちを隠さないことにしたの?」

「いや。それについてちゃんと話したいんだけど、これ外していい?」

「ダメ」

「これ付けた状態で話す利点が見当たらない」

「私には利点だらけな気がする」

「はああ・・」


「そんな深いため息つかないで。こんなの今日だけだから」

「今話すべきかどうか人生最大の悩みと化してるんだけど」

「そんな大事なこと?」

「そうだね。アリスに謝らなきゃいけないこと」

「私を好きなふりをやめるとかそういう話なら、謝らなくて大丈夫」

「うーん・・」チラッとテオを見ると、かなり下を向いていたので、この状態なら大丈夫かと眺めていると、ぱっと顔を上げてマスクが見つめてきた。


「くっ」


だめだ。画がもう脳裏に焼き付いた。口を指先で押さえつけて笑いを堪えるけれど、全身が震える。


「アリス!?」


「ダメ」崩壊した。


「これ外すよ?僕まで笑いが止まらなくなってきたし」

「うん、いいよ」


 笑いがおさまり仰向けに寝転がって呼吸を整えていると、テオも隣にねころんだ。


「アリス、嘘をついたつもりはないんだけど・・誤解をそのままにしてたというか・・」

「なに?」

「僕はアーサーのことを恋愛感情で好きじゃないよ」

「え?!」横を向くとバツが悪そうなテオの顔。


「アリスの誤解が面白かったからちょっと遊んだ。ごめん」

「テオはアーサー兄様に恋してるんじゃないの?」

「うん」

「私の反応を楽しんでたの?」

「うん」


「ちょっと待ってね」起き上がってマスクを拾い、無言でテオに取り付ける。


「アリス?」疑問に思いながらもちゃんと起き上がって装着に協力してくれるなんて優しいのよね、テオ。


「怒るべきかどうかわからないから一旦落ち着こうと思って」

「マスク必要?!」

「・・混乱しててよくわからないけど、私で遊んだのは怒っていい気がする」

「うん」

「でも今、私もテオで遊んでるような」

「そうだね」

「どうしよう、怒ろうと思ったのに怒れなくなっちゃった」

「アリスのそういうところ好きだよ」

「すごい!いつものテオの破壊力が全然ない!」

「え」

「これからもこの姿を思い出したらテオにときめかない気がする!」

「え、ちょ」

「うん、実験終了!ありがとう」マスクを外すのを手伝って、荷物をまとめた。



 アリスの最高の笑顔を見た。「僕に今後ときめかない」と言いながら。最高に可愛い笑顔だったのに、不快な感情とセットになってしまった。

 今後、どんなにアリスに魅力を振りまいてるつもりでも、あのマスク姿を思い出されるわけだ。どうしよう。


□ □ □


 その日、私は上機嫌だった。だってテオを封印できたもの。いつもいつもなんとなくおされ気味だった相手に対抗できるものを手に入れた。これきっと他の人に使っちゃうと効果薄れる気がする。ジュードやウイリアムにもかぶせてみたいけど、やめておこう。


・・テオはアーサー兄様が好きだというのは私の勘違いってことよね?そこがまだ納得いってない。嘘はついてないとか言ってたけど、大嘘つきだったとしか思えない。嘘をつかれたことに怒る気持ちより、悲しい気持ちになるのはなんでだろう。ま、私も嘘つきだけど。本当の感情なんて抑えつけるのに慣れすぎてわからないぐらいだし。


・・・本当の感情?

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