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転生したら天使のように優しい令嬢になったけどごめんなさいそんなに性格良くないので期待しないでください  作者: ブリージー・ベル (旧・瑚希)


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ウイリアム

 無意識に傷つかない方を選んでいたとして、それがダメだとも思わないけど、傷ついてもいい!この人のことが好きだとなりふり構わない恋・・どんな感じなんだろう。苦しいのかな。それとも、そこまで好きになれたことが幸せなのかな。

 人間、急所を守るようにできているのだから、傷つかない方を選ぶのは当たり前。・・あれ?もしかして・・記憶喪失なのも、何か守ってるんだろうか。


 傷つくことを怖がらずちゃんとテオとジュードや周りの人を見てみよう。大丈夫、私は強い。傷ついたところでちゃんと傷は癒えるように出来てる、人間。

 よし!積極的に動こう。そういえばウイリアムと最近話してないなと気がついて、帰りに声をかけた。


「ねえ、久しぶりにゆっくり話さない?」

「うん話す」

「明日、家に行ってもいい?」

「いいよ」にっこり笑ったウイリアムの顔はいつの間にか大人っぽくなっていて密かに驚く。


 最近手に入れた本をお土産に土曜の昼下りにベストル伯爵邸にお邪魔した。いつもならウイリアムの部屋に通されるけれど今日通されたのは客間で、そんなお年頃なのかと実感する。


「これ、ウイリアムが好きそうだなと思って持ってきたんだけど、もう読んだ?」

「まだ読んでない、気になってたんだ」

「ねえねえ、ウイリアムはユリアンナとどうなってるの?」

「へ?」

「いつも話してるじゃない。仲良さそうだし好きなのかな?って」

「僕は別に。クラスメイトの1人ってだけだよ」

「ふうん」

「そんなこと尋ねるなら僕も遠慮なく尋ねるけど、アリスはジュードとテオのどっちが好きなの?」

「二人とも、恋愛感情抜きで大好きだよ」

「なんでそんなことになっちゃったんだろう」

「記憶喪失のせいだと思う」

「ジュードの記憶はまだ戻らないの?」

「頑なに戻ってこないわ。なのに、犬に襲われたときの記憶は2つ、テオに助けられるものとジュードに助けられるものがあるしお手上げ」

「どういうこと?」


 できるだけわかりやすいように説明した後


「ウイリアムはこのときのこと覚えてる?」

「覚えてるよ。アリスが戻ってきて泣きつかれて寝てるの見に行った」

「へえ」

「部屋を覗いたら、テオがいて二人でアリスの泣き腫らした顔を見てたよ」

「・・はい?」

「しばらくしたらジュードが来たから僕は部屋を出たけど、テオとジュードは残ってアリスを見てたと思う」

「・・・」

「怖かっただろうから、夜中にうなされるんじゃないかと思ってみんな心配してたよ」

「ねえ・・私を助けてくれたのって・・」

「テオでしょ?」

「それって・・私が言ってた?」

「僕はテオから聞いた」

「っ!・・・テオはなんて?」

「なんて言ってたかなあ・・」

「・・その後、なんで私がジュードに助けられたと思うようになったか知らない?」

「さあ?僕は2人で助けて、アリスが自分の王子様はジュードだと決めたんだと思ってた」


 結局、肝心の部分は分からずやはり自分で選ぶしかないのかもしれない。


「まあいいわ。それより卒業した後、私が一人で生きていくなら何をすればいいか一緒に考えてくれない?」

「え?!」

「このまま誰のことも好きにならず結婚しないなら、私は一人で生きていける収入が必要になると思うの」

「アリスは侯爵令嬢だよ。働くなんて許されない」

「資金があれば何か商売でも始めればいいかなと思ったんだけど、どれもピンとこなくて」

「アリス、聞いてる?アリスは侯爵令嬢なんだよ」

「あー、はいはい。いっそ何かの技術を売れないかと考えたんだけど、魔法が使えるわけじゃないし作りたいものがあってもどこに頼めばいいかもわからないのよね」

「・・何を作りたいの?」

「この世界に無いものならなんでも」

「アリスが僕の理解を超えていく」

「この世界、電気もないのよね。電気を作り出したいけど、電気を作り出したのがリンゴの法則の人だったかどうかすらわからなくて。静電気が使える記憶がうっすらあるような」

「デンキ」

「でも電気を発明できたところで、原子力へたどり着いちゃう気がするから、この世界に似合わないのよね」

「ゲンシリョク」

「ってことは何かのエネルギーを作りたいのなら、人間の排泄物を循環させるのが一番なんだけど、侯爵令嬢が排泄物を集めたりしたらそれこそ大問題でしょう?」

「・・アリス」

「うん?」

「言ってることが全然わからないけど、なんかワクワクするから1から説明して!」


 すごくキラキラした瞳で聞こうとしてくれるので、思いつくことを話していたらあっという間に夜になり、帰ろうとしたらウイリアムに「まだ聞きたい!」と腕を引っ張られる羽目になった。春休みにまた遊びにくる約束をしてやっと離してもらい家に戻る。


 ウイリアムと話をするのは楽しかった。次はテオだ。

 テオへの先入観をできるだけ取り除いて、向き合ってみよう。


 テオへの先入観を書き出してみると「かっこいいから自分が好き」と最初に出てくる。「アーサー兄様のことが大好き」これは先入観じゃないか。本人が認めたんだし。大体、テオは女性が大好きだと思ってた。そうだ、これぞ先入観!かっこいい→モテる→いつも女性に囲まれてデレデレしている気がする→女好き。先入観の完成である。女性にモテているからといって、女性を好きとは限らないと知った。


 逆にテオの素敵なところは?「顔」


 しまった。大事なのは内面。


「アーサー兄様を一途に好きなところ」「優しい」「強い」「顔」


 内面に食い込んでくる顔の良さ。女性がどれだけ男性の顔を重視するか知っている。男性だって女性の顔重視だし。でも、その美貌が崩れ始めたとき、残るのは内面なのだ。よし、内面内面。


「色香振りまいて意地悪してくるところ」


 これは・・むしろ良くないところか。


「何考えてるかよくわからないところ」


 これも・・良くない気がする。


「たまにとびきりの笑顔を見せてくれるところ」


やっぱり「顔」か。

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