第三章:クライマックスフェイズ (2)そして、彼等は撃ち落とす
■クライマックスフェイズ 2
奈落球の表面から、『SHIRANUI』の敵意を感じ取ったかのように、”何か”が身をもたげる。
奈落の海を泡立たせ、浮かび上がるのは、顔。不健康にやせこけた頬に、薄く髭を貼り付けた男性……だろうか。ただしそのサイズは人間のそれではなく、巨大な魔物か何かとしか見えない。
そしてそれはゆっくりと奈落の沼から身をもたげ、その半身を露わにする。
それは、巨人。歪な剣を手にした巨人。それを、元となった男の名から、”青髯”と呼称しよう。
「あれが……」
覚醒が、その異形に戦くように、呟く。それが、自らの命を奪った存在であるが故か。それとも、己の中の奈落が共鳴しているが故か。
どうであれ、”青髯”はその手に巨大な剣を握り、下半身を奈落球に埋め込んだまま、『SHIRANUI』を見上げ、血の涙を流した。
「私に、触れるな。彼女に、触れるな。もう二度と、操らせはしない。私が、私が護るのだ、永劫に、永劫に!!」
轟くのは、絶望と怨嗟が形を成したかのような声。
あるいは、この声が囁き続けた結果、魔女の世界は彼の願いのように歪められてきたのかもしれない。
洋一 :「……何だ……こう、こういうのばっかり、っしょ」形容しがたいツラで顔を押さえてオーマイゴッド。
覚醒 :「……”何”を護りたかったのやら。もう、本人も覚えてないんでしょうけれど」
ほとり:「奈落に墜ちる。と言うのは、こうして本来の目的すら、見失ってしまうのですね」
GM :ジュライ・シオノ「うん……だから、あいつを叩き落とす。まずはそこからだよ!」……というわけで、洋一の宣言で戦闘開始としよう。
洋一 :了解。「んじゃまあ―――あのどこ見てんだか判んねえツラ、あっと言わせて! 皆纏めて、返してもらう……っしょ!!」
洋一の宣誓に応えるように、黄金の幻像が浮かび上がり、雄叫びを上げる。
そして――二つのセカイを救う戦いが、始まった。
■戦闘前宣言
*戦場配置*
[結節鎖A] 25m [結節鎖B] 25m [結節鎖C] 10m [洋一、ほとり、覚醒] 5m [青髯] 10m [結節鎖D] 25m [結節鎖E] 25m [結節鎖F]
GM :結節鎖は極端に防御修正の高い”構造物”だ。【HP】はさほど高くない。【行動値】は0とし、それ自体は行動を行わないものだ。
ほとり:防御修正が高く【HP】が高くはない……<神>化加護をうまく使う必要があるし、効果的であると言うことですね。
GM :そうだね。具体的にはジュライ・シオノが切りつければ、よほど運が悪くない限りは切断できる程度。
ほとり:と言う事は、私の≪類感魔術≫も有効ですね。
GM :有効だね。加えて、お察しの通り結節鎖は全て同一名称のエネミー。
『世界魔法:ウィッチレルム』の魔法装備である≪類感魔術≫は、攻撃のダメージ適用後に使用し、同一名称の別のエネミーを指定し、2Dの【HP】を失わせるというものだ。
現状の結節鎖のように、距離を置いて同一のエネミーが並んでいる状態で効果を発揮する魔法装備である。
洋一 :すると【HP】は10あるかないか程度か……まずジュライ・シオノに斬ってもらって、ほとりんに≪類感魔術≫をやってもらうとそれだけで二~三体か。
GM :うむ。それでまず戦闘前に、青髯が特技を宣言。≪ジュデッカの凍気≫だ。
●≪ジュデッカの凍気≫
タイミング:常時
効果:
この特技を持つエネミーは、【HP】が0になっても戦闘不能になるだけで、決して死亡しない。
GM :加えて、シーンに適用される効果を宣言する。≪タルタロスの誘い≫。
●≪タルタロスの誘い≫
タイミング:常時
効果:
場面に適用される。クリンナップ開始時に場面に生存する結節鎖の数をもとに、結節維持判定を行う。
これに失敗した場合、クリンナップ終了時にタルタロスに引き寄せられて『距離』が1加算される。
結節維持判定は、[結節鎖数 >= 距離]で定められる。
GM :初期の『距離』は1。『距離』が7になった段階で、結節維持判定は成功しなくなる……つまり、”青髯”は『ウィッチレルム』から遊離し、タルタロスに向けて落下する。
それから、”青髯”が戦闘不能になることでも、即座に『距離』は1加算される。
ほとり:とすると、戦術としては”青髯”を戦闘不能にしてまず『距離』を稼いで、『距離』が増えてきた段階で結節鎖を切断していけば、効率良く『距離』を稼ぐ事ができますね。
洋一 :このルールのままだと、初手で鎖全部切っちまうのも手でねえ?
ほとり:鎖が何をしてくるかわからないことを考えると、それも選択肢ですけど……あと、毎回判定を行うということは、多分これ、倒しても再生しますよね。
GM :まあ、見るからにそんな雰囲気だね。なお、”青髯”の【行動値】は19だ。
……それでは、準備がよければ始めようか。
複雑な条件の戦闘、そして何より決戦である。パーティは互いに戦術やリソースを確認し、おおまかな攻略プランを相談する。
そして、戦闘ラウンドが開始された。
■ラウンド 1 セットアップ
覚醒 :≪夜の眷属≫!
GM :”青髯”は≪ヘイスト≫を使用。【行動値】を……3追加して、22。ち、洋一に勝てなかったか。
洋一 :あっぶねぇ。オレは≪剣王の城≫+≪剣王の寵児≫で装備をフルセット!
ほとり:私はありません。
GM :では、イニシアチブプロセスに移行しよう。
■ラウンド 1 イニシアチブプロセス
●22 洋一
洋一 :……の前に、とりあえずジュライ・シオノに鎖F切ってもらいたい!
GM :ジュライ・シオノ「任せて!」素早く踏み込み、鎌で切断! ダメージ決定は宣言者がどうぞ。
洋一 :(ころころ)……ダメージ11っ!
GM :よし、ではジュライ・シオノの鎌が鎖を切断。そしてそこから噴き出した瘴気がジュライ・シオノの全身を蝕む。≪オートカウンター≫だね。≪ファランクスカウンター≫と違い、これは対象を倒しても適用されるものとする。
洋一 :「って、ちょっ!?」
GM :ジュライ「ったー、大丈夫! フューネラルコンダクター筆頭突撃アタッカーやってたボクは伊達じゃない!」……というわけで、基本ジュライ・シオノへのダメージは無視され、気にしなくて大丈夫。
ほとり:「私とは全く違う『魔女』ですね」と手際に感心してしまいます。
覚醒 :「……サトリちゃんが防御特化になった理由がここに」などと妄言を。
*戦場配置*
[結節鎖A] 25m [結節鎖B] 25m [結節鎖C] 10m [洋一・ほとり・覚醒] 5m [青髯] 10m [結節鎖D] 25m [結節鎖E] 25m [×結節鎖F]
GM :というわけで、改めて洋一どうぞ。
洋一 :んー。とりあえずちょっと場所バラしてから、”青髭”殴るか。ムーブで10m後退して、マイナーで【MP】ポーション飲んで、メジャーで”青髭”を燃やす。
GM :ほいさ。
洋一 :(ころころ)……回復量は15っと。ちょうど一発分回復して、攻撃。……魔導の20!
GM :抗魔判定は……15。ヒットだ。
洋一 :うし。≪超過演算≫し~の、ダメージが……(ころころ)49点の<炎>。広範囲ブッパじゃないと火力がいまいちっ。
GM :だが、それでも42点通ったな。
先鞭をつけるのは、やはり洋一。黄金の騎馬の上から≪極光の羅針盤≫を掲げれば、黄金の闘士が応えて炎を放つ。
ぱっと”青髯”の身体が炎に包まれる。それは奈落の塊を灼き焦がし、ぶすぶすと異臭の煙を巻き起こす。
しかし”青髯”自身を焼き尽くすには至らない。”青髯”が剣を一振りすれば炎は吹き散らされ、傷はぶくぶくと吹き上がるコールタールじみた奈落によって修復されているようだ。
「あんま効いてねぇ……! でも、まだ小手調べっしょ!!」
*戦場配置*
[結節鎖A] 25m [結節鎖B] 25m [結節鎖C・洋一] 10m [ほとり・覚醒] 5m [青髯] 10m [結節鎖D] 25m [結節鎖E] 25m [×結節鎖F]
●22 青髯
GM :では次、”青髯”だ。ばかでかい腕の先に、いびつによじれた光輝く剣を手にしている。その射程は10m。
現状は、ほとりと覚醒が同一エンゲージにいるな。ならばそこだ。ムーブなし、マイナー≪攻撃増幅≫ メジャー≪グラウンドストライク≫!
覚醒 :外套の構え!(謎ポーズ)
GM :では命中判定だ……出目9、達成値21でさらにクリティカルだ!
覚醒 :げふっ!?
ほとり:う。これはつらい。クリティカル値9ですか。
覚醒 :回避ー回避ー! (ころころ)……むーりぃー。
ほとり:こちらも無理です……。
GM :巨大な剣がうなりを上げて、覚醒とほとりの頭上からなだれ落ちてくる。≪ヘル≫と事前に煽りつつ、カバー宣言どうぞ(笑)
覚醒 :≪闇の外套≫でほとりんをカバーアップ!
ほとり:……いえ、ここは悩みますが、初手で私をかばって覚醒さんがブレイクはまずいです。≪マリーシ≫で回避してしまいましょう。
覚醒 :おおっと、了解です。
再編集するまで誰も気づかなかったのだが、実はほとりの≪マリーシ≫は、ミドルフェイズの≪ヘルモード≫の代償として既に消費されている。
分割セッションの繰り返しなので、過去のリソース消費がするっと記憶や記録から抜けていることがある。きちんとリソースは管理しよう。
GM :ふむ、んー、後手に回っては対抗手段はないな。では通して、≪ヘル≫で確実にダメージ入れちゃおう。(ころころ)……きっかり100ダメージ!
覚醒 :そのまま通って残り【HP】23!「―――ここだァ!」と刀から黒い波動を飛ばします。≪タケミカヅチ≫!
GM :ふむ……それは受けよう。これで合計ダメージは142点だ。
なだれ落ちる巨大な剣を真っ向から見返し、覚醒は受け流しの構えを取る。
激突。火花を散らして刀が剛剣を受け止める。刀身がみしみしと悲鳴を上げる。
マナを帯びた刀身を、巨剣が滑る。まき散らされる瘴気と剣圧で身体をぎりぎりと削られながらも、覚醒は揺るがない。退かない。
そして逸らされた剣の切っ先が奈落の水面を叩いた瞬間、それまで蓄えられていたエネルギーを、覚醒は撃ち返す。
瞬時に、ぱっくりと”青髯”の胴が斜めに切り裂かれた。
苦悶の声を漏らし、“青髯”が身を捩った。
覚醒 :「タダじゃあ倒れませんからね……まだ倒れませんけど!」ぼろぼろだけど余裕で立ってる。
GM :そして”青髯”が≪再起動≫を使用し、【行動値】12での再行動を準備して、終了。
●14 覚醒
覚醒 :ムーブで青髭にエンゲージします。マイナーなし、メジャーで≪闇の手≫を使って攻撃します。で、≪ビフロスト≫をいただきたく!
ほとり:はい、ではここで≪オズの赤い靴≫のかかとを鳴らします――≪ビフロスト≫!
覚醒 :感謝! これで「対象:場面(選択)」、「射程:場面」になるので、”青髭”と全ての結節鎖を攻撃対象に! そして≪ザンヤルマの剣≫に願い≪バベル≫を発動! リアクションと防御修正を無視して攻撃します!
GM :む、むむ……。
GM悩む。一応、≪アビス:オーディン≫の手札はある。これを使用して≪ビフロスト≫を消すのが、おそらく最適の戦術だろう。
しかし、≪ビフロスト≫と≪バベル≫を使用した必殺の一撃を潰すのは忍びない。GMは敢えて通すことにした。
GM :よし、どちらも通る。リアクションもスキップしていきなりダメージロール直前タイミングだ。
覚醒 :『フォーメーション:ファランクス』も使用します。ダメージ行きますね。「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
防御修正をすべて無視して、ダメージは49点。”青髯”を滅ぼすにはもちろん足りないが、結節鎖を切断するには充分すぎるダメージだ。
GM :OK。瞬時に無数に分身した覚醒が、光をまとった刀で、同時に結節鎖と”青髯”を斬りつける。もちろん、結節鎖は全滅だ。
覚醒 :よしっ。
GM :で、結節鎖が一斉に≪オートカウンター≫。五体巻き込んでるので50点を一括払い。
覚醒 :ぐはっ……そうでした、ブレイクです!
それは、願いの具現。どこまでも届く救いの手。しかし一人の手は、同時に複数の場所には届かない。そんな絶望、そんな渇望から、この靴は生まれた。
――身を委ねてみてわかる。”いつでもあなたの側にいる、全ての悲しみを振り払う” ≪オズの赤い靴≫の加護は、そんな願いを具現したもの。
だからこそ、その靴はあまねく世界に手を伸ばし、あまねく全てに手を届かせる。
――身を委ねてみてわかる。それは人の領分ではない。この力を自由に操るものは、既に人間の精神ではあり得ない。
そして、この剣。否、≪ザンヤルマの剣≫は剣ではない。武器ですらない。
力を引き出してみてわかる。これは、通信機。決して声のとどかないどこかへ、殻に閉じこもった誰かへと声を届けるためのツール。
暴力的なまでに一方的な、『完全言語』による対話装置である。
聖樹器の力を振るって覚醒は思う。これは、危険すぎる力だ。
制限無しに対話できるということは、相手を無条件に受け入れる、受け入れさせると言うこと。
四谷が行ったように、この剣は互いの思考を、精神を交換する。つまり。
”転生など、もう許さない。もう、誰にも利用などさせない”
そんな”青髯”の思考、その悲嘆と決意すらもが、そのまま覚醒に流れ込んできているのだ。
”どの口で言うのか。私を、そして多くの生命を冒涜し、穢し、弄んできた怪物が”
自分なら、そう割り切れる。こんなものに同情する理由もない。だから、この力を使ったのが、自分で良かった。
そんな思考を全て振り払い――覚醒は剣を振り抜いた。
一斉に結節鎖が切り裂かれ、がくんと奈落球が揺れた。
洋一 :「こんな時に言うには変だけど……綺麗な光、っしょ」
ほとり:「この加護、サクラダ・アウローラの祈りが届いている。まだ彼女の祈りは生きている……んですね」
*戦場配置*
[×結節鎖A] 25m [×結節鎖B] 25m [×結節鎖C・洋一] 10m [ほとり] 5m [覚醒・青髯] 10m [×結節鎖D] 25m [×結節鎖E] 25m [×結節鎖F]
●12 ”青髯”(再行動)
GM :では、”青髯”の行動。えーと。散開したな。ならこれだ。
ムーブアクションで≪真なる刃≫。場面一回使用可能、攻撃を「射程:視界」、「対象:場面(選択)」に変更するソードマスター特技だ。そしてマイナーで≪攻撃増幅≫、メジャーは≪ブーストアタック≫。剣の突端から噴射機がぼこぼこぼこぼこと生じ、ブーストしながらそこらじゅうをまとめてなぎ払うぞ!
覚醒 :うわぁ……。
≪ブーストアタック≫はアルケミスト特技。カートリッジを消費して爆発的な攻撃力を獲得する、武器戦闘用の錬金術だ。
錬金術師であり、騎士でもあったジル・ド・レェゆえのスキル選択である。もちろん、威力も折り紙付きだ。
GM :対象はもちろん、「対象:場面(選択)」なので、パーティ全員。そして命中判定は……出目9で素のクリティカルに、≪ヘイムダル≫も乗せる。
洋一 :対応はないなあ……カバーはするならほとりん?
ほとり:これは対処がないですね。
覚醒 :ですねえ(戦闘不能確定者)
ほとり:なんとか持ちこたえます。神化加護がなければ、私は【HP】が綺麗なままですし。カバーしないのが正解だと思います。
GM :OK、では、ダメージいくよー。≪ヘル≫はないから……普通にダメージだ。(ころころ)……<斬>79!
ほとり:うん、生きてます(笑)
洋一 :白銀の鎧の効果でダメージ減少ー。5点減らして、【HP】は12点残った。
ほとり:自分に≪マジックシールド≫を重ねましょう。(ころころ)……11点減らして61点ダメージ。これでまだ、一撃なら≪オートカウンター≫に耐えられます。
GM :意外と耐えるなー。≪ヘル≫はこっちに取っておくべきだったかな。
覚醒 :30点くらいオーバーして戦闘不能ー。
GM :死亡だね、ブレイクしてるから(笑)
覚醒 :おっと、でしたね。「ばたんきゅー」
ほとり:「お願い、いずみさん。力を貸してください」と彼女の≪イドゥン≫の加護を願います。……ドーナツを一緒に食べる約束、守らなきゃ。
GM :では、ほとりの背後に、『ウィッチレルム』でピンク色のマナの光を纏ったいずみが祈る姿が映し出される。
≪極光の羅針盤≫から受け取った、桃色の輝き。それは年下の先輩、いずみの祈りだ。
羅針盤が、祈り(イデア)を力に変える。いずみの願いが、奇跡にも等しい力を呼び起こす。
「……みんなで、幸せになりたいよ。こんな悲しいのはイヤ。だから……負けないで!」
いずみの声が聞こえた気がした。その祈りは、ほとり自身のものでもある。
だから、ほとりはその祈りを、その力を引き寄せた。
覚醒 :「……ん、約束は大事、ですねー。サトリちゃんも、守らないといけない約束がありますからね」≪イドゥン≫の効果でむくりと復活!
GM :OK。≪真なる刃≫の代償は【HP】7点、と……。”青髯”の体がぼろぼろと崩れ始めた。まだ維持はされているが、そろそろ機能停止するかもしれない。
●10 ほとり
ほとり:直前のイニシアチブで≪チェンジマジック≫。『疾風の翼』を身につけ、”青髭”に弓を引きます――。
「ウィッチレルムのイチイの魔女、ストランド・カニングフォーク」そう告げて矢を番えて、メジャーアクションは魔法攻撃です。
魔導判定は22、”青髯”の抗魔判定は16でヒットとなる。
覚醒 :≪トール≫! 「サトリちゃん達の想いも乗せて!」
GM :通る。どうぞ
ほとり:ダメージロール。自らの矢にイチイの樹の油をひとしずく。≪エレメンタルアシスト:雷≫。
GM :あ、≪特殊属性耐性II:闇≫あるんで、あと+2Dよろしく。
結果、与えたダメージは、ダメージ増加含めて<神>の83点。
GM :わーお。その一撃で、肩を吹き飛ばされて”青髯”は悶え、動きを止める。……【HP】0、戦闘不能!
がくん、と青髯奈落球が揺らぎ、ずるり、と『下』へとずり落ちていく。
洋一 :でも、これで終わりじゃないっしょ?
GM :まあね。とりあえず、クリンナッププロセスの前に、イニシアチブで行う処理をしといてくださいな。
結果、ほとりが≪クイックヒール≫で自分を24点治療、ジュライ・シオノの庇護で、洋一の【HP】が43点回復した。
GM :ジュライ・シオノ「任せて。≪汝が身体はあるべき姿に≫」すっ飛んできた彼女が触れると、傷がみるみる癒えていく。
洋一 :ジュライ・シオノの庇護に宣言者の特技が載るなら、ほとりんにお願いしたんスけどねー。
GM :これは特技やアイテムじゃないから認めない(笑)
洋一 :ちぃ、でもこれで【HP】は55まで回復!
ほとり:こちらは現在【HP】は37です。
覚醒 :サトリちゃんは現在どちらもマックスですねー。
GM :ブレイクしてるから、加護以外で回復しないのに注意だね。では、クリンナップに移行しよう。
■ラウンド 1 クリンナッププロセス
GM :まず、場面効果≪タルタロスの誘い≫が発動。”青髯”が倒れているので、『距離』+1。加えて結節維持判定だ。
[結節鎖の残余0 < 現在『距離』2]
故に判定失敗で『距離』+1、つまり結果として現在の『距離』は3となる。
洋一 :あと4か……。
GM :そしてクリンナップの本番で、青髯は≪自分で撰んだ拷問≫を使用。
●≪自分で撰んだ拷問≫
タイミング:クリンナップ終了時
効果:
青髯の【HP】を半減状態で戦闘不能を回復する。1ラウンドに1回使用可能。
GM :「まだ、終わらぬ……永劫に……終わらぬ……」 ”青髯”が身をもたげ、黒く染まった双眸で上空の君達を睨み付ける。ちなみにさっきの合計ダメージは283点だった。
洋一 :半減ってことは、次ラウンドはあって140点、か……。
GM :そうなるね。で、さらに『距離』3になったので、ここでイベント。
洋一 :おう?
GM :”青髯”は身体を大きく損ない、吠える。「力が……力が足りぬ……地獄よ、ジュデッカよ、我に力を寄越せ……」
そう吠えたとき、聞き覚えのある声が響く。「力が欲しいか、”青髯”ェ!!」
見れば、君達の背後から、少女型のサクラダ・アウローラ……シャドウ・アウラが姿を見せている。
覚醒 :「……ここまで大人しいと思ったら……!」
GM :シャドウ・アウラ「この瞬間を待ってたぜ! さあ、俺を受け入れろ”青髯”! お前ら奈落が、欲しくて欲しくてたまらねぇ、≪ガイア≫の力。俺も……≪ガイア≫だ!!」
シャドウ・アウラは青髯に向けて飛び上がり、”青髯”は視線をそちらに向けて……。
その瞬間、洋一の脳裏に、過去に見た光景がフラッシュバックする。
それは、≪ガイア≫によってもたらされた過去の記録。知り得ざる真実。”青髯”の……否、その原形たるジル・ド・モンモランシー・ラヴァルの呪詛。
「神よ! ≪ガイア≫よ!! 何故聖女にこのような運命を課したのか! 何故犠牲なしに世を救う術を示せないのか! 呪われよ大地、呪われよ≪ガイア≫!!」
血涙を流しながら、ジル・ド・レェは咆吼する。
まるで、その姿を写し取ったかのように。
「ガイアァァァァァァァ!!!!」
”青髯”が、吠えた。
迸る、無数の棘。奈落の海から吹き上がり、剣が無数の棘の塊に変貌する。
「えっ……」
きょとんとして、シャドウ・アウラの動きが止まった。そしてその隙を逃すはずもなく、無数の棘は……空中のシャドウ・アウラに突き刺さる。
洋一 :「……あっ」
GM :その滾る憎悪の全てを叩きつけるかのように、棘が幾度も幾度もシャドウ・アウラを貫き、引き裂き、そして最後に、『レルムシード』に酷似した種子と『シャドウガイアの瞳』らしきものの融合体だけになって。
それもまた、”青髯”の剣によって貫かれた。
――本来なら、ここで”青髯”がシャドウガイアの力を手に入れるはずだった。だが、それは、キミ達が知った一つの事実によって覆ったのだ。
■ラウンド 2 セットアップ
GM :まず、セットアップの直前に、青髯はエネミーの再配置を行う。≪結節鎖再生≫だ。
●≪結節鎖再生≫
タイミング:セットアップ
効果:
破壊された『結節鎖』全てを【HP】5で蘇生する。この時、距離数に応じて結節鎖は再配置される。
*戦闘配置*
[結節鎖ABC] 25m [洋一] 10m [ほとり] 5m [覚醒・青髯] 10m [結節鎖DEF] || [ウィッチレルム]←[距離3]→[青髯奈落球]
洋一 :ちょうど射程から5m遠い(死
覚醒 :ヒィ……。
GM :その結果、配置はこのようになる。『ウィッチレルム』から引き離されたことで、結節鎖を再生させつつ、1本に束ねて大地に食らいついている。
青髯「ウォアァァァァァァァァァァァァ!!」全身から黒い瘴気を放ちながら、”青髯”の異形の身体が再生していく。灼き焦がされた傷も、切り裂かれた傷も、ぶつぶつと不気味な音を立てて修復されていく。『ウィッチレルム』から吸い上げたマナを、自らの修復に使用しているのだとわかる。
ほとり:「私たちの世界のマナを吸い上げて……」頭では理解していたつもりですが、実際にその光景を目の当たりにして、身が震えます。『ウィッチレルム』という世界が、こうして喰われていたのだと。
覚醒 :「急がないとマズいですよねえ、これは……」
洋一 :「判ってる、だから……やっちまうっしょ可及的速やかにっ!」
GM :ジュライ・シオノ「うん、ここで確実に畳みかけないと、次のチャンスはきっとなくなる。……ボクの個人的鬱憤もついでに昇華させてもらうよ!」
……というわけで、通常のセットアップだ。まず”青髯”が≪ヘイスト≫。行動値を(ころころ)……+6して、25!
覚醒 :うぐう……。
GM :他にはない……かな?
洋一 :んー、んー……ここは待機すっか。≪ポラリス≫起動!
GM :了解。ではこのラウンドで発生するすべてのダメージは記録される。円盤が輝き、頭上に輝く円盤を投影。その周囲に十二の光が点灯する。
洋一 :「『リヴィング・デイ・ライツ』―――行くぜ、おもいっきりだっ!!」
未来を拓く指針。王たる者が進む道を支える伴星たち。人の身に抗えぬ脅威に立ち向かうため、人の力を束ねるためにこの円卓は生まれた。
痛みを束ね、それもまた力に変える唇歯輔車。しかしそれを前提としたが故に、王は誰かの痛みなしに歩めぬ存在へと変わっていく……。
■ラウンド 2 イニシアチブプロセス
●25 ”青髯”
GM :ふーむ……(ころころ、対象を決めるランダムダイス)……洋一に行ったか。
ではムーブなし、マイナーで≪ヴァリアントブレイド・ワイルドグロース≫、メジャー≪ブーストアタック≫で洋一に武器攻撃。
●≪ヴァリアントブレイド・ワイルドグロース≫
タイミング:マイナー
効果:
そのメインプロセス中の攻撃の射程を「射程:視界」に変更する。
覚醒 :スチャリ(外套の構え)
洋一 :「こっち来たァッ!?」畜生、羨ましいモン持ちやがって!(射程で悩んでいる最中)
ほとり:ソードマスターの特技の拡張型ですね……。
GM :≪攻撃増幅≫のかわりに使うので、攻撃力が上がらないかわりに射程が伸びる。で。命中判定、クリティカル値は9で……出目10、クリティカルだ。
ほとり:うう。これはどうしようもないですね。
GM :青髯の手にした剣が歪に変形し、蛇のようにしなって洋一を襲う。
洋一 :(ころころ)……流石にムリ-。お願いします先生!
覚醒 :≪闇の外套≫≪闇の外套II≫でカバーアップします!
GM :了解。ではダメージの前に……≪フツノミタマ≫だ! 【HP】半減状態での蘇生なので、【HP】の半分が乗る。
覚醒 :影になって消えたかと思ったらよっちーとの射線に立ちふさがる!「させませんよー!」
GM :では、ダメージは<斬>67……に、≪フツノミタマ≫で125点追加。192点の<斬>だ!
覚醒 :うわあ!
ほとり:ボスの≪フツノミタマ≫は数字がメチャクチャになりますね。覚醒さん、何点くらい軽減できます?
覚醒 :眷属込みでも19点しか防げないのでこれはどうしようもないですね……!
ほとり:うん、無理ですね……私のシールドを足しても届きません(笑)
覚醒 :ブレイクしているのでそのまま死亡! ということで灰になります。
洋一 :「ちょ、さとりんー!?」
濃密な瘴気を帯びた剣が、洋一の頭上から叩きつけられる。それを突き飛ばして庇った覚醒を、”青髯”の大剣は容赦なく粉砕した。
覚醒であったものが、灰になって飛び散る。その中に混じったシャードも、ゆるやかに光を失っていく、そうなるかと思われたが……。
ほとり:すみません、≪ブラギ≫をください。さすがに覚醒さん死亡状態での放置では、凌げません……。
洋一 :オッケー、≪ブラギ≫でほとりんの≪イドゥン≫を復活!
ほとり:≪イドゥン≫! 覚醒さんへ使用します。
GM :もちろん対抗はなし、どうぞ。
覚醒 :では灰が集まって復活!
GM :ジュライ・シオノ「覚醒っ! 無事っ!?」飛び込んできて覚醒を支える。
覚醒 :「ふう、死ぬかと思いましたもう死んでますが。さすが、勘違いと慢心があったとはいえ、あのシャドウ・アウラを一蹴した怨みの力、ですか……!」
GM :ジュライ・シオノ「軽口叩けるなら大丈夫だね」(ほっとした顔で)
覚醒 :「これが今のワタシのスタイルなので!」としおのに笑顔を返します。
GM :”青髯”は続いて≪再起動II≫。【行動値】-20で未行動状態となる。次の行動は【行動値】5だね。そして、今のダメージは防御修正があるから173点か。
GM、『ポラリスチャージ』に173と記入する。この数字が、後の洋一の行動のダメージに加算されることになるのだ。
そして、早速の洋一の手番である。
●22 洋一
洋一 :んー。ダメージ充分に入ってるから、もう待機する意味ねぇな。ここは移動して≪ポラリス≫ぶち当てた上で、必要なら≪ミューズ≫ってもらおうか。ムーブで前進10m、マイナーで『リヴィング・デイ・ライツ』が傾いで”青髭”を指差す。メジャーで『火炎指揮Ⅱ』で”青髯”を殴る。
GM :傾ぐの自分じゃないのかよ(笑)
洋一 :「お返しだ―――――さとりんと! 『ウィッチレルム』の皆の分!」魔導判定は……20!
GM :抗魔判定いくぞ。……出目10で達成値19! くそ、1足りない! ヒットだ!
洋一 :頭上に輝く円盤が展開、12の輝きが同心円上に黄金の鎧騎士の周囲を取り巻く。≪超過演算≫と≪ポラリス≫の効果を加算して、ダメージは<炎>の220点!! その光ごと――――ぶん殴るっ!
GM :明らかにダイスが誤差だ……(笑) 7点防いで213点……止められるかそんなもん!! カウンターで放たれる炎で”青髯”は上半身を灼き焦がされ、半身が消し飛ぶ!
「月の―――いや」
空中に満ちていた黄金の輝きが、≪ポラリス≫の円盤を通じて洋一の、そして黄金の闘士の右拳に吸い込まれていく。
極光の力とは、想念を変換するもの。人々の願いの、先頭を駆け掲げる羅針盤。だからこそ、願いは羅針盤の導く先へ、極光の輝きへと収束する。
それを洋一は、『リヴィング・デ・ライツ』の拳に乗せて、解き放つ。
「奈落の底まで、ぶっ飛びやがれっ!!」
故に、それは極光の拳。黄金の炎を纏い、それは”青髯”の胸元を打ち据えた。
吹き上がる炎。それは瞬く間に上半身を包み込み、ひときわ強く煌めく。
そして炎が、現れたときと同じようにふっつりと消えた時、それが包み込んでいた”青髯”の上半身は、奈落球に根付いた下半身を残してそっくり消え失せていた。
洋一 :
ほとり:「まるで、太陽を直視したみたい――」あまりの眩しさに驚きの声を上げます。
GM :ジュライ・シオノ「……これが、極光の力……やっぱり、キミたちこそが資格者なんだね」
そして”青髯”が消失したことで、奈落球が力を失い、がくん、と結節鎖が緩む。
*戦場配置*
[結節鎖ABC] 35m [洋一・ほとり] 5m [覚醒・×青髯] 10m [結節鎖DEF]
●14 覚醒
GM :青髯は上半身を吹き飛ばされながらも、断面がぶつぶつと盛り上がり、早くも蘇生を開始している。クリンナップに再び復活するよ。
覚醒 :となると結節鎖を斬るしかないですかね。
GM :「とどめを刺す」はないからなあ(笑) もちろん、行動放棄や≪ヒール≫をしても構わないけど。ちなみに戦闘不能状態の”青髯”や結節鎖はエンゲージを形成しないので、自由に移動してOK。
覚醒 :では、ムーブで10m移動して結節鎖DEFのところに移動、メジャーでDを攻撃します。カウンターを考えて素で斬るだけにしますね。
GM :了解。ちなみに防御修正アホみたいに高いからね!
ほとり:その高さを確認したいので、命中したら≪エレメンタルアシスト:炎≫を使用します。天野さんとあわせておけば、属性での防御修正を確認出来ますから。
覚醒 :ですね。では命中行きますー。(ころころ)……出目11,クリティカルです!
GM :(ころころ)……まあ、そもそも回避できない(笑)
ほとり:≪エレメンタルアシスト:炎≫です。ダメージ増加は11点。
覚醒 :いただきます! 「久し振りの……のーまるサトリちゃんあたっく! 燃えてるけど!」……53点の<炎>!!
GM :ほい、では防御修正で25ほど減らして、28ダメージ。切断!!
覚醒 :おお、こっちより高かった……!
GM :そして≪オートカウンター≫で10点のHPダメージ発生。覚醒のHPを10点消費させるよ。
覚醒 :10点ならまあまあ誤差……!
*戦場配置*
[結節鎖ABC] 35m [洋一・ほとり] 5m [×青髯] 10m [覚醒・結節鎖EF]
●10 ほとり
ほとり:イニシアチブプロセスで≪チェンジマジック≫。エアリアルで編まれた翼をほどいて、≪妖精光球≫と≪類感魔術≫を身につけます。
GM :ほい。
ほとり:ムーブで結節鎖ABC方向に5m移動して、マイナーはありません。メジャーでEにウィスプを放ちます。これで≪オートカウンター≫を最低限に抑えた上で、Fも一撃で落とせる可能性があります。
GM :ほい、カマン!
ほとり:失敗したらジュライさんの出番。(ころころ)……魔導判定、20です。
GM :(ころころ)……まあ避けるものではないからなあ(笑) ヒット。
ほとり:よし……お願いウィスプ!(ころころ)……<光>の23点です。
GM :<光>防御修正20! 3点ダメージで破壊ならず!
ほとり:堅いですね……でも、≪類感魔術≫を即座に使用。これをFに適用します。ダメージは……8点!
GM :では、結節鎖に走った閃光は、それ自体はそれを千切るには至らないものの、その繋がった先でエネルギーが炸裂、鎖が弾け飛ぶ!!
ほとり:「何事も、勉強しておくものですね」今まで苦労した魔術の意趣返しを決めて。
GM :では鎖に満ちる呪詛があふれ、ほとりの身体を蝕む。10点ダメージを受けておいてくださいな。……で、これで残余4本だが?
ほとり:もちろん割り込みですぱっと行ってもらいます。「ジュライさん! お願いします。私の魔法が残っているうちに!」 対象結節鎖E!
GM :ジュライ・シオノ「任せて!! いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 大鎌で、ほとりが光を撃ち込んだ場所を切り裂く……!!
もちろん、ダイスの最低値ですら滅びる【HP】しか残っていない結節鎖は、あっさり切断される。
GM :張力に耐えられず、結節鎖が千切れ、奈落球が更に『ウィッチレルム』から遠ざかる!!
覚醒 :「いぇーい!」しおのとハイタッチ。
GM :ジュライ・シオノ「い、いぇーい?」さすがにちょっと戸惑っているようだ(笑)
覚醒 :あ、そうですね。しおのは今のサトリちゃんのノリを知らないはずですしねー(笑)
そしてこれといって回復処理もなく、クリンナッププロセスへ移行。
まず≪タルタロスの誘い≫によって、『距離』4と結節鎖3本による結節維持判定。失敗したことで『距離』が5となる。
続いて≪自分で撰んだ拷問≫を”青髯”が使用し、再び【HP】半減状態で戦闘不能状態を回復。
そして、結節鎖が再配置され、ラウンド3が開始される。
*戦場配置*
[結節鎖A] 30m [ほとり] 5m [洋一] 5m [青髯・結節鎖BCDEF] 10m [覚醒]
■ラウンド 3 セットアッププロセス
ほとり:配置がなんだかすごい事に。
GM :結節鎖を再配置。『距離』5に届かせるためにこうなる。状況としては”青髯”が腕を伸ばして直接『ウィッチレルム』を掴んでいる状態だね。
青髯「離さぬ……我が糧、我らが呪詛の果て……憎むべき魔女の島……!!」
ぶくぶくと断面から顔を再構成し、身を起こす。その再生力は、未だ無尽蔵なように見うけられる……。
覚醒 :「こだわるから憎さ百倍なんじゃないですかね! 離れてみたらいかがです!」
ほとり:「『ウィッチレルム』を、私の故郷を、それ以上汚させたりしません」薬液に浸したイチイの枝を一本取り出します……と言う戦闘準備。
GM :他の宣言はとくになし、と。では”青髯”は≪ヘイスト≫。【行動値】は……3で、22となる。ち、洋一が先か。
■ラウンド 3 イニシアチブプロセス
●22 洋一
洋一 :んー。全力範囲して、≪オートカウンター≫5本もらっても、【HP】は10残るか。問題ねえな、行こう。
ムーブで≪元素応用/紅蓮世界≫、マイナーで【HP】ポーションを飲んで、メジャーは『火炎指揮』で”青髭”エンゲージの全部に。
GM :ほい、カマーン。
ほとり:洋一さんの【HP】を回復しておいたのがここで生きましたね!
洋一 :(ころころ)回復力は20! もりっと回復。「知ったことじゃねーっしょっての! アンタの恨みでこれ以上ーー!」
命中判定の結果は20。だが、洋一は更にここで押し込むことを選択する。
洋一 :ん、んー……力を借りまくろう。二階堂の≪ヘイムダル≫!
GM :≪エーギル≫……と言おうとしたところだったのに! 二階堂「……俺の最後の力だ、受け取れ!」 洋一の脳裏に、回避不能な攻撃コースが瞬時に導き出される!
ほとり:≪エレメンタルアシスト:炎≫を使用します。イチイの枝に灯を宿して――光と炎の精霊力をあわせた複合精霊コンプレックス・サラマンダーを呼び寄せます。
ちなみに『コンプレックス・サラマンダー』は、アルシャードff時代のエネミーデータにのみ記載のある、白銀に輝く蜥蜴の姿をした精霊だそうな。
ほとり:ダメージ増加は11点。
GM :通る。さあこい。
洋一 :「惚れた女のいる世界を食い荒らされて堪るかよぉっ!!」んじゃ、更に爺さんの≪ヘル≫! 潰して落とせばこのラウンドで終わる! 二人分の叫びを拳に込めて、ついでに≪超過演算≫だ。
GM :そこは……≪アビス:オーディン≫で対抗しておく。≪ヘル≫を消す!
洋一 :ののれーぃ!
迫る炎を吹き散らすべく、”青髯”が剣を振り扇ぐ。その一閃は鋭く、通常であれば洋一の炎はたやすく吹き散らされているはずだった。
しかし、洋一の脳裏には、”青髯”の動きが手に取るようにわかっていた。羅針盤を通じて流れ込む、絶対的に緻密な未来予測。
――なるほど、こんなものを見続けていたら、その予知に溺れるのも無理もない。突然視野が広がった時の全能感は、あまりにも甘く、抗いがたい。
だが、今は溺れない。洋一も、二階堂も。そして示された予知の道筋を辿り、『リヴィング・デイ・ライツ』が”青髯”の剣をかいくぐる。そしてその懐に飛び込んだところで、その手の甲に埋め込まれた羅針盤状のレリーフから、魔法陣が投影された。
「爺さん!!」
「応よ!!」
洋一の呼び声に応えて、魔法陣から巨大な竜が身を乗り出す。太陽の召喚魔法だ。灼熱の吐息を吐き出すべく、竜は大きく息を吸い込む。しかしその身体を”青髯”の身体から飛び出した無数の棘が刺し貫いた。
竜は苦悶し、魔法陣の中へと押し返される。洋一は舌打ちするが、しかし一歩も怯まない。
なぜならば。
「洋一坊、その程度で押し負ける、お前じゃないよな?」
「当然っしょ――そこで見てやがれ爺さんッ!!」
力は相殺できたとしても、心は砕けない。意思の炎を拳に宿し、『リヴィング・デイ・ライツ』の一撃が迸る。
洋一 :……ダメージは74点の<炎>!
GM :7点防いで青髯に67点。鎖は壊滅だ! ≪オートカウンター≫5発で50点喰らいやがれ!
洋一 :反動と合わせて【HP】20まで持ってかれた。回復してよかった(笑)
GM :鎖がそっくり焼き尽くされ、”青髯”奈落球が自由落下を開始する……あと一押しだ!
*戦場配置*
[結節鎖A] 30m [ほとり] 5m [洋一] 5m [青髯] 10m [覚醒]
●22 青髯
GM :んー…・マイナーアクションで≪攻撃増幅≫、メジャーは≪ブーストアタック≫。異形に変形した剣がほとりを狙う。(ころころ)……む。出目4か。まあいい、命中判定は18。
ほとり:回避判定は……12。これは受け止めます。幸い、私はまだブレイクしていなくて、そろそろ限界でしたから。
GM :了解。では礼儀正しく≪トール≫。<神>になって99点ダメージだ!
ほとり:ブレイクです!
GM :蛇のようにしなる剣が、不規則な軌道で空中を踊ったかと思うと、素早く降り注いでほとりを打ち据える。
洋一 :「ほとりんっ!? くっそ、まだ動くのかよ……!」
ほとり:「……まだ、動けます。『ウィッチレルム』の魔女を侮りましたね。”青髭”」
GM :”青髯”「我の、我らの、呪詛は無限。ジュデッカの牢獄にて。永遠に尽き得ぬ氷獄の息吹が。我を、我らを、永劫に動かす」……と言いつつ、≪再起動は≫尽きたんで、よろしく。
覚醒 :「永遠の怨み辛みとかサトリちゃんはご遠慮致しますね! どうせなら楽しく『生きて』いかないと!」
GM :トクン、と一瞬、心臓が動いた気がする――。
●14 覚醒
覚醒 :ムーブで10m移動、”青髯”にエンゲージします。マイナーなし、メジャーで≪闇の手≫による攻撃!
GM :どうぞ!
覚醒 :「覚醒剣! 香典返し!」出目10で、23!
GM :こちらは(ころころ)……17でヒット。
覚醒 :『フォーメーション:ファランクス』を使用、そして「しおの、一緒に!」と呼びかけ、しおのの『庇護:ダメージ増加』を乗せます!
GM :ジュライ・シオノ「ボクの記憶が、確かなら!」ざんっと切りつけて「香典返しって!」空中で回転しながらもう一太刀「意味が違うよね!?」覚醒の一撃に合わせて、大振りの一閃!
ほとり:「やっぱり意味、違ったんですね!?」
洋一 :「ああうん割と今更な……」
覚醒 :「細かいことは!言いっこなしで!」というわけで(ころころ)……ダメージは<斬>の61点! 回復分は7点です。
GM :49ダメージが入った! 合計116!
覚醒 :エネルギーを吸収して「斬撃の香典を渡す代わりに、香典返しを受け取る。一応、間違ってはないのではないですかねー?」にやりと笑います。
覚醒とジュライ・シオノの息の合ったコンビネーション。軽口を叩きながらもブランクを感じさせないその連撃が、”青髯”の兜を切り刻む。
悶える、奈落の巨人。その切り裂かれた兜が砕け、眉間にあたる場所に大きな亀裂が穿たれる。
……そして、その一点に向けて、矢をつがえる魔女が一人。
『ウィッチレルム』の侵蝕者が、一人。
●10 ほとり
ほとり:合計116ダメージ……残り【HP】がそうすると125-116で9点……。
参考までに、ジュライ・シオノの『庇護:自動ダメージ』は3D。その期待値は10.5である。
GM :う、うん、言いたいことはわかってる。やる? やるの?(笑)
洋一 :やっちまえよ、ジュライ・シオノ(笑)
ほとり:いえ。万全を期して、まず私が攻撃します。……私の攻撃が外れる可能性も、シオノさんが足りない可能性も計算すると大差ない……と言う結論が出ました……(笑)
……一番自分の得意な魔術を信じましょう。マイナーで『類感魔術』を取り外し、メジャーで≪妖精光球≫。
GM :ほい
ほとり:(ころころ)……出目4、≪リトライ≫です。(再ころ)……今度は出目10、魔導判定24です。
GM :こちらの達成値は15……だが、≪バルドル≫だ。
ほとり:確か≪エーギル≫もそちらは残していたはず。そちらを吐かせるのが実は真の目的でしたが――そこまでうまく誘導されてはくれませんでしたか!
GM :さあ、どうする?
洋一 :おばさまの≪バルドル≫は間に合うかな?
GM :間に合わないね。リアクションの達成値を上げる効果だから。
ほとり:なので……相手が達成値コントロール系の加護で対抗してくる危険を含めて、私の方が最終的に「先に攻撃するべきだ」と言う結論にたどりついたのです……(笑)
覚醒 :でも、こっちはいけますよね。≪エーギル≫を使用します。
GM :ち。その通り、対抗不能! では達成値0にされて命中だ。闇耐性あるんでダメージ+2Dね。
覚醒 :≪レギオン≫の仲間達が牽制して気を逸らせたという形で!
ほとり:「――お願い。『ウィッチレルム』の光。太陽の眩しさだけではなく、あなたたちの優しさも、あの奈落に届けてあげて」
ほとりの手にした弓の先に、光の妖精が結集する。
照準は揺るがない。そもそも、ほとりの得意とする弓魔術は、矢の狙いはさほど重要ではない。
必要なのは人の意思。魔法を相手に届けようという、絶対の意思。
だから、放たれた矢は、まっすぐに”青髯”の眉間へと迸り。
――吹き上がった”青髯”の怨念によって、その軌道を歪められる。
しかし、その怨念を、無数の刃が貫く。覚醒の従える亡霊たちだ。
己を殺した存在への憎悪を叩きつけるように、彼等は刃を突き立てる。
そしてその憎悪相打つ渦をすり抜けて、輝く矢が駆け抜けて。
――飛び出した妖精球が、”青髯”の眉間に吸い込まれて。
弾けた。
ほとり:(ころころ)……ダメージは、22点の<光>です。
GM :実ダメージは18点。……つまり、【HP】は-9。
光が青髯の眉間を打ち据え、そのまま青髯は動かなくなる。
洋一 :よっし!
覚醒 :「サトリちゃんは自分のことで怨む資格がありませんが……ワタシの仲間達は、その限りではないわけで。怨み辛みをぶつけるならば、ぶつけられる痛みも知りましょうね」少し寂しげに微笑んで。
GM :覚醒が見送る先で、がくん、と青髯奈落球が揺らぐ。
ゆっくりと、”青髯”と、その奈落球は自由落下を開始する。
落ち行く先は、永劫の奈落、『タルタロス』の海。
……『ウィッチレルム』に伸ばされた手は、もはや届かない。
『距離』7。帰還限界点、突破。
――世界は、救われた。




