表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/215

スズメバチ 後日談 その98

 上部は煤で真っ黒になっているが、下部はまだ元の色が分かるぐらいだった。

そこに、十数匹の巨大スズメバチの死体が転がって居た。二日置いたのが良かったのだろう、成虫も幼虫も皆死んで居た。


 男がいた部屋は、部屋と言っても洞窟の穴だが、ここは鑑識が調査中で立ち入り禁止だった。

熱はここまで来なかったのか、回収出来るファイルもありそうだったのに、俺の手に入らなくて残念だ。


 二十分が経過した為、上に上がるように指示されて、上に上がって来た。


「目的の物は撮れたのか?」


「ああ、十分だよ。三部作の最後を飾る良い出来だよ」


「へぇ〜」


 桜木の画像は人気があった。

 日本刀で蜂を切り殺している桐崎が大人気で、『現在のサムライ』とか呼ばれている。

 刀は模擬刀と誤魔化して、また、模擬刀で物を切ったりしたビデオを作って、誤魔化していた。


 また、栃原先輩の箒に乗って飛び上がっていたので、栃原先輩の株が上がっていた。

「magic girl」の箒に乗った映像と大騒ぎになって居た。

 映っていたのは、ヘッドホンを付けた瀬戸山さんで、これまた、可愛いと人気が出ていた。



 相模川の山田先生から、魔法部の顧問の後藤先生に連絡が入っていた。

相模原商業の一部の生徒と魔法部に礼がしたいとの事だった。

 今度は、2時間食べ放題、飲み放題の焼肉屋が選ばれた。

若い高校生にはこちらの方が有難い。


 相模原商業の参加者は、後藤先生に栃原先輩、瀬戸山さん、蘇我さん、桐崎、靏見さんだ。

相模川高校の参加者は、山田先生と白本さん、現場に居た学生10人程だ。


 相模川高校のPTAから、「なぜ? 生徒が守れなかったのか」と問題になっているそうだ。

先生方は「学校は科特隊でもウルトラ警備隊でもねぇ!」と、ここまで出かけているのを押さえて飲み込んでいるのだそうだ。


それも有ってか? 後藤せい先生がビールを勧めると、山田先生はジョッキを煽り続けた。

一時間もした頃には、相当出来上がってしまったのだ。


「君の所の桐崎君、彼には本当、世話になった。足を向けてねれないよ」


「先生、飲んで下さい。疲れたでしょう」


「生徒のね。生徒のね。命がかかってたんですよ」


 生徒の引率中なのに、二人の酔っ払いが完成していた。


 もちろん、生徒の方はアルコールが飲めないので、ジュースに焼肉が飲み放題食べ放題で有る。


 俺もお礼の食事会に呼ばれていたので、1時間遅れで参加する為、店に急いでいた。

 途中、桜木を見掛けたので、声を掛けて一緒に店に入った。


 店に入ると、大騒ぎして盛り上がっている連中が居たのですぐにわかった。二人で後藤先生に挨拶に向かうと、山田先生が絡んで来た。


「藤波ぃ〜! お前はうちの学生を囮に使っただろう! もう少しで死ぬところだったんだぞ!」

「カメラ! お前は誰も助けずに撮影を続けやがって!」

「お前らに喰わす肉などあるか! 帰えれ!」


 俺は黙って踵を返して出て行こうとしたら、


「こらっ! 黙って行くな! 何か言うことがあるだろう?」


(どっちなんだ? だから、酔っ払いの相手は嫌いなんだ)


 俺は再び回れ右をして、静かに話した。


「お言葉ですが、先生。私は貴方の生徒達と同じ以上に何もして居ませんが。貴方の教え子が、箒で抵抗して居た時、私はただ見て居ただけです」

「それに、もう既に二人の生徒が連れていかれて、さらに二人連れていかれようとして居ました。学校が、窓に鉄格子をするとか対策を取らなかった結果ですね」

「既に、貴方の学校は、スズメバチにエサ場認定されて居ますよね。無抵抗で良質なタンパク質が大量にある場所だったのです。巣を叩いておかないと、毎日学生をさらいに来てましたよ」

「私は何もして居ませんが、貴方達教師が何かした方が良かったのじゃないですか?」


「なっ? なっ? お前は!」


「あ、……!」


「なんだ?」


「馬鹿に馬鹿って言ってしまった!」


「何を!」


「理解して居たはずなのに」

「失敗した……」

「後藤先生、今日は不快なので帰りますね」

「山田先生、今後二度と私に関わらないで下さい。貴校と貴校の生徒がどうなろうと、私には関係ありませんから」


再度、踵を返して帰ろうとすると、

「藤波、俺も帰るわ。俺も何もせず、カメラ回して居ただけだけどね。山田先生の言うことが正しいけど、不快だわ」


「お前は一匹倒してたじゃん」


「あれは、瀬戸山さんが落としたやつを殺しただけだし」


「お前らな! 謝らんのか!」


山田先生が後ろで喚いている。


「トドメはお前だろ」


「だけどなぁ」


「人の話を聞けよ!」


「帰るぞ」


「ああ」


「お前らなぁ、謝罪は無いのか?」


「待って、私も帰る」

「私も帰ろうか」

瀬戸山さんと栃原先輩が席を立った。


「俺は最後まで喰ってくよ」

桐崎が手を振っている。


 俺は、右手を上げて、返事をした。


 店を出ると、瀬戸山さんが横に並んで来た。

「君は普通に人と話せないの?」


「苦手だけど、話そうとすると話せるよ」


「努力がいるの?」


「いや、必要ないよ」


「うそ」


「他人に合わすのが、めんどうくさいだけだよ」


「誰と話すのも?」


「うーん、そうでもないよ」


「ほんと?」


「ほんと」


「私は?」


「……、特に感じないよ」


「ふーん」

(嘘つき、いま考えたじゃないの)


二人の会話が怖くなった、桜木が声をかけて来た。

(いつも、いつも、地雷踏みやがって地雷探知犬っか!)


「なあ、おい、藤波。今度、浅間山大洞窟の合宿について行くんだけど」


「俺は行かない」


「そうか。じゃなくてだな。俺にも桐崎みたいに切れる刀が、どうにかならんか?」


「お前は魔法の道具も使えないじゃん。無理だ。ヤスをあげたろ!」


「あんなのじゃなくて、ズバッ! と切れる何かが欲しいんだ」


「気付いていないから言うけど、あのヤス、栃原先輩が使うと、蜂の頭は吹っ飛んでたよ」


「え?」

桜木は栃原先輩を振り向いた。

ニッコリと微笑む先輩と目が合う。



面白ければ☆五つを、面白くなければ☆一つをお願いします。続きを読みたいと思ったら、どうかブックマークをお願いします。よろしくね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ