表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/215

ドクター勇人 その76

(装備が、装備がマッコイの時代なんだよね。ああ、残念だ)


「ふん、これはこれは、見事に焼けているな。ワープコアの中にでも飛び込んだかな?」


俺は胸を張り、顎を突き出して、ぞんざいに質問する。


医療用トリコーダを取り出して診察し、


「やけどなんて物じゃ無いな、III度どころか、炭化して焼失しておる。ふふん」


馬鹿にしたように笑う事も忘れない。


「藤波! こんな時に何をふざけてるの!」


蘇我さんが怒っている。


 俺は、罵倒する声を無視して、ハイポスプレーに再生魔法が掛かった薬液をセットする。

 先ずは右上肢、三角筋辺りに押しつけて注射する。

「プシュ」小さな音がする。

液が体内に入ってるはずだが針もなく痛みも無い。


 どう再生するのかと見ていると、光の粒子が再生するだろう腕の形に光り出し、徐々に消えたら生身の腕だけが残っていた。

しかし、衣類は再生しないようだ。


「ふふん、ふん、ふん」鼻歌を歌いながら、左手、右足と再生し、

「顔はどうするのかな? 今なら少し男前に治療できるのだがな」


と『ドクター』が言いそうな嫌味な事を付け加えておく。


「……鼻を……3mm高くして上げて……」栃原副部長は泣きながらジョークに付き合ってくれている。


 胸の胸骨部分に再生魔法を一本、左頸部に回復魔法を一本撃って終わった。


「7日間は安静にしておくように。来週からはリハビリを始めても構わんよ」


「あと、用事が終わったら、私のスイッチを切っておいて……。」


「栃原! ここに居るのか? 開けろ! どういう事だ? 開けろ!」


金田部長の声だ。


(……最後の一言じゃ無いか? あとひと言なんだよ。なぜ邪魔をする。誰だよ)


 どうやら、桐崎が保健室に向かって走り出したので、みんなで、後をついて来たらしい。


「今取り込んでるから後にしてもらえるかな?」

「今、良いところだったのだよ」

「雰囲気ぶち壊しじゃないか!」

俺は扉越しに、怒り気味に抗議した。


「何を取り込んで居るんだ! 開けろ!」


(お前にゃ分からんだろうよ。一生の内で『ドクター』を演じられる機会なんて、そうそう無いのだよ。それをお前は台無しにしたんだ!)


 さぞ、俺の顔に、イラついた表情が出ていた事だろう。


「瀬戸山! 彼氏を借りるぞ!」


「ダメ、貸さない!」




 栃原副部長は、俺を扉近くの壁に押し付けた。

これは、噂に聞いた「壁ドン!」という奴じゃないか? でも、俺がされてどうするんだ?


 瀬戸山さんが怒ってるんじゃないかな? 「貸さない」って言ってるよ。


 俺の左側に保健室の扉が有る。栃原副部長にしたら右側だ。


 栃原副部長が、俺の首に左手を回し、頭を下げさせた。

 右手で、扉を開けろ! と蘇我さん達に指示を出して居る。

 蘇我さんと秋山さんが扉のロックを外し、少し開いたら、顔を上に向けて唇を重ねて来た。


 柔らかい、優しいぷりっとした感触だ。

 右手で、俺の左手を取って、自分の右胸に誘導する。

服の上からでもわかる、柔らかい、大きなプリンを触って居る様だ。なんとも触り心地のいい、気持ちのいい感触だ。


バンッ!


 金田部長が、ロックが外れた扉を思い切り開けていた。


 扉の向こう、廊下には金田部長、倉田、桐崎達に他女子部員数名が立っていた。


「「「えええぇぇー!」」」

「「「キャアァァーー!」」」

廊下にはどよめきと悲鳴が上がって居る。


「ユウトー!」

保健室の奥で、これは瀬戸山さんも怒って居るなぁ。彼女の声が聞こえる。


 俺の唇から、自分の唇を離して、ゆっくり右を向いて、

「あーら、今、取り込んでるのよ。後にしてくれない」

「彼? 今の私の彼氏、用事があるなら、彼を倒してからにしてね」

そう言って、また、唇を重ねて来た。


(何を言ってるのだこの人は。俺を倒せ! だって? いやいや、金田部長には無理でしょう。それにしてもおっぱいが気持ち良い。セイレーンに呼ばれた船乗りの気持ちがよくわかる。もう逃れられない)


「「「えええぇぇー!」」」

驚くべき展開に、廊下のギャラリーは言葉を発していない。


「無理だから、その人は俺に勝てないから」

「途中で邪魔されてムカついてるし」

俺の抗議する声が届いただろうか?


「え?」

「何にを」

「なんで?」


「何を言うんだ貴様! 一年のくせに!」


「無理でしょ。そこ閉めて、帰って下さいよ」

「せめて、3日後か、一週間後か、体調を万全にしてから言って下さい」


「今言ってやる! 来い! 俺と勝負だ!」


(いや、連戦なんて出来ないでしょ。俺、おっぱい触っていたいし)


「俺は嫌だし、ずっとこうしていたいし、貴方と勝負したく無いんですよ」


栃原副部長は顔を再び寄せ、

「代金は払ったわよ。殺して来て」

と囁いて、再度キスをして来る。

優しく俺の向きを変えて、廊下に押し出した。


「ええええぇぇぇぇぇぇーー」


(夢の時間が終わってしまった。なんだ? この虚無感は)


パシッ!


 後ろで扉の閉まる音がする。


(俺の返事も聞かないで、仕事を依頼しやがって。次からは値上げしてやる)



 俺たちは先程の魔法道の会場に戻って来た。


 俺は、貸し出し用のバトルスタッフのうちで、一番太くて長い杖を借りた。


 倉田が、開始の合図を出すタイミングを待っている。

金田部長が物理障壁の呪文を唱えている。魔法発動待ちだ。


(良いけどさ、別に)


 金田部長の呪文詠唱が終わると、司会の倉田が開始の合図をする。


「勇人、頑張れ!」

「藤波、ガンバレー!」

瀬戸山さんと蘇我さんがいつの間にか応援に来ていた。


(あれ? 桜木は? 大丈夫なの? まあ、いいか)


 金田部長はニヤニヤ笑っている。


 バトルスタッフで、金田部長の方に小突いて見ると、確かに何かに当たっていて、それ以上は突けないのだ。


 金田部長のバトルスタッフは、先が赤く光って、火球を撃ってくる。


 俺は、左に左にと火球を避けながら、適当に物理障壁を小突いていく。


 金田部長に魔法を使わすためだ。さっき桜木に使って、今度は俺に使っている。インチキをしていない限り、そろそろ魔力が切れるはずだ。


 その時、俺の頭上の空間が黒く闇が開いた。

「ウオォ!」思わず声が出てしまった。

(こんな大魔法を使う実力が有ったのか? 第一、魔力はどうやって捻出したんだ?)


「だあぁあー!」

金田部長も驚いた様で、数歩下がり、腰を抜かして驚いている。


え?


「ユウトォー! 来てやったよー」


全長30cmぐらいの女の子が、陽炎の様な羽をパタパタさせて、闇のトンネルを抜けて来た。妖精の「フローラ」だ。

面白ければ☆五つを、面白くなければ☆一つをお願いします。続きを読みたいと思ったら、どうかブックマークをお願いします。よろしくね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ