戻った?
「なにぼっとしてんだ、通路に立ってるな、邪魔邪魔!」
「ああ、申し訳ありませんでした!」
コーピー済みの資料を手に取ったまま人の行き道を遮った、わたし一瞬の失神したかな?頭を振りながら壁時計は視線に飛び込んできた。3時半、また早いか。
……3時半?何か大事な事を忘れた気が済んだが、一生懸命で頭のあらゆる片隅で検索しても、何も出てこなかった。
そうだ、楽羽は今夜彼の家で話があるってメッセージがくれた。先回のことでわたしもちゃんと礼を言いたい、そして謝りたい。
帰り道で頭の片隅でまだその欠落した何かが思索ながら楽羽の家に向かった。
突然の違和感に足を止めた、だって先から後ろのリズムよく響いた足音はビッタリ止まって、わたしの前に伸ばした影を完全に覆った。
なに?!付けられた?もともとモヤモヤの事をはっきり思いだえないことは機嫌悪かった、勢い乗って振り替えて、すぐ後ろに立った人を睨みつけた。
綺麗に磨きった靴、スッラリと長い脚、質がいいTシャツの外イギリス風の上着……
わたしの行動に驚いた様子もなく、綺麗端整な白い歯を少し見せて微笑みながら声を掛けた。
「やっばり赤彦はあなたをここに送ったのか。」
意味不明なセリフ、人違いかな?でも、「赤彦」って名前はどこかで聞いたことがあった気がする……ああ、もう、今は楽羽と会うのは一番優先だ。
「ごめんなさい、人違いと思います。」
振り返る途中で左肩を捕まえられ、聞き心地いい低い声が伝わってきた。
「そんなことはないですよ。だって、茶会でちゃんと一緒にいったから。」
茶会っていう単語も結構響いた。確かにあったことと思いますが……
「どうやらもう記憶にはなかったみたいですね。では、改めて自己紹介をさせて。無月と申します。また会えましたね、瑩さん。」
直感でわかる、この人は危険な匂いがします。肩を捕まったその手は殆ど力は入れなかった、なぜかわたしは振り解く気も起こらなかった。
しばらく彼と睨み合った。
「瑩!」後ろから聞き覚えのある声が名前を呼ばれた。
楽羽だ。
肩を掴まれた手の感触は一瞬で消えた。無月と言う人もどこにもいなかった。
「何ぼっとしている?大丈夫か?」
楽羽は小走りで近づいた。
「うん、平気。先の人はどこかで会った事があるような気がする…」
「……」
「楽羽、午後、オフィスで変な感じがした、気が付いたらぼっと立っていたが、何となくどこかで旅をしたような…上手く言えない、でも大事なことを忘れた気がする。思い出そうとしたが、全然…」
「…もし、誰かがお前の為にいろいろやってくれたら、お前も相手の為にリスクを冒してくれる?」
「何の話?うむ、友人知人なら手伝いたい、楽羽ならなおさら。わたしはそれほど人間関係に恵まれていないよ。優しくしてくれたら、こっちも優しさで向けるべきでしょ。」
「うん、そうだな。」
楽羽は小さく頷いて笑った。彼はベルトに着けたミニー関節人形のキーホルダーを解ときながら言い続けた。
「実は、今日これについて、白状したいのですが…」
靄が突然現れ、すぐ目の前にいる楽羽さえもはっきり見えなくなった。彼の声だけはっきり聞こえる。
「瑩、おれを信じて。そして、信じたい人を信じて。もっとも大事のは、自分を信じて……」




