新しい発見
任務といっても、直ぐ実行することじゃないらしい。みんなそれぞれの場所へ帰ってた。わたしも冬弥さんや加久良さんと共に、我が家に戻った。やっばりその不運を食い尽くすキーホルダーに気にするが、冬弥さんは「あんまり深く考えるな、時が来たら分かるさ。今日もいろいろあった、早く休んで」と言われ、大人しくベッドについた。加久良さんは自宅に帰る前にわざわざわたしの部屋に来て、「今度あっちで会うね」と耳打ちをした。どうやら冬弥さんはその行為に気になってて、結局何も聞かなかった。
暗闇に包まれ、眠気もこっそり訪れ、わたしは意識を手放した。どれくらい眠ったか分からないが、いま目が覚めるといいと思うと目を開けーーなんだ、ここみどりさんの部屋じゃないか、と言う訳で、また冬弥さんと一緒か。普通に眠ったな。
今日の着せ服を探しにみどりさんの着替え間に入って、先回もそうだが、改めて感慨深い。みどりさん、嫉妬するよ!整然として並べた服や靴に目が惹かれ、どれもセンスがいい品物で、色や設計も幅広い範囲で集められた。「人の体を借りで、人も物を勝手に使って、わたしって人は、本当に…情けない」と一秒の懺悔後、すぐ楽しく服を選び始めた。どれもこれもいいな、さんざん悩んだあげく、青磁色のノースリーブワンピースとストッキングと月白の皮のジャンパーにした。
ドアを開け、冬弥さんを会いに行くつもりが、目の前の人と危うくぶつけ合うどこだった。「ごんめなさい」と慌てて頭を下げ謝り、仰ぐとまた驚いた。絶対冬弥さんと思ったことに裏目が出て、葵さんと認識した。と言う事は、今のわたしは赤彦さんのいる方にいるね。
「今日は可愛いですね、瑩さん。」自然に褒める葵さんの言葉は真摯に聞こえ、名前のどこは声が小さくなったのも聞き取れ、自分が褒められたのようで嬉しかった。
「ありがとう。」
「ちょっと良いタイミングで、朝食はもう用意しておりました、みどり様をお呼びにまいりました。赤彦様と彩様と唯様はすでに食卓についております。」
「分かりました、いま行きます。」
無月さんにもいろいろ聞かせたかったが、今は朝食が先か。
「おはようございます、兄さん、彩くん、唯ちゃん。」
前回同じ、家主の席に赤彦さん、彼の左手の方は彩くんと唯ちゃん、その右手はみどりさんの席と言うこと。
「おはよう、みどり。今日は爽やかですね、うん、いいな。」
赤彦さんは微笑みながらわたしを見つめて言った。
「みどりん、かわいい!」
唯ちゃんも目を輝かし純真な笑顔を見せた。
「げえーーいつも喪服のようなダーク色はどうした?なに、その少女まんがみたいなふく、わらえる!」
彩くんの反応だけほかの三人と違う、まあ、さんざん褒められ、気分がいいので、怒らないよ。わざと可愛い笑みでかわした。
「彩もかわいいと思ってるのに、恥ずかしくて言えないよね。」
唯ちゃんはにやにやと彩くんを見つめた。
「双子だから、分かるよ。」
彩くんの顔が見る見るうちに赤くなって、やっと何も言えなくて俯いた。あらら、これは唯ちゃんの勝ちですね。拗ねてる彩くんもかわいいな。淡い笑みで二人を見守る赤彦さんはわたしに向けて話を掛けた。
「みどり、よく眠ったのか?昨日は疲れたのか、蔵書の間で眠ったのね、見つけた彩がぼくを呼んで、きみを部屋に運んだ。」
「えーー、そうなの?覚えがないな。ああ、兄さん、彩くん、ありがとう。」
「別におれが運んでも良いけど、みどりが重くて…」
重くてって、まあ、みどりさんはスリムですが、身長がふつうの女の子より高いからな。
「なになに、みどりんが赤兄に姫抱っこされた!わあ、うらやましい。唯もほしいよ。」
「おまえなら、おれにもできるよ。」
「彩なんで姫抱っこされても嬉しくないもん、赤兄がいい。」
「おまえ、調子に乗るなーー」
やれやれ、賑やか我が家の朝食!家主の座で微笑みながら双子のやりとりを見守る赤彦さんもわたしと同じこういうのは暖かく感じてるかも。
朝食を済ますと、彩くんと唯ちゃんはさっさと席を外した。
「そうだ、みどり、きみが寝ている間、なつみが電話してきた、約束通り、9時に夏斗くんと迎えにくるっと。」
そんな約束あったけ?まあ、亜希子さんと侑暉くんにもいろいろ聞きたかった。
「うん、わかった。」
「いつに間に仲良くなった?」
「加久良さんのお姉さんですから、話しやすい人ですよ。まあ、夏斗くんは少し苦手かも。」
「ぼくから見ると、なつみはひとをからかうのは好きのだが、ちゃんと面倒見てくれる。夏斗は彩に似てるかも、拗ねることが多いが、責任感強くて頼りかいがある子。」
「わあ、自分のメンバーに評価いいな。だからみんな兄さんを尊敬するんだ。」
「買いかぶりだよ。みどりも、みんなと仲良くしてるね。それぞれ個性なメンバーだが、ちゃんと助け合ってるさ。」
「うん、分かるよ。これから、わたしもこのメンバーの一人だから。改めて、よろしくね、リーダ。」
「ははははっ、みどりにリーダと呼ばれる日が来るとは…うん、よろしく!」
握手を求め差し出すわたしの右手を赤彦さんは声を出して笑いながら自分の右手でやさしく握った。
チャイムを鳴らしたと聞こえ、入り口につく前に葵さんはドアを開けた。
これで茶会の四人が集まった。もちろん、全員がお互いに認識できるのだ。
「執事服に似合うよ、無月さん。」
「ありがとうございます、亜希子さん。」
微笑を交わし会話する二人。
「お久しぶりです。」
年長者の前で、侑暉くんも礼儀モードになった。いや、ちょっと待ってよ、わたしも侑暉くんより年上じゃないか、なんでいつもバカされてるの?
軽く挨拶してから、亜希子さんや侑暉くんと家から出た。出る前に見送る無月さんに「帰ってから報告します」と言い残した。
てっきり車で来たと思ったが、亜希子さんと侑暉くんが歩いてきたのだ。
「どこへ行く?」
中間で歩くわたしは右に歩く亜希子さんに聞いてみた。
「着いた時の楽しみ。」
悪戯っぽく笑う亜希子さんは可愛かった。左の侑暉くんが無言のままただ歩いていた。行く道には沈黙で通すか?
「はい、到着!」
えーー早い!なんだ、遊園地じゃないか。
「やっばりここか。」
駄目息ひとつでもう突っ込み意気さえ失った侑暉くん。
「前にも来たことがあるの?」
「はい、侑暉くんと作戦会議のため何回もね。」
代わりに亜希子さんは答えてくれた。
「さって、今日は何を乗るのかな?」
えっと…?
「先回はジェットコースター、先先回はメリーゴーラウンド…」
はははは、亜希子さんと侑暉くんはメリーゴーラウンド…笑いを必死にこらえわたし。
「瑩さん、なんに乗りたい?」
「うむ、三人だから、観覧車かな?」
「おれの意見を聞かないのか?」
「どうせ侑暉くんはそこの芝に座って話しましょうっと提案するのでしょう。却下!」
「横暴な…」
「何が言ったのか?」
「いや、別に。」
「聞こえたのよ、この子…」
亜希子さんは侑暉くんのほっぺたをつねった。
「やめろう…」
軽く反抗する侑暉くんは亜希子さんの手を掴まれほっぺたから離れた。ふたりは仲の良い姉弟に見えた。
観覧車に入って、亜希子さんと侑暉くんはわたしの向こうに並べて座った。
「どうしてわたしの傍にすわるの?」
「別に。どこだって良いだろう。」
「ああ、そうか、わかった。今日の瑩さんはかわいいですね、こっちに座るとうまく見えるね。うん、うん、わかるわかる。こういうのはタイプか?」
「違うって!」
侑暉くんはわたしを一瞥し、すぐそっぽをむいた。やっばり、赤彦さんの言う通り、亜希子さんはひとをからかうのは好きのですね。
「でも、冗談抜きて、この服のコンビはいいね、色もあってるし、瑩さんにはふさわしい。」
「いや、みどりさんはたくさんのアイテム揃ってだから。それにふさわしいのはわたしじゃなく、みどりさんですよ。元々肌もスタイルもいいだから。」
「負い目を感じた?」
「うん。」
「選んだのはお前だろう?おれらの目に映ったのはおまえだ。」
「あら、やさしいですね。まあ、瑩さんも自分も捨てるもんじゃないよ、女だから、いくらでも変われるんだ。がんばれ!」
「ありがとう。」
本当の自分への励ましと聞こえ、素直に感謝の気持を二人に伝えた。
「では、深刻なことを話しましょう。」
先までひとをからかう亜希子さんは真面目な顔になった。
「瑩さんはふたつの世界があって、どちでも
自分が存在するとこの前言ったね。」
「はい、それにあっちのいる人とこっちのいる人を重ねない。つまり、こっちにいるひとはあっちで存在しない。わたしと加久良さんを除いて。」
「加久良の姉として、あの子は変どこはないと言えるが、断言できない。わたしの方もいろいろ探ってみるよ。いまは彼のことは置いておいて。」
「両方の人たちは重ねないと言うのはみんなの知っているひとの中のなんにんはこっちに既にいない、あっちに生きているのですか?」
「多分、任務のメンバーに言えば、こっちは赤彦さん、なつみさん、夏斗くん、航也さんにミラさんにマスクさん。あっちは冬弥さん、紗綾さん、リオくん、蛍ちゃん、史呂さんにピエロさん。」
「そうか?あの時、消えたみんなは死んだと思ったが、あっちに移ったのか?なる程。」
「これから、わたしもみんなと一緒に任務実行に行くにで、いろいろ情報も得るでしょう?」
「でも、これは問題品物や異能者と関わること、危険も伴うことで、瑩さんは困ることがあったら、いつも言ってね、こっちにいる間、わたしも侑暉くんも全力協力します。」
亜希子さんの言葉で侑暉くんは力強く頷いた。
「うん、分かってる、ありがとう、ふたりとも。」
「そういえば、あっちで任務があった。不運を食い尽くすキーホルダーと人殺しの監視カメラ。あっちのメンバーで二組にわけてということで、わたしは不運を食い尽くすキーホルダーの方についた。冬弥さんも加久良さんも同じ組で。」
「それなら安心して、冬弥も加久良も達人さ、きっと大丈夫。」
目を宙に睨む侑暉くんがなにか考えている様子でみえた。
「どうしたの、侑暉くん?」
わたしに目を向け、侑暉くんは答えた。
「不運を食い尽くすキーホルダーって、前アジトで聞いたことがある。おお、写真もあるぞ。」
彼は携帯をわたしに差し出して、一枚の写真をみせた。
これは…このキーホルダーを見たことがある、しかもその持ち主も知っている。もちろん、ここに来る前のわたしの世界で。




