アジト、ふたたび
「まあ、焦ることはない。みどりちゃんは今までそのシスコンの兄の保護で冷蔵され、その能力は長い間放置のまま、今更急に使えといっても無理ととぼけばいいさ。」
「はははは、それで誤魔化せるかな?みんな異能者でしょう?能力を使えないわたしは一般人同様、ここに来る意味がないじゃん。うむ、赤彦さんは知ってるのかな、直接に聞きたい…」
「そうしたいならそうすればいいさ。赤彦はみどりちゃんのことを何でもゆるそう、まわりにいい女が群れになっても、あえて空かした顔でいられるな。」
「赤彦さんは兄でなければよっかたのにね。」
話題は変な流れに乗せたきがする。
「何を言ってるの?確か赤彦はみどりちゃんの兄ですが、あんたの兄じゃない。って言うか、なんで赤彦の話で舞い上がってるの?こっちは冬弥が彼だろう?」
悪戯っぽい眼差しが真っ直ぐにわたしに向け、加久良さんは唇の端を小さく上げて笑った。
「はいはい、いい男の群れに飛び込んだわたしはもう右も左も分からなくなった。」
白旗を揚げた返事に満足したか、彼の顔に深い笑みを表した。
「ぼくもその中に入れるのかな?」
別に答えを求めてない風に、加久良さんは言い続けた。
「気になるやつともっと接触すればいい。ここは本の中だ、思いついたこと以外、なんでもやれそうじゃん。」
「それは危ない発言ですね。でも、わたしも最初はそう思っていたが、物語の進行は遅くて、少し退屈を感じたかも。本の中のキャラは毎日こん思いを繰り返すのかな?主人公にも常に不思議や面白いことに囲まれるのじゃない、ちょっと幻滅かも…」
「それもそうさ。あんたが見た本、やったゲームが面白いのは、みんなその日常の部分を脱ぎ捨て、残した非日常を見せられだから。来る日も来る日も何かが大事件や不思議など襲来すると、人間の神経を保てないよ。人は繰り返すが必要。」
「え――納得できません!毎日新しい何かがあるのはいいことじゃん!わたしは今の仕事に厭きれるのはそのせいさ、同じような毎日本当うんざりする。自分の活力とやる気は段々薄くなる、その内、自分はいったいなんなのか分からなくなるよ。例えば、どうしても見たい映画ある、なのに都合悪いことに、仕事時間と被った、サボって映画を見に行くのもいいが、その罪悪感に押さえ、結局行けなくなった。それは心に傷をつけた、仕事への不満がそのような小さな重なりで募り始めた。」
「それはその映画はあんたにとってくびになる程大事じゃないの証拠さ。映画のひとつで仕事を失いたくないだろう?」
「何もそんな迅速で真っ直ぐに指摘しなくても!」
ちょっと憎ましい目で加久良さんを捕らえると、彼は穏やかな笑みで受け止めた。
「ははは、睨むなよ。もし遂行したら、くびになって、次の仕事を探せばいい。考え一つで全ては回転できる。」
「それこそ雲の上の話だろう。そんなに簡単に見つかるのかな?」
「何でいま、ここで、そんなこと心配するの?」
「だって、もし戻ったらまだその仕事場にいったら…もう、考えたくないよ!」
「先のことに気をとって、今を楽しめないタイプですか?」
「違います、断然に違います。神経質且つ強迫症だけ!」
「落ち着いて。」
はあ……長いため息漏らすと、少し楽になった。
「なんで加久良さんとこん話するのかな?目の前のことに全然関係ないのに。」
「意識の奥深くそれに葛藤を持ってるでしょう。明白にすると、気が晴れる。」
暫くの沈黙。それは乱れたのは突然地面に光りだした転送の魔法陣だ。そこに現れたのは冬弥さんだった。
加久良さんとわたしの注目を気づき、冬弥は首を傾け笑いながら言った。
「盛大な歓迎ですね。」
「よお、お帰り!」
「なんで加久良は言うの?みどりが言ってほしいよ。」
「だから、ぼくの前でいちゃいちゃするなって!わざですか?」
「ごめんごめん!」
男同士のやりとりにはあんまり趣味はないが、それは彼らにとっての仲良いの証かな?
「みどり、もう大丈夫か?最近気が失うことが多いらしい。」
「うん、大丈夫、心配しないで。任務やミッションと聞いたら、直ぐ気が失うのはわたしの能力かも。」
加久良さんの意味ありげな目線を肯定な眼差しで返した。
そう、冬弥さんを試している。彼はみどりさんの能力を知ってるかどうか。
「はははは、それは便利だな。ぼくにも分けてよ。みどりはそんなすごい能力が持ってるのか、知らなかった。」
爽やかな笑顔を綻し冬弥さんはみどりちゃんの能力をしらないのようだ。
「あの、冗談抜きて、本当は、憶えてないんだ、わたしの能力を。」
「ああ、気にしないで。みどりをぼくが守るから。元々みどりをここへ連れ来るのは反対でした。悔しいことに、自分が無力で、上のえらいさん達に逆らえない。赤彦さんのようにその人たちと競り合う気迫はぼくにはなかった。」
声が高くなかったが、その感情の波動は聞き取れる。
そうか、異能者の任務には常に危険が伴う、みどりさんには紛れてほしくなかったね。たから、あの時、赤彦さんはみどりさんと冬弥さんの恋を止めようとしたのか。みどりさんはずっと守られたわね、赤彦さんに。もちろん、冬弥さんも優しい彼ですよ。
冬弥さんに向けると、悲しさと悔しさが交じった顔を目に飛び込んで来た。ちょっと胸が痛かった。
「おいおい、ぼくのせいか?いちゃいちゃするなって言ったのはそんなに素直に聞き取るんなよ、この変な空気は何なんだ?せっかくお二人さんはみんなの前に堂々と恋人の身分で出たのに、もっと喜べ!」
冬弥さんの肩を右手で抱き、左手は彼の髪を少々乱暴に掻いた。
「あのシスコンの大事な妹を奪ったのに、いまさら後ろめたくなんてこのぼくが許さないぞ!」
冬弥さんは抵抗しようだが、加久良さんに敵わなかった。
傍に見ているわたしはマンガやアニメを見てる気分になった。加久良さんって、慰めることを上手だな。みんなの親友ともいえないかな、なにしろその加久良さんをよく思えない人も若干いる。
「どう?この加久良が親友になると、世の中捨て物じゃないんだろう?」
「はい、はい、感激の限り。ああ、そうそう、呼ばれてるぞ、アジトに集めろって、ほかのメンバーは後で来るから、ぼくたち三人で先に行く。」
「えっと、三人って、わたしも含めてるの?」
「そう、みどりは今度のキーマンですから。」
なんかいやな予感がする。まあ、アジトなら、あっちで赤彦さんに案内されてどこですね。たしか、ここで転送しか行かなくて……と思ってる間に、冬弥さんはもう準備終了。
前回同じ、例の城の前に着いた。違うというのは、連れと天候の悪さ。
冬弥は先頭に立って、わたしと加久良さんは順を取って左から二番目の門から入った。
「前にも言ったが、何で四つの門に作るの。おかげで、毎回つっこみたくなるさ。」
そうそう、まさにそれ、同意見ですよ、加久良さん。
赤彦さんの言った通り、違う門から別々のどころへ通る。今回行き着いた場所は問題品物の安置所ではなく、丸いテーブルを置かれた広い会議室らしいどこ。




