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午後3時半からの冒険  作者: Sugarei
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もう一つのネックレス

 葵さんは用意周到にお菓子を届けに来た。嬉しいが、この調子で行けばみどりさんの細長いスタイルを壊れる恐れもある。後で一階のホールで日課のダンスをしましょう、この時間になればみんな部屋にいるでしょう。

「ああ、葵さん、彩くんと唯ちゃんにもお菓子を用意してくれないかな。」

「かしこまりました。」

 葵さんは微笑みを掛けて部屋から退出した。

 甘く美味しいお菓子はあっという間に食べ終わった。星のネックレスを慎重に外して一階に降りた。

 改めて見ると、広いホールですね。こんな広い空間でダンスするのはさぞ気持ちいいだろう。ダンスして、一汗かいて、風呂に入って、そして加久良さんの言う通りにあっちへ精神を飛ばすできるならいいね。

 身体を動かすと気分がよくなる。手と足を自然に動かす同時に加久良さんからの情報を頭に浮かべた。ダンスしながら考えことをするのは随分前からの習慣だ。

 不対称世界、分裂した2パートを一つにしてやるなんてわたしの妄想にふさわしいな。誰がこの物語書いたのかな、気が合うね。まあ、そんな簡単にできることじゃないけど。いま、亜希子さんや茉理ちゃん、侑暉くんはどうなったのかな?早く会いたい。万が一敵対の立場になったら、どうしよう?ああ、加久良さんのことをまだ無月さんに言ってませんよね……

 その時、鍵でドアを開ける音がした。3秒経ってやっと反応して振り返って見ると、赤彦さんは入り口で立っていた。彼も一瞬驚いたが、すぐ笑いかけて近づいて来た。

「みどりがダンスするのは見たことがないね。」

 どうやってスタイルがキープしてるのかな、みどりさんは。

「お帰り、兄さん。」

「ああ、ただいま。」

「あの、加久良さんと兄さんとわたしの3人の写真があるのかな?」

「あるよ、蔵書の間の最外層の本棚に置いたアルバムに。急にどうしたの、加久良に何が言ったの?」

「うむ、なんか見たくなっちゃだ。」

 深入りつもりがないらしい赤彦さんは別の話題に触れた。

「体調はどう?もしよかったら、明日付き合ってくれないかな?」

「デートの誘いですか?」

 赤彦さんは目を細め、口角を少々曲げてわたしを見つめた。

「それも含めほかに手伝って欲しいことがある。」

「ただでですか?何がご褒美がない?」

 悪戯っぽく言ったわたしに赤彦さんは落ち込んだ顔で答えた。

「みどりが大変気に入ったネックレスはもう冬弥からもらったね。ほかに何が欲しい物ある?」

「冗談ですよ。兄さんの役に立てるといいな。」

「今日のみどりは変ですね、いつも真っ直ぐ断るのに、本当良いのか?あと後悔は効かないぞ!」

「はいはい、約束する、明日、兄さんと共に行動する。……あの、いまのわたし変ですか?」

 手を伸ばして頭をなでなでする赤彦さんは優しい声で囁いた。

「拗ねるみどりも、わがままなみどりも、まっすぐなみどりも僕の大事な妹ということは変わりはないさ。本当はもっと頼って欲しいな、不器用な兄なんですが……では、明日の朝起こしに行く。今日は早めに寝ろ。」

「うん、お休みなさい。」

「おやすみ。」

 赤彦さんは階段から見えなくなるまで見送った後、蔵書の間へ向かった。

 一番外側の本棚、アルバム……ああ、あった、あった!

 なになに、わあ、かわいい、これ、彩くんと唯ちゃん、小ちゃいな……

 双子の写真が多いですね。

 あれ、みどりさんの写真が少ないですね。赤彦さんと加久良さんだ。って言うか、わたしの見た顔のまんまじゃん⁈どういうこと?

 また謎が増えた!もう、今日早めに寝よう、明日から考えにしましょう。

 風呂上がって、ネックレスを着けた後ベッドに入った。星の形のルビーを手に握って、どうか両方へ行ったり来たりのスイッチを見つかるようにっと願ったまま眠りに入った。

 目が覚めるともう日が明けた。赤彦さんが起こしに来る前に支度して方がいいかな。快適な服を選んで身につけた。

 その時、ドアがノックされた。はいっと答えながらドアを開けると、一瞬で頭が真っ白になった。なぜなら、目の前に現れたのは冬弥さんだった。

「もう準備が出来だな。じゃ、行こう!」

 反応する前に冬弥さんに手を引かれ、階段をおりてホールに来た。

 あっちのわたしは今どうなってるの?もし今赤彦さんが起こしに行ったら……

「加久良が外で待ってる。ああ、加久良は昨日偶然会った人、おぼえてる?」

「うん、あの派手な人。」

「はははは、派手ね、そうだな。」

 冬弥さんは声を出して笑った、でもすぐ真顔になって言い加えた。

「気分が悪くなったら、すぐぼくに言ってね。」

「うん、分かった。」

 おとなしく頷くと彼は安心したように微笑んだ。

 加久良さんも一緒と知った時、わたしも少しほっとした。

 外に出ると、車門に背中を預ける加久良さんが真っ先目に映った。

「おはよう、ふたりとも、前回ぶりだね。」

 どの前回ですかっと心の中で突っ込みながら、やっばり派手な人ですなと思った。印象派的なわからない図案のシャツに皮革材質のズボン、特にその真紅とも深いブラウンとも似てる色の髪。口ぶりはあんまり変わりはないが、外見は変わり過ぎ、思わずこの人本当に昨日わたしと話をした人ですかっと疑った。

 今の加久良さんは赤彦さんと並べて歩いたら……まあ、ありえないね。

 冬弥さんは加久良さんに近づいた。このふたりを見ると、あんまり違和感が感じない。おかしいな、冬弥さんも知性派なのに……人のオーラって不思議なもんね。

「わざわざ迎えに来てくれて、悪いな。」

「目的地は一緒だから、人が多い方が楽しさ。」

「ああ、大事な物忘れた。ちょっと取って来る。」

 突然思い出した冬弥さんは慌てて屋敷に戻った。

「冬弥さん、うちに住んでいますか?」

 独り言言うつもりが、加久良さんは答えてくれた。

「そうですよ、ふたりきりこんな広い屋敷に住むなんて羨ましいよ。」

 加久良さんはウインクしながらわざと言った。そこ、相槌しない方がいいよね。

「わたし昨夜赤彦さんと約束したの、今日手伝いことするって、どうしよう?」

「それは大丈夫だと思うよ。時間の流れは違う、こっちの方が先だから。」

「つまり、戻ったら、赤彦さんとの約束を間に合うの?」

 加久良さんは微かに笑って頷いた。

「あの、わたし、加久良さんと赤彦さんの写真を見たよ、いまの加久良さんとそっくりの顔です……」

「それはそうですよ、加久良ですから、ぼくは。」

「茶化してるね。」

 そこで、彼は小さくため息して、俯いた。何か答えてくれると期待したわたしに向かって急に顔を上げた、可哀相な表情で言った。

「実は、ふたごの兄弟がいって……」

「はあ⁈ ……バカにしてるの?」

「ごめんごめん、今はちょっと説明出来ないんだ。」

 本当にすまそうな顔している加久良さんを見ると、これ以上何も言わなかった。

 ちょっとその時、冬弥さんは戻った。彼は長方形の小箱をわたしに差し出して言った。

「これ、赤彦さんから預かった物、もっと早く渡すべきだが、この前までみどりもまともに話せる状態じゃないし……今なら、もう大丈夫だと思う。」

 どこかで見た覚えがある。もしかして……恐る恐る蓋を開けると、目に飛び込んだのは思う通りの物。星の形したルビーのネックレスだ。流石に言葉がなくした。

「赤彦さんに先越されたな。ぼくもみどりにプレゼントしようと思った、あんなに欲しがったのに。」

 冬弥さんは苦笑って悔しさを隠さずに言った。

 違う人からもらった同じ物、何が意味があるのかな?

 加久良さんの車に乗せてからずっとこのことを考えていた。




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