不対称世界
あの時は鮮やかな髪色と派手な髪形に強い印象を残した。今は普通の黒髪にスーツ姿のエリート風貌に変わりました。人の顔を覚えるのは苦手なわたしは五官よりほかの特徴ある場所に目を付けることが多いのです。その左目の下のほくろと左耳に付けたピアスだけは絶対間違いない。あの時、冬弥は「親友」って言ったっけ。
「みどり、散歩ですか?……そのネックレス、似合うよう。」
わたしは考えている間に、ふたりはもう目の前に来た。赤彦さんは声をかけながらわたしの頸をしばらく見つめていた。
隣の人は一瞬戸惑った表情を現したが、すぐ笑顔に変えて言い出した。
「みどりちゃん、久し振りだな!もう出歩けるになったか?本当に心配したんだよ。はい、再会のハグ。」
彼はいきなり接近して、両手を広げた。
反応遅くなったわたしの代わりに、赤彦さんは後ろから彼を牽制し、拳二つの距離で止まった。
「いい加減にしろ、カクラ!」
「いいじゃん!赤彦と違って、僕はスキンシップを求めるタイプですよ。なら、赤彦で我慢する、このシスコン!」
今度勢いよく赤彦さんを抱きしめた。
「やめろ!」
大の男ふたりが公園で抱きしめたり、暴れたり……ああ、ああ、幸い周りにあんまり人がいないので良かった。
赤彦さん、持って遊ばれたのか。なんだかんだで仲良いの証拠だ。
「ああ、僕、瀬名カクラ、加減の加に久々の久に良しの良、赤彦の幼馴染です。よろしくね!」
「はあ…いつも意味不明なことをするのは昔のまんまですね。」
楽しそうに笑う加久良さんとため息を漏らす赤彦さん。
「もうそろそろ時間だ。これから打ち合わせに行くのですが、みどりを家まで送ってくれないか?」
赤彦さんは腕時計をチェックしてから加久良さんに言った。
「喜んで♥︎」
彼は答えながらわたしにウィンクをした。
「いいんですよ、一人で帰れる。」
「遠慮するな、もう暗くなったし、女の子一人で地下通路に歩くのは危険だ。」
彼らに敵わなかった。赤彦さんと別れ、ふたりで地下通路へ向かった。人が殆どない故か、少し寒気に感じる。
「君はみどりじゃないよね。」
突然の言葉に立ち止まったわたしを彼は3歩前の距離で振り返って見つめた。
「図星か、自意識があるんだね。ほら、冬弥と一緒の時も会ったろう。あの時はその星のネックレス着けてなかったね。」
ニヤニヤ言い出した彼の目には敵意を感じない。
「まさか自分と同じ両方にいる人に会えるなんて嬉しい。みどりの写真を見たことがあるから、全然別人ですね。強いて言えば、髪の長さは唯一の共通点かな?赤彦と一緒でよかった、きみがみどり、赤彦の妹で冬弥の恋人。」
「あの、あなたも茶会から来たの?」
「ああ、やっと喋った。そうですよ、君と違うテーブルですが。」
「わたし、テーブル一つしか見えなかったが…」
「茶会にいるみんなは自分と同じテーブルについたメンバーしか見えない。そうか、君は始めて?」
「うん。何か聞く度にルールが増えてる感じ、もう、誰か一遍に教えて欲しいな!」
この追加しつづ掟本当にやかましいわ。
「まあまあ、落ち着いて。僕もやっとゆっくりとルールを捕まえ出来た、不明な点はまだまだ残っているが。」
「あなたもハロウィーンから来たの?」
「そう。分かれ道はいつも変な名前着けが、今回の方が普通。女子ならクリスマスを選ぶでしょう、どうしてハロウィーンを?」
「変人ですから^_^」
「一緒だね。」
「あの、先、両方って言ったよね。ここに冬弥はいない、向こうは赤彦さんがいない、真逆なのはどういうこと?平行世界とは違うような……」
「それは違うと思うよ。向こうにいる人はこっちはいない、少なくとも僕の周りはそうだった。平行世界なら同じ人はいくつの世界に存在するのでしょ?でも僕たちの場合はまるで世界は二つに引き裂かれたみたい。」
「それなら、どっちに着くしかないじゃない?でもわたしたちは両方にも存在するよ。」
「僕たちを中心として分裂したら説明が着くかな?」
「そんなオカルトや超自然な力、一人や二人で起こせるのかよ?なんなんだよ、この不対称な世界。」
「それ、いいな。不対称世界、その名前でいこう。うん、うん。」
一人で納得する彼は目がキラキラしてる。
「なんか楽しそうですね。」
「そうですよ。折角嫌な現実から離れたのに、楽しめなくちゃ!今回の物語は面白いですね。君にも協力してもらうよ。」
なんか会話の次元がすれ違った感じだな、心の中でため息をついた。
「あの、いまごろあっちのわたしたちは?」
「眠ってる、或いは意識不明?」
「街中で倒れたではないよね!」
「そんなことはないよ。僕はいつも寝る時行ったり来たりしている。」
「ええ!コントロール出来るの?」
「うん。どっちも自分ですから、
意識の在り処を選択できるよ、君もできると思うよ。」
いやいや、善意且つ無効率の励ましは不要です。まあ、後でちょっと試すか。
「ああ、随分立ち話したね。早く送らないと、赤彦の方が先に家に着くかも。あいつ、説教長いぜ。今度、向こうで会いましょう。行こう。」
屋敷に着いた時、葵さんはドアの前で待っていました。わたしを迷子になるのは心配しているらしい。ははは、苦労した執事さんですね。
そう言えば、加久良さんも茶会から来たのなら、わたしの見たのは本物の顔ですよね。今度鏡を身離さず持ってこう。




