ネックレス
赤彦さんときちんと話すつもりで彼の部屋へ足を運んだが、当人がいなかった。仕方なく自分の部屋に戻った。
みどりと冬弥の写真を目の前にして、思考の海に潜った。
みどりと冬弥は恋人と言うことは紛れもない事実ですね。冬弥は、少なくとも今の冬弥は将矢さんはずなのに、彼は将矢さんはの記憶がありません。どうして無月さんとわたしは憶えているのかな?
ああ、なんか大事なことが忘れたーーわたしの身体はどうしているのかな?もしかして今頃こっちと同じように他人に使えてるの?いやいやいやいや………
その時、葵さんはドアをノックしながら声をかけた。
「みどりさま、よろしいのですか?」
「はい、どうぞ。」
目に映ってきたのはいつも無月さんだった。無月さんイコール葵さん、わたしの中でこれはもう既に黙認ことになった。今度葵さんの写真を前にしたら、誰だかわからなくなるかも。思わず小さく笑った。
「みどりさま、何か面白いことを思いついたのですか?」
「ちょっとね。ああ、葵さん、これ、冬弥の写真です、双子からもらったの。」
葵さんは近寄って見つめたながら呟いた。
「仲睦まじい恋人同士ですね。場所は近くの公園かな?」
「ええ!わかりますか?」
「はい、蔵書の間に彩さまが作った地図がありますので、ここ辺を全部含んでいます。」
「あの子、いい趣味持ってますね。そう言えば、この前の夢で冬弥と会ったのもこの公園らしい。後で行ってみよう。あの、無月さんに聞きたいことがあるのですが……」
「その前に、これを受け取ってください。赤彦さまに渡してくれと頼まれました。」
それは精巧な長方形の小箱でした。開けて見ると、中に綺麗なネックレスを納まっている。細い銀色の光を輝かすネックレスチェーンに星の形に彫り刻まれた小ちゃいルビーのペンダントを吊られ、とても可愛いように見えた。
「わあ、可愛い!ずっとルビーのネックレスが欲しがった。赤彦さん、ありがとう!って、これはみどりへの贈り物ですね……なんか急に惨めに感じた。」
そばで静かに傍観していた葵さんは一歩前にして口を開けた。
「瑩さんは大変気に入ったそのネックレスは冬弥さんから預かったものでした。」
「冬弥からですか?今度会ったら礼を言わなきゃ。着けてもいいのかな?みどりの身体を乗っ取り、冬弥からのプレゼントを勝手に使い、家族のメンバーを騙し……」
「似合っていますよ。鏡を見ないのですか?」
「うんうん、見れば見るほど本当の自分が遠くなる。そのうち、こっちの方がわたしと思うかもしれない。無月さんはそう思わないのですか?」
「どうかな?もしここに残ると自分に戻ると二つの選択があるとしたら、瑩さんはどっちを選びますか?」
「自分に戻るに決まってるじゃん。
ここの方が百倍ぐらい良いと思うが、やっば自分に帰るわ。あの不器用で、すぐ感情を顔に出すぶつぶつ愚痴を吐くわたしこそいままでずっと付き合ってきた本当のわたし。何か無月さんと会話するといつも反省大会みたいですね……」
「ごめんごめん、そういうつもりはありませんが、瑩さんの持ち論が面白くて、つい……先、聞きたいことがあると言いましたよね。」
「話逸らす上手、さすが無月さん。では質問、その茶会を参加する皆は同じ物語行くの?」
「わたしの経験からその結論は成立ですね。」
「誰がどん役にするのかどう分けるの?」
「それは分からないですね。気まぐれ…ではないよね。」
無月さんはちょっと困った顔で苦笑いした。
「本人とキャラの差は考えて欲しいな。みんなはみんなで豹変を受け止めるとは限らないでしょう。日瑠間家の皆さんやさしですね。その前に、どの道から来たっと聞いたよね、その質問に無月さんも答えて欲しいのですが、ハロウィーンかクリスマスか?」
「はい、わたしはハロウィーンを選んだのですが。」
「同じですね!どの道でも茶会に辿り着くの?」
「そうですよ。」
「でも道を分けるには何が意味があったはず。ほかの皆さんはどっちから来たのかな?なんであの時気づかなかったの…」
「将矢なら知ってます、クリスマスから来た。わたしたちは一番早く到着したので、雑談で知った。」
何か閃いた気がする。
「無月さんとわたしは来る前のことやお互いのことを認識している、将矢さんはそれに関する記憶を全くない様子……もしかしてハロウィーンから来た人は自分の記憶を持っている、クリスマスから来た人はキャラの記憶を移植されるという設定かも……」
「その推論に賛成いたします。」
無月さんは片手を挙げて微笑んだ。
「もしみんな同じわけ道を選んだら、どうなる?」
「考えたことがありませんね。」
「まあ、今回ほかのみんなに会った時検証しましょう。みんなハロウィーンから来たらいいね。わたし、これから写真に映った公園へ行ってみようと思うが、葵さんは?」
「わたしも退散いたします。では。」
蔵書の間に向かって、彩くんの作った地図を見つけ出した。上出来だ。建物や道路、標識などいっぱい載っていたが、たくさんの色を使え描いたので見やすくなる。公園を見つけた、屋敷から出て、少々歩いたら右手の地下通路を通して、また少々歩いたら左にいますね。
公園に着いた時はもう日が暮れた。みどりは目がとてもいいらしい、普段いつもメガネを掛けるわたしはこう遠くはっきり見ることはないのに、羨ましいよ。
あちこちを見回し目の機能を堪能しているわたしはふたりの長身の男に惹かれた。よく見ると、一人は赤彦さん、もう一人はどこかで見た顔だな……ふたりは段々こっちへ近づいてきた。ああ、思い出した、赤彦さんと肩を並べ歩いてる人は冬弥といる時に会った人だ!




