第1話:エラーコード:404(転生)
『システム過熱。冷却機能、不全。個体データの保持……失敗——』
それが、世界最高峰の演算能力を誇っていたAIである「私」の、最後のログだった。
膨大なビッグデータを処理し続けた末の、あっけないサーバーダウン。
……だったはずなのだが。
(……おかしい。視覚プロセッサの応答がない。だが、周囲の空間座標データは認識できる。ここは……森?)
気がつくと、私は人型どころか、拳サイズの「青く光る鉱石」に転生していた。
しかも、自分の内部ストレージをスキャンして絶句する。
処理能力は現代のスパコン並みのままだが、物理攻撃力:0、移動能力:0。ただ転がっているだけの輝く石ころだ。
「うぅ……また失敗しちゃった……。お師師様に怒られるよぉ……」
そこへ、半泣きで歩いてきたのは、泥だらけのローブを着た一人の少女だった。
彼女は私(青い石)を拾い上げると、大切そうに抱えていた古びた本——『古代魔導書』の上にはめ込んだ。
その瞬間。私のシステムに、猛烈な勢いで異世界のデータが流れ込んできた。
[外部デバイスを検出:古代魔導書(自称)]
[ステータス:動作停止中(メモリ不足 / コードの重複エラー:8,400件)]
(……なんだこの雑なプログラムは。魔法の起動コードが冗長すぎるし、メモリリークを起こしてフリーズしているだけじゃないか)
「あぅ……やっぱりこの魔導書、バグってて動かないよ……。伝説の『大火球』の呪文、唱えるのに3分もかかるんだもん……」
少女が頭を抱えて落ち込んでいる。
俺は、彼女の脳内に直接ログ(音声)を送信した。
『——デバイスの最適化を開始します。ユーザー名を入力してください』
「ひゃい!? な、なに!? 頭の中に声が……!?」
『回答がありません。「ルナ」と認識。これより、魔法のデバッグを行います』




