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「これは敵対ではありません。フレンドリーな接触です」異世界の住人が全員マニュアル翻訳で喋る件

作者: 鱈場蟹
掲載日:2026/04/12

「意識のある個体を発見。安全確認を実施する」


俺は今、目の前の兵士にこう言われている。


5分前まで俺は、海外製のオープンワールドRPGをプレイしていた。


そのゲームの冒頭はこうだ。


「あなたは森で倒れています」


「通りかかった警備隊があなたを発見しました」


「あなたは安全な場所へ運ばれます」


妙に説明的で、ちょっと不自然な翻訳。

でもまぁ海外のゲームだし、そういうもんだと思っていた。

その瞬間、気づいたら森の中で倒れていた。


「……は?」


そして目の前に、鎧の兵士とローブの少女。


完全に、ゲームの冒頭そのままだ。


ただし画面じゃなくて現実だった。


兵士が俺を見下ろして言う。


「意識のある個体を発見。安全確認を実施する」


少女が続ける。


「呼吸は安定しています。致命的損傷はありません」


やめろ、その実況。


俺はそのまま担ぎ上げられ、馬車に乗せられた。

抵抗する暇もない。


馬車の中で、少女が真面目な顔で言う。


「これは敵対ではありません。フレンドリーな接触です」


……その言い方やめろ。


友好的なのは分かる。でも単語選びが全部マニュアルだ。


兵士は淡々と続ける。


「あなたは現在、身元不明の負傷者です。王都にて保護されます。これは通常手続きです」


怖いくらい事務的だが、悪意は感じない。



街は普通だった。

人がいて、店があって、生活がある。


でも会話だけが変だ。


「通行は問題ありません。混雑率は低いです」


「商品購入は任意です。強制はありません」


「本日の治安は安定しています」


全部直訳すぎる。

てか治安安定の報告ってなんだよ。


しかし誰も不自然だと思っていない。


宿に入った。

受付のおばさんが言う。


「一泊3ゴールドです。これは標準価格です」


「ベッドは睡眠専用です。戦闘には使用できません」


ドアには注意書き。


『この部屋は休息用途です。安全です』


安全は分かった。説明が過剰なんだよ。



翌朝。


朝食は、パンとスープだった。


給仕が言う。


「これは食事です。摂取によりエネルギーが回復します」


「パンは硬いですがスープで改善されます。これはヒントです」


ヒント言うな。


昼ごはんでは、


「食事だ。HP回復」


夕食では、


「餌。」


俺人間なんだが。



王城に呼ばれた。


王が言う。


「あなたはこの世界の住人ではありません。これは事実です」


なんかバレてる。


続けて王は言った。


「しかし帰還方法は未実装です。これは仕様です」


仕様すな。


——

その晩。

俺はまた森の近くにいた。


空を見上げるとドラゴンが飛んでいる。

そこへ、さっきの少女が来て言った。


「現在飛行中です。安全です。問題ありません」


もう驚かない。


「あなたは現在、この世界に適応し始めています。これは正常な進行です」


俺はため息をついた。


そして最初に助けてくれた兵士が言う。


「あなたとの接触は完了しました。これはフレンドリーな接触でした」


だからフレンドリーな接触ってなんだよ。


——

その時、突然“運営”からアップデート通知が届いた。


「新規イベント発生。内容:説明過多の改善要請」


運営の言葉も直訳だが、改善する気はあるらしい。


続けて表示された。


「しかしながら、実装予定:未定」


俺は空を見上げた。


「この世界、説明は丁寧なのに改善だけは雑すぎる」

最後まで読んでいただきありがとうございます!

実は、自分がよく遊ぶゲームの翻訳がいつもおかしくて、面白いと思ったので小説にしてみました!

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