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おひるね。  作者: しおん
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い(病気)

晴れわたる青い空に、澄み切った空気。

そんな日は必ず心地よい眠気に襲われる。


今日はいったい、どんな夢を見せてくれるのだろう。







血を吐いた。

目の前にはもみじのような朱に染まった僕の手がある。


今日も病は治らない。


医者はすぐに良くなると言っていたというのに、僕の体は悪化していくばかりに感じる。

僕は一人、布団に身を委ねながら考える。


僕は明日生きているのだろうか、生きていていいのだろうかと。


病人を抱えていては、家計は悪化する一方だろう。父も母も毎日汗水を流して僕を生かそうとする。それは今、僕が生きているからだ。けれどそれは、ぼくが死んでいたらどうだろう。

両親は一生懸命に働かなかったかもしれないじゃないか。自分の幸せのために生きていたかもしれないじゃないか。

そう思うと、僕が今、生きている意味が見えなくなってくる。


不治の病。


そういった名前のものにかかっているというのは、もう薄々勘付いている。それに、人はどうせいつか死ぬんだ。それが少し早いか遅いか、苦しいか楽かそんな些細な違いしかないんだ。

人生なんて、いつ死んでもおかしくない。それならいつ死んでもいいってことじゃないだろうか。

特別死にたいというわけではないけれど、この苦しみから開放されることができるというのなら、いっその事あの世へ行くのも悪くない。


そんなことを思いながら、僕は今日も生きている。

それは明日も、それ以降も続く未来。選べる死を、あえて選ぶことをしない強欲な僕の身勝手な人生。


次に目が覚めたときも、僕はきっと、生きていることを後悔しているふりをしているんだ。






とても寝覚めの悪い夢だった。

ドロドロとした得体のしれない何かが身体中に巻きついているような、そんな感覚がのこっている。


せっかくの幸せなひと時が、台無しになってしまった。

読んでくださりありがとうございます。

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