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ろ(短め)
晴れわたる青い空に、澄み切った空気。
そんな日は必ず心地よい眠気に襲われる。
今日はいったい、どんな夢を見せてくれるのだろう。
「さぁ、帰ろうか」
そう言って差し出された手をとろうとするのだけれど、それは蜃気楼のように音を立てずに後退する。
幽霊のように手が透けてしまっているのではなくて、手を延ばせど、足を進めど、かすることすらままならない。
手を取ろうと、そこに触れようと、仕切りに前へ前へと
そして気づかないうちに僕は階段をのぼりつめ、その先がないことを知る。
そこが崖になっていただとか、崩壊していたのであればこの子が幽霊で僕を殺そうとしたんだと納得できたかもしれない。だがそこは、そんな現実味のある壊れ方をしていたのではなくて、そこの場所そのものが存在していなかったのだ。
闇が広がっていただとか、光に包まれていたのではなく、世界そのものが欠落していたのだった。
僕はそこに落ちたわけではないのに、"無"は僕を包み込んでいった。
僕が消えてしまう、そんな焦燥にかられながらもがいていると、ハッと現実の俺が目を覚ました。
額から吹き出した汗は、タラリタラリとこめかみを伝って布団に染み込んでいく。
じめっとした布団に身を沈め、俺はまた眠りについた。
今回は、少し短めです。




