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番外編【……みんな、完結記念なんだからさ……】(本編とは関係ありません)

パックは背筋を伸ばした。

「司会進行は、みんなの声を聞く者、パックが務めさせていただきます」


一同拍手。


——ガチャ

入り口の扉が開き、遅れて到着したウィリアムが顔を出した。

「……」

ウィリアムはデズモンドを見ると、静かに扉を閉めて去っていった。


パックは一度、咳払いをした。

「では早速、みんなの言いたいことをざっくばらんに話していきたいと思います」


「言いたいことがある人、どうぞ!」


「……中に入れん」

外から黒銀の竜の声がした。


パックは扉の方を向いた。

「……ごめん」


トールが手を上げた。

「……もっと出番が欲しかった」


デズモンドが大きく頷いた。

「私も、もっと活躍が見たかった」


エイルは上げかけた手を止めた。

「……トール……」


トールは肩をすくめた。

「……みなもそう思うだろ?」


エリック隊長が手で制した。

「待ってくれ、トール殿は十分だと思うぞ」


ココはエリックの方を向いた。

「……隊長!」


エリック隊長は肩をすくめた。

「俺なんか登場からたったの4話で死んだからな」

「……しかも、死んでから名前付けられたし……」


執事長は白い手袋を嵌めた手のひらを前に出した。

「……お待ちください」


「——!」

全員が執事長に注目した。

ココの執事長も手のひらを前に出した。

「名前が与えられているだけでも、幸せですぞ?」


トールの執事長は深く頷いた。

「……そうですぞ」


全員、二人の執事長を交互に見た。

「執事長が二人!?」


ヘルは身を乗り出した。

「……何だこれ、見分けがつかねぇ……」


トールが小さく手を上げた。

「つくぞ」


ココも小さく手を上げた。

「つくわね」


トールの執事長はポケットからハンカチを取り出し、目尻を押さえた。

「——!トール様!」

ココの執事長もハンカチで目尻を押さえた。

「——ココ様!!」


アーラが鼻を鳴らした。

「……俺も見分けつくぞ」


全員がアーラの方を向いた。

「——!?」


アーラは目を細めた。

「……この二人、音が違う」


トールが鼻を鳴らした。

「……フッ、流石だな」

「……パックの件、礼を言う」


アーラも鼻を鳴らした。

「……礼を言うのは俺の方だ……家族というものを知ることができた……」


「……」

エイルとココとエルザは胸の前で手を握った。


「……私を忘れてはいませんか?……」

部屋の隅から柔らかな声が聞こえた。


「……この声は……」

……ピシッ……パキッ……

トールの体が雷を帯びた。


トールの執事長が、雷を帯びたトールの肩を掴んだ。

「……トール様、どうか、落ち着いてください」


全員が目を見開いた。

「——っ!?」


ヘルは上げかけた手を止めた。

「……おいおい、感電しねぇのかよ……何者だアイツは……」


よく見ると、トールの執事長の手には、ゴム手袋が嵌められていた。


ヘルはゴム手袋を見た。

「……何だそりゃ!売ってくれ!!」


トールの執事長は首を振った。

「……残念ながら、この世界には持ち込めぬ物でございます」

「……理を壊すアイテム、とでも申しましょうか……」


ヘルは肩を落とした。

「……マジか……」


トールは肩をすくめた。

「……そんな物があると俺が一番困るしな」


全員がトールを見た。

(……確かに)


「……私を無視するとは……良い度胸ですね」

すると、トールの体から雷が消えた。


トールは反射的に腰を落とした。

「——!!」


全員が声の方へ視線を移した。

すると“肉”がワインを片手にチーズを齧り、ちゃっかり輪の中に入っていた。


トールは声を張り上げた。

「——サンデルッ!!」


「……貴様、何故そこにいる?……」


サンデルはワインを見つめながら答えた。

「……私はVIPですから……」


パックは両手を広げた。

「みんな、待って!」


「……僕が呼んだんだ」


「……理由が聞きたくて」


そして、サンデルを見た。

「……何故、あんなに酷いことを?」


「……」

全員がサンデルの言葉に耳を傾けた。


サンデルはワインをくるくる回していた。

「……勇者は儲かるから……」


全員が扉を指差した。

「……帰れ!」


「……」


パックが咳払いをした。

「……えー、気を取り直しまして……」


そこへ“お節介な風”が割り込んだ。


「——っ!?」

全員、視線を泳がせた。


ヘルが耳を押さえてへたり込んだ。

「……何だこりゃ……脳に……直接っ……」


周囲から、口々に呻き声が上がった。

「……ダメだ……気が狂いそう……」


働き蜂たちは床に落下して脚を痙攣させていた。


“お節介な風”はしょんぼりして話すのをやめた。


呻いていた者たちは、四つん這いになり肩で息をしていた。


パックとピットだけが平然としていた。

「……あれ?みんなどうしたの?」


ピットは舌を出してチロチロ振った。


ヘルが途切れ途切れに喋る。

「……お前、毎日、こんな声聞いてんのかよ……」


パックは手を前に出した。

「……そうだけど……みんな大丈夫?」


パックとピット以外の全員が壁にもたれかかっていた。

「……大丈夫じゃない……」


皆の、パックを見る目が変わった瞬間だった。


ピットは舌を出してチロチロ振った。

(……パックはやっぱり、人ならざる声を聞く者だね……)

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