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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第三章 地球編
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第64話 始動! 皇国解体作戦

【鎧塚修二】

 クレアーツィ達がやってきた世界の日本人。

 地球皇国に対してのレジスタンス活動を行っている。前職は自衛官だったとのこと。

 クレアーツィ達に頼らねばならない現状を歯がゆく思っている。

 レジスタンスたちは、拠点の中のある部屋に集結していた。


 中心にある机の上には世界地図が広げられ、個々とは違う世界の出身であるクレアーツィ達に分かりやすく世界情勢などの説明をする。


 どれほどの広大な場所を戦わねばならないのか、そしてどれだけの人間が人質になっているのかを。


 世界の全てが敵となってしまった、絶対的な絶望の世界の中で、クレアーツィは確かに笑っていた。


「……ま、世界のほぼすべてが敵ってのは一周回って、初動だけなら凄くやりやすいよな」


 まるで問題がないとばかりに。


 いや、実際問題はないのだろう。


 何せもともとクレアーツィはたった一機の戦力で戦う所から始まったのだ。


 それでもなお戦い続けることができた、ならばこそクレアーツィにとっては今までと同じ戦いでしかないい。


(……それに、今回はあの時と違って最初からチームで戦える)


 クレアーツィにとって、その事実だけでも大陸での戦いよりも楽だと感じていたほどであった。




「さてと、それでは皇国解体作戦をこれより始動する」


 鎧塚の言葉に、レジスタンスの面々は雄叫びを上げる。


 これまでいいようにされるだけだった彼らが、反撃の狼煙を上げるのだと。


「……とは言え、作戦の根幹はどこまで言っても俺たちなんだよなぁ。まぁ仕方ないことなんだが」


 空気を壊さないようにするために、端の方でクレアーツィはぼそりと呟く。


 実際問題として、皇国の使う人型戦車に対応できる戦力はレジスタンスには存在しない。


 人型戦車に向かって放ったミサイルも、かなり簡易的に作られた代物であり、基本的に有効打となり得ることはない。


 そもそもの既存の一般的な兵器の大半が、一方的に蹴散らされたのが現実だ。


 この地球の戦力で対抗できるものはありはしない、それをひっくり返せる可能性があるのがゴウザンバー筆頭のザンバーである。


 頼りたくなくても、頼らざるを得ないのだ。


「では、まずむやみに領土を拡大することは合ってはならない、防衛ラインが拡大すればするほどに、我々はどこから攻撃されるのか分からないからな」


 だからこそ、確実に守り切れる範囲から徐々に領土を削り取っていくのだと。


 単独で最速のマギサザンバーは周囲の影響を考慮しなければ亜光速での飛行を可能とする。


 だが、他のザンバーが追いつけるかと言えば答えは否。


 そして追いつけないということは孤立無援の状態となってしまう可能性が高いということ、可能であればそういった状態は避けるべきなのである。


「……だからこそ、じっくりとした攻めと、安定した防衛能力が必要……なんだが――」


 鎧塚は視線をクレアーツィに向ける。


 こちらの世界でお前たちのようなものは作れるのかと。


「……可能ならこっちの世界の技術者と、技術関係の奴……集められるだけ集めてくれないか?」


 こちらの世界の理屈で作れるものを作ってみると、クレアーツィは言ってのける。


 ただし、これもクレアーツィにとっても大きなメリットが二つ存在する。


(こちらの世界の技術体系は、ネルトゥアーレ大陸の……魔導具の技術体系とは違う、つまり学べるものが多いということ)


 一つはクレアーツィの知的好奇心が満たされるという点。戦士としてではなく、技術者としての彼が、異なる世界の技術体系を学び取りたいと望まないはずがなかった。


(それに、最悪ザンバーが大破した時なんかは、魔導石を用意できなくなる可能性もあるからな)


 もう一つの理由は、こちらの世界で用意できない素材などがあった場合への対策である。


 万が一の時を考えた対応は、絶対的不利が約束される戦いにおいて特に重要な視点だと言えるだろう。


「それを優先してくれれば、俺もできる範囲のことをやっていくつもりだぜ」


 自信満々の笑みを浮かべながら、告げればレジスタンスの面々の視線もくぎ付けになる。


 そしてさらに一つ付け加える。


「……うまくいけば、皆の分のスーパーロボットも作ってやるぞぉ!!」


 この言葉に面々は大騒ぎ、飲めや騒げやの盛り上がりっぷりを見せつける。


 彼らの反応を見てクレアーツィはあることを思い出した。


(……俺がゴウザンバーを作ったのもこういう反応を自分がしたから、だよな)


 かつて見た、自分が機械技師として何を為すのかを決めることとなった夢を。


 宇宙のどこかで戦う、人々を救っている鋼の勇者たち。


 たとえ夢の中とは言え彼らの勇姿に、クレアーツィは助けられ、そして惹かれたのだ。


「ま、みんなの気持ちはよく分かるからな」


 だからこそ、兵士たちの反応をよく分かっている。


(彼らはかつての俺だ、だったらその夢をかなえてやる手伝いをするのも当然だよなぁ)




 最初の目的地となったのは東京、もともとレジスタンス日本支部の拠点が東京にあるというのが大きな理由である。近くの場所から行動するのが一番効率がいいのだから。


 拠点の防衛のために単独での救援が可能な、カバリオザンバーとマギサザンバーを残しマルチドラゴネットでクレアーツィ達は向かう。


 レジスタンスの面々は人質となる人々の救出、人型戦車への攻撃をクレアーツィ達が担当する。


「……しかし、アレよりも性能が高いモノだされたら、最悪土地は諦めるぞ」

「あぁ、分かっている優先するのは人々、最善で土地も確保だからな」


 クレアーツィの言葉に鎧塚はそう返答する。


 地球皇国、いやビートゥの軍勢がどの程度の力を有しているのかについては完全に未知数。


 そもそも現状確認できている人型戦車だけで、地球の軍隊のほぼ全てが容易く壊滅されられたのだ。


 それ以上の強さの兵器を持ち出す必要性など無かったと言える。


 だがしかし、ゴウザンバーらによって人型戦車が打ち破られた。即ち、より強い兵器が求められるようになったのである。


 だからこそ、どれほどの敵が出てくるのかは分からない。


 分からないからこそ、想定できる最悪を常に考えてなければならないのだ。


「……とはいえ、トリニティまで行けば大体は何とかなると思いたいがなぁ」


 ぼそりと呟いたクレアーツィの言葉は、力なく兵士たちの喧騒に掻き消えていった。


 まるでそれがこれからの彼の願いが叶わないと告げるかのように。




「さてと……彼らも動き出したことだし、こちらも動くとしようか」


 世界の壁の外、髭を生やした胡散臭い男が一人。さらに胡散臭い眼鏡迄かけた彼は世界の外から、何かを見つめている。


 視線を逸らせばその先にも、数多の世界。


 一つ一つが無限の可能性を内包する、希望と絶望の世界。


 確かにそこに在る、ハッピーエンドのその先で幸せな世界達。


 確かにそこに在る、バッドエンドのその先の、幸せなどありはしない世界。


 その全てに価値が在り、その全てに意味がある。


「……とは言え、可能ならハッピーエンドが見たいのは一つの観測者としてのエゴという奴かね」


 誰もいない、狭間の中で男は語る。


 男の視線の先には無数の、そしてある共通点を持つ世界。


 鋼と鋼が激突する世界たち。


「……ある者は言った、足りないのならば別の場所から持ってくればいい」


 その全てを見つめながら、男は語る。


「さて……と、此処を見ている諸君に語ろう、転生者システムとは何なのかを」


 まるで誰かに見られているかのように、されど誰もいない空間の中で男は語るのだ。


「……足りないものを補充する行為、ただしこの足りないとは世界にとって足りないものを指す」


 誰も聞くものがいない場所で、だとしても確かに誰かが聞いているとばかりに男は語り続ける。


「……だからこそ、別に死んだ人間を使う必要はないのだと思っているのは自分だけかね」


 何かを企む胡散臭い男、されど彼の思惑を知るものなど神ですらありはしない。

【ビートゥ帝に対するレジスタンス】

 所属人数は七万人程。ただし世界全体で見てのソレで在る。

 世界人口はおよそ七十億人ほどであり、一パーセントにすらなっていないという現実がそこにある。

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[一言] この胡散臭い男ってほんとなんなんですか!?
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