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冬にまた会いましょう

「おぉ……! 勇者よ。よくぞ、よくぞ冬の女王を連れて来てくれた……」


 王様はぐしゃぐしゃと顔を歪ませて、勇者を讃えました。


「王様。今回の件で冬の女王を糾弾し、処刑するという心づもりはありませんか? つまり、私は余計なことをしてはいませんでしたか?」


「そんなことがあるはずもない! 冬の女王は今も等しく我が国の宝だ」


「そうですか……では、私に褒美を頂きたい」


「…………なるほど」


 王様は苦い顔をしながら、しかし、若者の言葉をしかと受け止める覚悟を決めました。


「して、何を求めると」


「この国で、冬の女王と共に生きることをお許しください」


 王様は唖然とします。


 若者の隣に立つ冬の女王は、きりりと引き締めた顔で頷きます。


「此度の冬の乱れはこの国の災害として記録に残るかもしれませんが、彼女と再び出会うことが出来たのは私にとっても喜びです。ですから、その罪滅ぼしを私にもさせてほしいのです」


「……そなたの言いたいことは分かった。しかし、そなたほどの者を繋ぎとめておくというのは少々申し訳ない。お主が世界を旅しているからこそ救える者もいることだろう。その在り様を阻害してしまうと、諸外国からにらまれそうだ」


 王様はおかしそうに笑いながら、言い返そうとした若者を手で制します。


「しかし、そうだな。お主はこういわれていることを知っているか『あの勇者は春夏秋冬を通して何かしらの噂を聞くが、果たしていつ休んでいるのだろうか。いつか壊れてはしまわないか』と」


「いや、耳が痛いことで」


「そこでだ。春と夏と秋、お主にはこの国の外に出て、様々な冒険に出てもらいたい。そうして、冬に。この国に……いや、あの塔に舞い戻り、二人の時間を過ごしてもらいたいのだ」


 こうして、勇者の若者は春に冒険の旅に出かけ、冬にまた冬の女王のもとに戻る生活を始めるようになりました。


 冬の女王に冒険譚を聞かせたい、と。若者はさらに一層働くようになりました。


 塔の外から見る冬の光景に心を弾ませる若者を必死に繋ぎとめるのが、冬の女王の悩みであったそうな。


2017冬の童話二作目ですね

何だこの勇者

ここまで読んでいただきありがとうございました

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