五日目 雨の中屋上に自ら出る変人、最低に出会う
夢とは何なのだろうと、時々考える。
俺には将来の夢が無ければ、壮大な野望も無い。世の中は俺がいなくても回るし、俺の死はなんてこと無い出来事として風化していくだろう。
煙草を口に加え、手すりに手を掛ける。
……いくらヤケになっているとはいえ、学校の昼休みに、雨の中の屋上で未成年喫煙をやろうとするのは無謀だったな。中に戻ろうと思っても、出入り口にはこの学校で有名な男が場を展開している。
しかし流石に、こんなびしょ濡れの男が突然現れたら道を開けてくれないだろうかと思う。屋上に捨ててあった煙草を下に投げ捨て、出入り口へと向かう。
………? どうやら、女が来ているようだ。新しい標的だろう。助ける義理は無いが、俺が戻る過程に居ただけだ。
扉を開けると、見るからに不良ですとの主張が激しい或人とその取り巻きが女を取り囲んでいた。或人よりイケメン的な面のいい女とは、珍しいな。
足元を見ると、同じクラスの真面目男が項垂れている。あぁ、なるほど。女が来る前まで、コイツで遊んでいたのか。
「だ、誰だお前は!? 雨の中、屋上に居たのかよっ!?」
「悪いか? おい古杉、立てるか? 保健室連れて行ってもいいが」
「ほ、星雅くん……ごめ⸺」
「別に。俺がどういう人間かは、よく知ってるだろ」
「ほ、星雅だと……!?」
キャンキャンと男共が喚いているが、どうでもいい。濡れた感覚が気持ち悪い……やっぱり雨の中の屋上に出るなんて馬鹿なこと、するんじゃ無かったな。
古杉を立たせ、ついでに女の手首を掴んでこの場を離れる。人からの注目を受けるが、仕方ない。
「保険医、いるか?」
「はいは……影月くんボケたの?」
「まぁな。古杉の手当頼む。着替えってあるか?」
「はいよ。着替えは体操服ならあるわね。……ここでラブるのはやんないでよ?」
「するかよ」




